最新8月6日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートでは、IVE『Be Alright』が2位に初登場を果たしています。
ビルボードジャパンがアルバムチャートにストリーミング指標を組み入れた昨年最終週以降、この指標で高い支持を集める作品が上位進出し、人気が安定するようになっています。最新チャートにおいてはストリーミング指標10位までにランクインした作品が総合12位までにランクインしているのですが、IVE『Be Alright』はこの指標が300位以内に入っていません。なおCHART insightでは、ストリーミング指標は青で表示されます。


(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。なお、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
IVEのみならずK-POPの歌手は、特に女性ダンスボーカルグループにおいてストリーミングが強いという印象です。ビルボードジャパンは7月にストリーミング1億回突破曲を(カウント方法変更に伴いあらためて)発表していますが、IVEは4曲が1億回再生を突破しています。だからこそ、『Be Alright』のストリーミング指標未加算には当初違和感を抱いた次第です。
◆IVE
「I AM」1.5億回
「After LIKE」1.9億回
「ELEVEN」1.9億回
「LOVE DIVE」2.1億回
【ビルボード】ストリーミング1億回突破曲一覧 新たに387曲が判明https://t.co/CD5RYUKidV pic.twitter.com/xmUrBwReCf
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年7月8日
下記は最新8月6日公開分までの直近60週分におけるIVEの、ビルボードジャパントップアーティストチャートのCHART insight。このチャートはソングチャートとアルバムチャートを合算したもので、IVEは最新作『Be Alright』の初加算週にトップアーティストチャートでもフィジカルセールス指標が首位を獲得した一方、ストリーミング指標は前週より上昇するも53位と高くはありません。

(最新8月6日公開分のビルボードジャパントップアーティストチャートについては、【トップアーティストチャート】Mrs. GREEN APPLE6連覇、アイドル/ダンスボーカルグループのカラオケ指標に注目(8月7日付)をご参照ください。このエントリーにて、総合トップ10入りした歌手の各指標順位が掲載されたCHART insightを貼付しています。)
さらにいえば、トップアーティストチャートで前回フィジカルセールス指標首位を獲得した2024年9月4日公開分において、ストリーミング指標は300位に届かず未加点となっています。この週は『ALIVE』が初加算されているのですが、『Be Alright』共々日本向けのオリジナルミニアルバムという点が共通しています。
他方、韓国向けリリースの直近のフィジカル作品であるEP『IVE EMPATHY』が初加算された2月12日公開分のビルボードジャパントップアーティストチャートでは、フィジカルセールス指標は61位と高くない一方でストリーミング指標は52→23位に上昇しています。IVEは8月25日に韓国向けの新作EP『IVE SECRET』をリリースすることになっており、そのチャート動向如何では以下の方程式成立がより強固になると言えるでしょう。
その方程式とは、【日本で好まれるK-POP作品は韓国(さらには世界)向けにリリースされたものであり、日本オリジナル作品はそこまでではない】ということ。さらには、【日本市場において、K-POP歌手の韓国向け作品はストリーミング主体に支持を集める一方で日本向け作品はフィジカルセールスが高い】ということも当てはまるのではないでしょうか。
このことは以前にも、人気のK-Popは日本オリジナル曲より韓国語曲? TWICEの動向から見えてくるものとは(2020年6月20日付)にて紹介していますが、今回はビルボードジャパンアルバムチャートにストリーミング指標が組み込まれたことでより鮮明になったと考え、あらためて記した次第です。また、IVE『Be Alright』に関してK-POP研究者の山本浄邦さんが述べた内容に疑問を抱いたことも、記載のきっかけとなっています。
IVE、日本主要チャートを“4冠”制覇。なぜ強い?
— 山本浄邦Joho@『K-POP現代史』ちくま新書 (@Joho35595176) 2025年8月9日
・オリコン週間アルバム1位(初週16.5万枚)
・オリコン週間合算アルバム1位(16万6,134PT)
・Billboard Japan Top Albums Sales 1位(14万9,994枚/3作連続)
・タワレコ全店総合アルバム1位→https://t.co/FUdrXIH9kD
山本さんは上記からはじまるスレッドの最後のポスト(→こちら)にて、最後に日本市場戦略の鍵のひとつに合算指標の活用を掲げ、『IVEの“4冠”は、その最適解の一つ』と結論付けています。しかしながらその"4冠"の中には複合指標に伴うビルボードジャパンアルバムチャートは登場していません。
ビルボードジャパンはソングチャート、アルバムチャートの双方にてオリコンのシングルランキングやアルバムランキングよりもストリーミング指標が重視されます(ソングチャートにおいて一定枚数以上の週間フィジカルセールスに減算処理を行うゆえ尚の事です)。ゆえにIVE『Be Alright』はオリコンにおける複合指標ランキングを制したといえますが、その記事からもストリーミングの強くなさが見えてくると捉えています。
現在のK-POP歌手において、日本オリジナル作品が日本でストリーミングヒットし、韓国向け作品と同等に海外でもヒットすることは多くはない、もっといえばかなり少ないのではと感じます。フィジカルをリリースしコアファンとのエンゲージメントを増強することが日本オリジナル作品リリースの目的かもしれませんが、日本の音楽業界はその視野を日本ではなく世界に向け、制作することが必要ではないでしょうか。