(※追記(12月18日8時05分):エントリー公開後、米ビルボードはYouTubeの声明に関する記事を発信しています。つきましてはその記事を掲載しています。)
(※追記(12月20日7時42分):ビルボードジャパンからの発信内容について追記しています。)
(※追記(12月21日9時15分):事態発生から数日が経過した段階での私見について、Xで掲載した内容を貼付しています。また当該エントリーのタイトルについて、『YouTubeがビルボードへのデータ提供を終了へ…声明発表のタイミングから考えることについて』から『YouTubeがビルボードへのデータ提供を終了へ…声明発表のタイミング等も踏まえた上で考えることについて』へ変更しています。)
(※追記(12月26日15時08分):ビルボードジャパンが同日発信したポッドキャストにて、今回紹介した件が採り上げられています。つきましてはそのリンクを貼付すると共に、発言内容を紹介し、その上で私見を記しています。)
(※追記(2026年1月21日12時44分):ビルボードジャパンが今後もYouTubeデータを集計、合算することをアナウンスしました。つきましてはそのアナウンス(Xのポスト)をポストを貼付しています。)
日本時間の昨日朝、米ビルボードはアルバムチャートおよびソングチャートにおけるストリーミング指標のウエイト付けを変更するとのチャートポリシー(集計方法)変更を発表しています。その旨は昨夜のエントリーにて掲載しました。
その1日後、YouTubeはビルボードに対し"データを提供しない"との声明を発表しています。
YouTubeのチャートからの撤退が米のみか、ビルボードジャパンを含む世界中の"ビルボード"と冠したチャートに対するものかは現時点で読み取れないというのが私見ですが、YouTubeにおいては無料会員による1回再生が有料会員のそれより軽んじられることが、(ウエイト付けは以前からであり、且つ今後のチャートポリシー変更によって無料会員のウエイトが高まるとしても)"過小評価である"との考えが、撤退の背景にあります。
YouTubeは撤退日を2016年1月16日金曜からとしており、同日を集計期間初日とする1月31日付米ビルボード各種チャートにてその影響が初めて及びます。
YouTubeの声明を読む限り、米ビルボードとYouTubeとでファンエンゲージメントの考え方が大きく異なるというのが自分の見方です。YouTubeにも有料会員制度はあるもののその大半が無料会員による再生と考えられます。他方米ビルボードは"お金を支払って音楽に触れる"人をより重視するものと考えるに、その隔たりが今回の決別に至った可能性が考えられます。
ただし現時点にて、米ビルボードがYouTubeの声明を認め、YouTubeをストリーミング指標から外すという発表を(ブログエントリー執筆時点で)行っていません(ともすれば今回の声明は米ビルボードにとって寝耳に水だったかもしれません)。今後の米ビルボードによる発信に注目すると共に、仮に撤退が事実ならば、それが米にとどまるのか、グローバルチャートやビルボードジャパン等ではどうなのかを発表することを求めます。
最後に私見。有料会員と無料会員との1回再生におけるウエイト付は以前からのことであり、このタイミングでのYouTubeの声明は稚拙だというのが厳しくも自分の見方です。音楽チャートに大きな影響を持っていることを自認し、その影響力を盾に(米ビルボードではなく広く世間へ)アピールしたという点に強い違和感を抱いています。1回再生におけるウエイト付けの議論は必要だとして、しかし一方的な主張は看過できません。
YouTubeが撤退することも、米ビルボードがストリーミング指標において有料会員と無料会員のウエイトを等しくすることも違うと考えます。
※追記(12月18日8時05分)
このエントリー公開後、米ビルボードがYouTube撤退に関する記事を発信しています。
現時点での私見を以下に。ビルボードジャパンが翻訳記事を用意すること、そしてソングチャートにおける動画再生指標がどうなるかについて発信することを願います。
YouTubeがビルボードへのデータ提供をやめるとした件について、米ビルボードが記事に。この部分を読む限り、撤退は事実と考えていいでしょう。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月17日
さらにはグローバルチャートからも、YouTubeは撤退する模様です(ただしビルボードジャパンのソングチャートも該当するかは不明)。 https://t.co/gHHtnIbUxq pic.twitter.com/E55Bq6nirP
※追記(12月20日7時42分)
ビルボードジャパンによるアナウンスが12月19日に行われています。そのポストを貼付します。
米Billboardに対して、1月16日以降YouTubeのデータ提供が中止されるという発表が報じられています。Billboard JAPANチャートに関しては、現在 詳細を確認しておりますので、方針が決定次第、改めてご案内させていただきます。
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月19日
