ビルボードジャパンは先週金曜に2025年度各種年間チャートを発表しています。このブログでは同日朝にソングチャートを主体に分析等を実施したエントリーを公開、またビルボードジャパンによる記事等をまとめたエントリーも用意し下記エントリー内にリンクを掲載しています。
ビルボードジャパンによる年間チャートはソングチャート、アルバムチャート、そして双方を合算したトップアーティストチャートのいずれも100位まで公開。そこでブログでは一昨日より、それぞれのチャートを深堀りしています。本日はアルバムチャート編です。なお記事は下記ポスト内リンク先をご参照ください。
【ビルボード 2025年 年間Hot Albums】Snow Manがベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』で史上初となる、通算3度目の総合アルバム首位に https://t.co/ORN8UZ4a45
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
下記表ではビルボードジャパン年間アルバムチャート総合20位までにおいて、所有2指標の基となるチャート(Top Albums SalesチャートおよびDownload Albumsチャート)の100位までの順位および20位までの数値を記しています。なお所有2指標の基となるチャートが指標化する際、減算処理は行われません。
【ビルボード 2025年 年間Top Albums Sales】Snow Manがミリオンを2作叩き出し、1位&2位を独占(コメントあり) https://t.co/pHEtjrPQWq
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
【ビルボード 2025年 年間Download Albums】Mrs. GREEN APPLE『10』大差で1位、Number_i/サザンが続く https://t.co/3wgs0MEzKT
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
他方、ビルボードジャパンアルバムチャートでは2024年の最終週からストリーミング指標を組み入れ、下半期初週以降リカレントルールを導入しています。Streaming Albumsチャート(未公表)を指標化する際、総合アルバムチャート100位以内に26週以上ランクインした作品に対し翌週以降減算処理を施すというもので、新たなヒット作品を可視化するという導入目的が考えられます。
表では所有指標の基となるチャート、およびストリーミング指標で20位以内に入りながらも総合では100位以内に入らなかった作品も掲載し、総合順位も記載しています。

(なお上記表にて掲載したストリーミング指標の順位は、CHART insight有料会員が確認可能なものです。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
さて、ストリーミング指標の導入は週間そして年間アルバムチャートの大きな変化につながっています。週間チャートではよく聴かれるアルバムがフィジカルセールスに強い作品を逆転して最上位に就くことも生まれ、そして聴かれ続ける作品が年間チャートを占めるようになりました。特に、所有2指標のみで構成されていた2024年度の結果と比較すると、アルバムチャートの変化がよく分かるはずです。
・2024年度ビルボードジャパン年間アルバムチャートの記事から表を作成、みえてくるものとは(2024年12月8日付)より
2025年度もフィジカルセールスにおいては男性アイドル/ダンスボーカルグループが上位を占める形となっていますが、フィジカルセールス20位までのうち8作品が総合100位未満となっています。
この点からもデジタル、特にストリーミングに強くなければ総合上位に進出することが難しくなったことが理解できるでしょう。もっといえばストリーミング指標においては年間20位までが総合21位までに入っており、ソングチャート同様にストリーミングと総合順位との比例が見て取れます。そして総合チャートの記事にあるように、前年度以前のリリース作品における年間100位以内エントリーは8→72作品に急増しているのです。
(その変化を踏まえ、ビルボードジャパンがストリーミングに関してリカレントルールを導入したという点は十分理解できます。だからこそ、リカレントルールを導入したこと、またチャートの仕組み等を徹底して説明し続けてほしいとビルボードジャパンに対し提案しています。その旨は一昨日放送のラジオ番組でも述べたばかりです(ラジオ番組『imaoto on the Radio』#010 放送後記 (OA楽曲一覧掲載)(12月7日付)参照)。)
そのチャートポリシー(集計方法)変更が大きく反映されたアルバムチャートにて、年間首位を獲得したのがSnow Manのベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』でした。一方、CHART insightにて総合順位を示す棒グラフにブランクがあることからも分かるように、同作品は一時的に総合100位未満に後退。これはデジタルが後に解禁されたことに伴うもので、デジタル版には61曲が収録されています。

(CHART insightの説明は巻末にて掲載しています。)
デジタル解禁後はストリーミング指標が安定し、解禁以降13週連続で同指標を制覇した『THE BEST 2020 - 2025』。年間ではこの接触指標をMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』が制していますが、『THE BEST 2020 - 2025』は所有指標の高さ(特にフィジカルにおけるミリオンセールス)が大きく影響し、総合で逆転した形です。
『THE BEST 2020 - 2025』はリカレントルール抵触後も強さを続けている点が特筆すべきといえます。このことはソングチャートにおけるMrs. GREEN APPLE「ライラック」を彷彿とさせます。
他方、年間総合46位に入ったSnow Man『音故知新』は現時点でもデジタル未解禁のまま。仮に解禁していれば総合順位が上昇し、『THE BEST 2020 - 2025』や(ソングチャートにおける)「カリスマックス」もまた相乗効果で上昇したと考えます。『THE BEST 2020 - 2025』は9月3~10日公開分にてストリーミング指標トップに返り咲いていますが、その9月3日公開分に「カリスマックス」が初登場している点から相互波及は明らかです。

