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第68回グラミー賞の結果や歌手の発信内容から考える、エンタテインメントの役割について

現地時間の2月1日日曜、第68回グラミー賞が開催されました。今回はその結果、そして賞での発信内容について振り返ります。

 

主要6部門の結果はこちら。

<年間最優秀レコード>

「Luther」ケンドリック・ラマー with シザ

 

<年間最優秀楽曲>

「WILDFLOWER」ビリー・アイリッシュ

 

<年間最優秀アルバム>

『DeBI TiRAR MaS FOToS』バッド・バニー

 

<最優秀新人賞>

オリヴィア・ディーン

 

<最優秀プロデューサー(ノン・クラシック)>

サーキット

 

<最優秀ソングライター(ノン・クラシック)>

エイミー・アレン

 

 

※ 受賞およびノミネーション全作品/歌手等のリストはグラミー賞のホームページに掲載されています。68th Annual GRAMMY Awards | GRAMMY.comをご参照ください。

主要6部門のうち、最優秀プロデューサー(ノン・クラシック)および最優秀ソングライター(ノン・クラシック)の2部門はテレビ中継前のプレミアセレモニーにて発表されています。残る4部門については受賞歌手がすべて異なる形となりました。

 

 

さて自分は担当ラジオ番組『imaoto on the Radio』(NFRSラジオ 土曜19時)内、グラミー賞を採り上げた音楽特集(2025年11月22日放送回)にて、”K-POP” ”投票会員が使命感をどこまで意識するか”そして”バッド・バニーと米大統領”を注目点に挙げました。

K-POPについてはロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」、およびHUNTR/X(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」が主要部門にノミネートされながら結果受賞に至らず、一方で後者は最優秀映像作品楽曲賞を受賞しています。K-POPは初のグラミー賞を獲得したことになります。

K-POP関連がグラミー賞にて半ば冷遇されたと呼べる状況について米ヴァラエティーは"Snub(冷たい)"と評していますが(→こちら)、それには異を唱えます。というのも、最優秀プロデューサー(ノン・クラシック)および最優秀ソングライター(ノン・クラシック)の2部門を受賞した方はいずれもロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」に関与。また後者を受賞したエイミー・アレンはJENNIEも手掛けており、その点は考慮すべきです。

 

投票会員の使命感については、先述したエントリーにてグラミー賞で冷遇されたジャンル等が昨年主要部門を獲得したことに伴い今年は薄れるものと記しましたが、今年は別の側面からの使命感が生まれたものと考えます。それが現政権の悪政、そして米移民・税関執行局(ICE)による殺人事件を考慮した投票行動です。尤も投票時にICEの事件はなかったかもしれないとして、悪政を考慮した行動が出てくるのは自然なことでしょう。

この点への注目は先週のラジオ番組で紹介し、放送後記の形で上記エントリーを掲載しています。実際、今回のグラミー賞では"ICE OUT (ICEを追い出せ)"とのピンバッジを様々な歌手が着用。また授賞式ではFワードを用いてICEを批判する受賞者の発信も複数確認できます。

個人的にはFワードを好まないものの、しかしながら人命が複数犠牲となっている状況下でこの言葉が出てくるのは自然なことでしょう。司会のトレヴァー・ノアによる発言には賛否あるかもしれませんが(米バラエティーによるポストを参照→こちら)、しかし現実が最も笑えないものとなっていることは間違いありません。

 

プエルトリコ出身のバッド・バニーは、「ICE OUT(米移民・関税執行局を追い出せ)」と前置きしたスピーチで、自分たちは野蛮でも動物でもエイリアンでもなく、人間でありアメリカ人だと強調。憎しみが広がりやすい時代だからこそ、憎悪は憎悪を呼ぶだけで、本当に強いのは愛だと訴えた。そして、闘う必要があるなら憎しみではなく愛をもって行ってほしいと呼びかけた。

受賞への驚きと感謝を述べたビリーは、「奪われた土地に不法な人間はいない」と表明し、現在の状況の中でも希望を感じていると語った。そして、声を上げ続け、闘い、抗議することの重要性を訴え、人々の声と存在こそが大切だと強調。「F*** ICE(米移民・関税執行局くそくらえ)」という強い抗議の言葉とともにスピーチを締めくくった。

 

※ 記事ではFワードをそのまま掲載していますが、そのままの使用は相応しくないと考え伏せ字に変更しています。

次週スーパーボウルハーフタイムショーでヘッドライナーを務めるバッド・バニーは、テレビ中継内で最初に受賞した最優秀アーバン・ミュージック・アルバム賞のスピーチにて"ICE OUT"と前置きし、ビリー・アイリッシュは三度目となる最優秀楽曲賞受賞の際にFワードにてICEへの怒りを表明しています。さらに印象的だったのは、英出身のオリヴィア・ディーンによる発信でした。