※追記(12月21日9時15分)
事態発生から数日が経過した段階での私見について、Xで掲載した内容を以下に貼付します。
YouTubeがビルボードへのデータ提供をやめるという件についてはブログ #イマオト で私見も含めて記しています。https://t.co/1iE8T8v6FO
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
その後数日経ちますが、それでもYouTubeの問題が大きいという私見に代わりはありません。
データ提供をやめることのきっかけとなったのは米ビルボードのチャートポリシー(集計方法)変更アナウンスでした。サブスク有料会員と無料会員の1回再生におけるウエイトを別々にすることは(今回の変更で無料会員の1回再生が改善したとしても)”時代遅れ”というのがYouTubeの意図となります。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
そもそもアルバムチャートは所有指標のみで構成されていました。現在では”ユニット数”が単位となるこのチャートでは、ストリーミングが加わって以降もアルバムとしての購入のウエイトが最も高い状況です。音楽チャート側はコアファンの動き、またお金を支払って音楽をチェックする人を優先しています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
そしてサブスクサービスにおいて、Spotify等に無料会員という制度があったとしてもその会員になることが聴取の条件であるはずです。他方、YouTubeは登録せずとも視聴が可能となっています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
ファンエンゲージメントの考え方、そしてシステム自体が他と異なるという前提をまずは考える必要があります。
そして無料会員のウエイトを上げないのは時代遅れと評する、そのYouTubeにおいても有料会員制度が存在します。無料会員のライブ配信視聴中にも広告を挿入する等、有料会員化の催促が目立つことも気になりますが、この矛盾とも思われかねない状況は気になります。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
さらにYouTubeは無料会員向けの広告にミュージックビデオを採用。広告であれ一定時間以上再生すればカウンターに加算されますが、この加算方法を採用する側のデータは信用可能でしょうか。広告視聴を加算しないとみられる音楽チャート側のほうが信用できると思われておかしくないものと考えます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
YouTubeの発信は、ビルボードのチャートを”時代遅れ”と評したその表現も含めて強い違和感を抱かせるに十分です(その非難表現は決別すら生みかねず、その意味でも問題です)。しかしまずはYouTubeが自身の特殊性と、自身のスタンスが全てではないということを謙虚に省みることが必要と考えます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
YouTubeによるあのような発信に自分たちを有利にしたいという思いがあったとして、まずあの表現の採用や発信のタイミングには違和感を抱かせるに十分です。そしてYouTubeが自分たちのデータを仮に駆け引きの材料に使うならば、そのような者がデータを取り扱うことに対しては恐ろしさすら抱きます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
そして最も恐ろしいのは、日本から社会的ヒット曲の鑑たる音楽チャートが”また”存在しなくなる可能性があるということです。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
今回のYouTubeの姿勢は、ビルボードジャパンにも影響が及ぶ可能性が考えられます。
ビルボードジャパンは2008年にソングチャートをローンチしていますが、ストリーミングデータを取り込んだこと、そしてフィジカルセールス指標に減算処理を適用開始した2010年代後半になって遂に社会的ヒット曲の鑑と呼べるように成ったと捉えています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
それまでの十数年はそのようなチャートはなかった…そう言い切るのは失礼かもしれませんが、デジタルが主流になり始めてもオリコンに変わる気配はなく、またビルボードジャパンに対し周囲のデータ提供側等は消極的でした。ゆえに、社会的ヒット曲を可視化する音楽チャートはなかったと捉えています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
YouTubeによるデータ提供取りやめは、ビルボードジャパンソングチャートに比較的大きな影響を与えるのみならず(アルバムチャートには動画再生指標がないため影響は限定的と考えます)、指標の欠落は信憑性のある音楽チャート自体の不在にもつながりかねません。また十数年前に戻る可能性を危惧します。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
