昨日発表されたビルボードジャパンアルバムチャート(3月19日公開分(集計期間:3月10~16日))では、前週まで2連覇を達成したtimelesz『Hello! We're timelesz』が2位に後退、WEST.『A.H.O. -Audio Hang Out-』が首位初登場を果たしています。
【ビルボード】WEST.『A.H.O. -Audio Hang Out-』で通算8度目となる総合アルバム首位 https://t.co/ANsYHZqdMR
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年3月20日
フィジカルセールスは188,974枚を記録。デジタル未解禁でも20万近いフィジカルセールスに伴い総合首位に立つことができるという、このブログで以前記した仮定は正しかったといえるかもしれません。他方、デジタル未解禁ならば翌週以降の急落が考えられるため、動向を注視する必要があります。
さて今回は、プレイボーイ・カルティ『Music』に注目します。一部メディアでは”プレイボーイ・カーティ”とカタカナ表記されるラッパーの最新アルバムが総合38位に初登場。ダウンロード60位およびストリーミング33位と好調に推移しているのです。

(なお、総合ソングチャートの構成指標における20位未満の順位は、CHART insight有料会員のみが知り得る情報となります。ビルボードジャパンでは有料会員のみ知り得る情報の掲載を可能としており、今回紹介しています。)
プレイボーイ・カルティ『Music』は30曲を収録し、日本時間の3月14日午後にリリース。そのリリースが3時間遅れ、3月19日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートでは初週の集計対象期間がわずか2日と10時間だったにもかかわらず、ストリーミング指標33位という成績はかなり高いものと感じています。
プレイボーイ・カルティ『Music』の高位置での初登場について、いくつかの要因が浮かんできます。
まずは、【日本でヒップホップが浸透している】ということ。当週は「Bling-Bang-Bang-Born」や「オトノケ」等を含むCreepy Nuts『LEGION』にフィジカルセールス指標が初加算されていますが(それでも総合順位が上昇しなかったことを興味深く感じます)、ビルボードジャパンアルバムチャートが昨年最終週にストリーミング指標を組み込んで以降は『LEGION』以外のヒップホップ作品もヒットを続けています。

たとえば当週総合15位のBAD HOP『BAD HOP』はストリーミング組入後に同指標常時15位以上、総合でも16位以上をマーク。そのメンバーであるYZERR『Dark Hero』(当週総合24位)も、ストリーミングが緩やかに後退しながら同指標最高9位に至っています。当週はその他、Kaneee『Remember Me?』が総合77位、LANA『20』が同82位、Tiji Jojo『FNF』が同85位に入っていますが、いずれもストリーミングが牽引しています。
HANAを輩出したオーディションを経てちゃんみなさんの作品群が上昇したのは記憶に新しいところですが、たとえばLINE MUSICやApple Musicの週間チャートでは日本のヒップホップ作品が100位以内にエントリーを続けており、このジャンルの人気の高さがストリーミング指標導入後のアルバムチャートでより強く可視化されたといえるでしょう。
他方、アルバムチャートにおいては収録曲がソングチャートでヒットすることでアルバム自体のストリーミングが伸びる傾向にもあることから、ともすればアルバムとしてのヒットとは言い難いという声もあるかもしれません。そう考えれば、収録曲が事前にリリースされていないプレイボーイ・カルティ『Music』の高位置での初登場は、【プレイボーイ・カルティ自身の人気や注目度の高さに伴う】ものではと考えます。
プレイボーイ・カルティ『Music』は前作『Whole Lotta Red』(2020年12月25日リリース)以来4年以上経過してのリリースですが、その間にはフューチャーやメトロ・ブーミン、トラヴィス・スコット、ザ・ウィークエンドそしてイェー(カニエ・ウェスト)等との共演や客演曲にて、米ビルボードソングチャートで4曲がトップ10入り。これらの実績も注目度を高めたであろうことが、たとえばこの記録から見て取れます。
プレイボーイ・カルティ、最新作『ミュージック』がSpotifyで2025年に1日で最もストリーミングされたアルバムに https://t.co/oFmFfHB5KR
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年3月17日
この記事ではアルバムから「All Red」が先行リリースされたとありますが、実際には収録されていません。ただしアルバムリリース前にライブやSNSで先行公開された曲もあり、それもまた期待値を高めたものと捉えています。
そして、【ケンドリック・ラマーの参加も大きく寄与している】といえるでしょう。

ケンドリック・ラマーは昨年ドレイクへのビーフで注目度が高まり、同年末にアルバム『GNX』をリリース。今年2月には(『GNX』収録曲ではないものの)グラミー賞で主要2部門を制覇、そしてスーパーボウルハーフタイムショーに出演したことで『GNX』も再び世界的な人気を得ていますが、上記CHART insightからはストリーミング指標(青で表示)導入後の総合順位(グレー)の再上昇、そして2月以降の再浮上がよく解ります。
その後のストリーミング指標における下降幅は他の作品に比べて大きいものの、きちんと聴かれ続けている状況です。ケンドリック・ラマー人気の大きさが、ケンドリックが関与したプレイボーイ・カルティのニューアルバムへの注目度上昇にもつながったと考えて差し支えないでしょう。
プレイボーイ・カルティ『Music』、またケンドリック・ラマー『GNX』の人気からは、”(K-POPを除く)洋楽離れ”と言われる状況への違和感も抱いています。たしかにチャート上での洋楽の割合は小さいのですが、ストリーミング導入後以降はサブリナ・カーペンター『Short N' Sweet』やシザ『Lana』(米ビルボードでは『SOS』に合算)、マライア・キャリー『Merry Christmas』等が同指標50位以内に入っています。

またK-POPにおいてはBLACKPINKのロゼによる『Rosie』がロングヒット。ブルーノ・マーズとの「APT.」が大ヒットしたことに伴うともいえますが、曲調等を踏まえれば同曲はBPM早めで激しいという数年前に主流だったK-POPとは異なり、韓国語は用いながらもよりワールドワイドな洋楽といえるでしょう。BLACKPINKにおいては他のメンバーによるソロ作のアプローチも同様と考えるに、洋楽離れと定義するのは違うと感じます。
無論、プレイボーイ・カルティ『Music』がロングヒットするかを見極める必要がありますが、今回のチャートアクションは特筆すべきではと捉えています。なお米ビルボードでは次週、アルバムチャートでの首位初登場が見込まれています。