また、自身が移民の孫として、先人たちの勇気があったからこそ今の自分があることを強調した。

これら発言からは海外のエンターテイナーが(イギリス出身のオリヴィア・ディーンも含め)米の政治ないし社会問題をきちんと考え、発信する傾向にあることが実感できます。

 

またシャブージー、さらには最優秀アルバム賞獲得時におけるバッド・バニーの言葉も印象的です。なおバッド・バニーのスピーチにて"ICEを批判した"との記事が日本で多くみられますが、テレビ中継時において受賞したふたつの賞でのスピーチについてはきちんと分けて発信するのが好いと考えます。

ステージに立ったシャブージーは、涙をこらえながら用意していたスピーチを読み上げ、「神様、まずは感謝を伝えさせてください。あなたなしでは何も成し得ません。あなたの愛と意思が、すべてを通して僕を支えてくれています。そして母にも感謝したい。今日、30年間勤めた仕事を退職しました。精神科病棟で正看護師として働き、医療の現場に身を捧げてきました。この国に移民として来て、僕と4人のきょうだいを養うために3つも4つも仕事を掛け持ちしてくれた。母さん、ありがとう」と述べた。

その後チームへの感謝を述べると、彼は移民たちの歩み、犠牲、そして希望に光を当てた。「この国は文字どおり移民が築いてきました。だからこれは彼らのための賞です。移民の子どもたちすべてに、そしてより良い機会を求めてこの国に来た人たちに捧げたい。自由がすべての人に約束され、努力する者に平等な機会が与えられる国の一員になるために来た人たちへ。あなたたちの文化、音楽、物語、伝統を持ち込んでくれてありがとう。あなたたちがアメリカに色を与えています。心から愛しています。ありがとう」と彼は語った。

年間最優秀アルバム賞にプエルトリコ出身のラッパー、バッド・バニーの「DeBi TiRaR MáS FOToS」が選ばれた。スペイン語アルバムがこの部門で受賞するのは初めて。

バッド・バニーは受賞スピーチで「この賞を夢を追いかけるために祖国を離れなければならなかった全ての人々に捧げたい」と述べ、プエルトリコ移民への連帯感を示した。

受賞アルバムは自身6作目のスタジオアルバムで故郷へのオマージュとされる。

シャブージーが初のグラミー賞を獲得した最優秀カントリー・パフォーマンス(デュオ/グループ)賞はテレビ中継前のプレミアセレモニーにて発表。この部門のコメントをビルボードジャパンが掲載したことも含め、シャブージーの言葉は伝わる(伝える)べきといえるでしょう。またカントリーは白人中高年が主要聴取層であり共和党支持者が多いジャンルといわれることから、その賞を黒人歌手が獲得した意味も大きいと考えます。

 

 

グラミー賞では最優秀新人賞ノミネート8組すべてがパフォーマンス。2年連続となるこの取組は、一部歌手への贔屓がないという点で同賞を評価する声にもつながっていますが、そのパフォーマンスにおいて今回圧巻だったのがロバータ・フラックおよびディアンジェロへのトリビュートライブ。フージーズとしてロバータによる「Killing Me Softly (With His Song)」をカバーしたローリン・ヒルを中心に、ステージが展開しています。

音楽評論家の林剛さんによるポストにもあるように、まさにR&Bの祭典だった10分強のステージ。たとえばディアンジェロ「Untitled (How Does It Feel)」を歌ったビラルの絶唱も圧巻ながら、歌ヂカラに定評のある歌手が次から次に登場し、同じくフージーズワイクリフ・ジョンも登壇した後、最後にリチャード・スモールウッド with ヴィジョン「Total Praise」の一節を歌い昇華させるという構成に、強く心を動かされました。

ゴスペルクワイアの定番曲であり、自分もクワイア在籍時にカバーした「Total Praise」を作り上げたリチャード・スモールウッドは昨年末に亡くなっています。つまり今回のステージはリチャードへの追悼の意味でもあるわけです。そして林さんとのやり取りの中で(こちらのポストを起点とするスレッド参照)、『彼らのルーツへのこだわり、ジャンルの奥深さというものを思い知らされます』と林さんが記した内容に強く同意します。

 

直接的に呼びかける言葉も重要ながら、音楽でもって考えるきっかけをくれた米エンタテインメント(業界)における強さやプライド等を、グラミー賞にて実感した次第です。

 

 

翻って、日本で6月に開催されるMUSIC AWARDS JAPANはグラミー賞のスタイルを倣っています。日本の音楽を世界にという意義を掲げて誕生した賞であり、またインターネット時代にあっては歌手の活動がドメスティックであっても作品が海外に届く以上、日本の歌手も様々な問題に対し発言するかが一層問われていくでしょう。直近で衆議院選挙があるゆえ尚の事ですが、日本の著名歌手による"発信しない姿勢"は気掛かりです。




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