今回の件でYouTube側を(無礼な発言等があったとしても)支持する関係者を複数確認しています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
ビルボード側に問題があるならば、その立場にいる方ならば尚の事その改善を進言することのほうがより好いはずです。
最終的に社会的ヒットの鑑がなくなる可能性を、果たして考慮しているでしょうか。
自分は音楽チャートに問題があれば批判し、改善を提案しています。批判が厳しいと指摘されることはありますが、決して非難や皮肉は用いないよう心掛けています。https://t.co/ulTygQI8yYhttps://t.co/gitf6MdTCH
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
提案が全て正しいわけではないかもしれませんが、訴求は必要と考え、示しています。
今回のYouTubeによる対応は、礼節を欠くことも含め問題と考えます(それを初めて紹介した米ビルボードの記事における皮肉もまた問題ですが)。そして周囲の人間の片方への称賛、もう片方への非難もみられることに対し、疲れてしまったというのが正直な心境です。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
複合指標から成る音楽チャートにYouTubeは必要ですが、集計方法は改正後(2026年1月17日付以降)の米ビルボードが適切ではないかというのが自分の考えです。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
問題の解決を願うと共に、当事者そして周囲の人間にも非難や皮肉、軽口等の態度が出てこないことを願います。
最後に。これは音楽チャートに限りませんが、信憑性が乏しいと言いながらも解決手段を考えず、その都度非難だけにとどまるのならば、その対象については述べないほうがよいはずです。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年12月20日
※追記(12月26日15時08分)
ビルボードジャパンが12月26日に発信したポッドキャスト、その冒頭にて今回紹介した件が採り上げられています。つきましてはそのリンクを貼付します。
Billboard JAPANのポッドキャスト、更新しています!#ビルボードポッドキャスト
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月26日
今年下半期ビルボードは何をしていたのか 〜2025年イヤーエンドチャート〜
<Spotify>…
本エピソードは、こちらでも聴くことができます。#ビルボードポッドキャスト
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月26日
<Apple Podcasts>https://t.co/IjoGFtpI8Y
<Amazon Music>https://t.co/KbzqWIZGyH
YouTubeはこちら。
このポッドキャストの冒頭にて、チャートディレクターを務める礒﨑誠二さんが『現状のところの確認と、引き続きサービスを提供するために各所交渉をしている』、編集長の高嶋直子さんが『日本に関してはどういう方向になるかは、まだ年末年始をかけて確認を進めている』と発言されています。また現時点では米ビルボード側がYouTubeと交渉を続けていることも紹介されています。
加えて、高嶋さんは『社会的浸透度を表すためにはどういうチャート設計がいいのかというのを考えされられるひとつの出来事』、礒﨑さんは『僕らが複数のデータを集めて作っているヒットチャートとはどういう意味があるのだ、というところも当然考えさせられる』と話しています。
この発言を受けて自分の見方を記すならば、ビルボードジャパン側は現状のチャートポリシー(集計方法)の踏襲をまずは第一に考えているのではないでしょうか。一方で、チャート設計やチャート自体について再考している点を踏まえれば、交渉次第では日本のチャートポリシーも、ともすればYouTubeが望む形へと変化する可能性はゼロではないと感じた次第です。
※追記(2026年1月21日12時44分)
ビルボードジャパンは1月21日公開分チャート発表前に、YouTubeの取扱について発表しています。
<ビルボードジャパンチャートの集計に関するご案内>
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2026年1月21日
ビルボードジャパンチャートは、今週以降もYouTubeのデータを集計/合算致します。計算方法にも変更はございません。今後とも、よろしくお願いいたします。
上記のように至った経緯、また米ビルボードがどうなるかは解りかねます。ビルボードジャパンにはその経緯等について、できる限り詳らかにすることを願います。