2025年度のフィジカルセールス上位20作品のうち、デジタル未解禁もしくは後発の作品は5つ。そしてそれらはSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるものです。
冒頭に貼付したエントリーでは10番目の項目にて”STARTO ENTERTAINMENT、デジタルの強さとフィジカル優先姿勢との乖離”を掲げています。同社所属歌手はデジタル解禁に乗り出して以降もフィジカル先行/デジタル後発の姿勢が目立ち、それが音楽チャートで有利にならないのみならず、日本の音楽(業界)全体がデジタルへ前向きになりきれない、また海外に伝播しにくい要因になっているだろうというのが、厳しくも私見です。
特にフィジカルセールスがデジタル指標群よりも初動型であることは、3指標のチャート推移や数値における初週割合からも明らかです。ただしフィジカルセールス年間20位以内に入ったTREASUREの2作品は初週セールスの割合が低く、『PLEASURE』ではフィジカルセールスが11週連続で16位以内に入っていたという状況です。なお下記CHART insightは9月17日公開分が各指標300位以内最終ランクインとなります。

この動きは2024年度年間アルバムチャート振り返り時にもお伝えした、フィジカルリリース後のフィジカルセールス施策が影響したと考えられます(施策についてはアルバムチャートで目立ち始めた動きを踏まえ、ビルボードジャパンや音楽業界へ(再度)提案する(2024年3月24日付)を参照)。一方でフィジカル施策が他指標と大きく乖離していることはソングチャートと同様。デジタルに強くなる必要性は、ここからも解るでしょう。
さて、ストリーミング指標が組み入れられたことで年間アルバムチャートは、長く支持されるストリーミングヒット曲を複数収録した作品が上位に入るという傾向が高まったのではないでしょうか。今後リカレントルールに抵触したとして、そのような作品は比較的上位にとどまる可能性が考えられます。
その傾向もあり、2025年度集計期間内に初めてチャートインしたオリジナルアルバムの年間チャート上位進出は目立っていないのですが、その中で最上位を記録したのが藤井風「Prema」(年間12位)。2025年度で所有2指標共に20位以内に入った4作品のひとつであり、さらにストリーミング指標でも21位という高位置につけています。



そして『Prema』のヒットは過去作(『HELP EVER HURT NEVER』(年間23位)、『LOVE ALL SERVE ALL』(同21位))もフックアップしています。『Prema』リリース前にリカレントルール抵触済だった2作品は、新作の登場に伴いストリーミングが再浮上した形です。ヒット作品が過去作の注目度も高めるということは、形は異なるもののトリビュートアルバムを機にオリジナル版の人気が高まったRADWIMPSもまた同種といえるでしょう。
(ヒット作品が過去作の注目度も高めるという法則は多くの場合に当てはまる印象ですが、そうではない事例についても存在します。その点は冒頭に記したエントリーの、おわりにの項目にて採り上げています。)
2024年度の年間アルバムチャート分析の際、ビルボードジャパンや音楽業界に対し3つの提案を記しました。そのひとつとして、所有指標が安定し且つSpotify週間アルバムチャートでも人気が継続しながら年間チャートにて上位進出ができていなかったMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』を例に、ストリーミング指標の導入を進言させていただきました。

そのストリーミング指標が組み入れられたことでMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』が年間2位にランクインする等、2025年度は聴かれ続ける作品の人気が証明され、アルバムチャートの納得度はより高まったものと考えます。ならば、ストリーミング指標を組み入れたこと、また組み入れ後のリカレントルール導入について、その背景や意図等を定期的に、また動画等にて解りやすく伝えることをビルボードジャパンに対し願います。
最後に、年間アルバムチャートにおける上位20作品のCHART insight(総合および構成指標の週間単位での推移)を貼付します。
<2025年度ビルボードジャパン年間アルバムチャート 上位20作品のCHART insight>
※ 1位から順に掲載。
※ 年度最終週(2025年11月26日公開分)までの最大60週分を表示。
※ 順位、チャートイン回数は2025年11月26日公開分のそれを指します。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
[表示範囲について]
総合順位(棒グラフ表示)、および構成指標等(折れ線グラフ表示)において、いずれも100位まで表示
(今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成

















