最新1月29日公開分(集計期間:1月20~26日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位のMrs. GREEN APPLE「ライラック」が1万ポイントをキープしながらも3位に後退。共に1月20日月曜リリースとなった米津玄師「Plazma」が首位、Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」が2位にそれぞれ初登場を果たし、双方の獲得ポイントは1万1千を上回っています。
【ビルボード】米津玄師「Plazma」が総合首位デビュー、Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」は僅差で2位<1/30訂正> https://t.co/80emdgOS6C
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年1月29日
(なお現時点で総合ソングチャートの記事は一度訂正されています。米津玄師さんの首位獲得曲数に誤りがあったことを正したためですが、ONE OK ROCK「Puppets Can't Control You」がストリーミング指標50位未満ながら再生回数が記事に表示されたままであり(記事で表示可能なのは同指標50位まで)、ビルボードジャパンは再度訂正するものと思われます。再度アップされ次第、こちらのエントリーでもポストを差し替えます。)
さて、今回の結果を踏まえて以下の内容を発信しました。今回はこの考えについて、詳しく説明します。
今回の1位および2位の結果を踏まえ、【ビルボードジャパンソングチャートのチャートポリシーを米ビルボードによる米やグローバルチャートに合わせるべきか?】という議論が必要ではないかと捉えています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年1月29日
この点は明日のブログ #イマオト でまとめます。 https://t.co/JFMxj5hiyB
まずは最新のビルボードジャパンソングチャートにおける、米津玄師「Plazma」およびMrs. GREEN APPLE「ダーリン」の結果をまとめます。
<1月29日公開分ビルボードジャパンソングチャート
上位2曲および関連バージョンのCHART insightおよび数値>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
総合ソングチャートトップ10の指標構成はこちら。
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・米津玄師「Plazma」 総合1位 11,779ポイント獲得
ダウンロード40,408DL ストリーミング9,235,562回再生
・Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」 総合2位 11,130ポイント獲得
ダウンロード19,835DL ストリーミング12,054,584回再生
・同「ダーリン ~18祭Ver.~」 総合44位 1,885ポイント獲得
(ダウンロードおよびストリーミングの数値は不明)
米津玄師「Plazma」はダウンロードおよびラジオ指標で上回り、ストリーミングや動画再生といった接触指標群で上回ったMrs. GREEN APPLE「ダーリン」に総合ソングチャートで競り勝っています。「ダーリン」はカラオケ指標も初登場週ながら300位以内に入っていますが、同指標未加点の「Plazma」を総合で超えることはできませんでした。
一方で「ダーリン」には”~18祭Ver.~”というライブバージョンも存在。『Mrs. GREEN APPLE 18祭』(NHK総合 2024年12月25日放送)に向けて書き下ろされた曲のライブバージョンは、NHKの公式YouTubeチャンネルにて(放送内容の)パフォーマンス動画が公開されていますが、同バージョンは動画再生指標が加点されていないことがCHART insightから解ります。
上記プレスリリースではNHK公式YouTubeチャンネル発の動画が貼付されながら、YouTubeに遷移しなければ視聴することができません。これはNHK関連アカウントの仕様の問題ですが、加えてNHKのアカウントはYouTubeにおける”音楽パートナー”という位置付けではないためにISRC(国際標準レコーディングコード)が付番できません。動画再生指標のカウント対象となるISRCの未付番が、チャートにも影響を及ぼしています。
さて、ビルボードジャパンは本日16時にGlobal Japan Songs Excl. Japanを発表予定です。Global Japan Songs Excl. Japanは米ビルボードによるGlobal 200(速報記事は毎週火曜にこのブログにて翻訳版を掲載)を基に、日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出したものですが、Global 200においてはMrs. GREEN APPLE「ダーリン」が200位以内に初登場した一方、米津玄師「Plazma」はランクインしていません。
2月1日付 #Global200 における日本の楽曲の動向。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年1月28日
(集計期間:2025年1月17~23日)https://t.co/U7yfzYBdK5
82→108位 #MrsGREENAPPLE「#ライラック」
157位 (初登場) Mrs. GREEN APPLE「#ダーリン」
144→174位 #CreepyNuts「#オトノケ」
(上記ポストは、(追記あり)【海外ビルボード】「A Bar Song (Tipsy)」「Lose Control」が米で長期記録達成(1月28日付)で追記しています。)
米ビルボードが2020年に開始したグローバルチャートは金曜が集計期間初日となり、また様々なバージョンが合算されます。月曜解禁の2曲は集計期間においてグローバルチャートで不利ながら、Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」が初登場を果たせたのは同曲の”~18祭Ver.~”が合算されたゆえと考えられます。そして、仮に日本でも合算について同様のチャートポリシー(集計期間)ならば、総合でも首位が変わったことでしょう。
一方でMrs. GREEN APPLEの作品はGlobal Japan Songs Excl. Japanで20位以内にランクインしたことがありません。ゆえに他の歌手に比べても日本でのストリーミングやダウンロードが圧倒的に高いと考えられます。
ビルボードジャパンは今年初開催される音楽賞、MUSIC AWARDS JAPANにてノミネーション選定の重要な役割を担います。またビルボードジャパンがGlobal Japan Songs Excl. Japanを立ち上げた際の理念、MUSIC AWARDS JAPANが”国際音楽賞”を謳う点からも、日本の音楽の海外での活躍をビルボードジャパンや音楽賞を開催するCEIPA(一般社団法⼈カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会)が意識していることは明白です。
その理念等を踏まえれば、日本の楽曲が世界のチャートで活躍するためにも、チャートの集計期間を米ビルボードによるグローバルチャートと同様に金曜開始とする、リリースタイミングを世界標準の金曜とする、そして様々なバージョンを合算対象とする形へと、日本の音楽業界がシフトすることを考慮する必要があるはずです。この点はグローバルチャート紹介の際に、このブログで記していることです。
音楽チャートにおいてより重要なのはロングヒットであり、集計期間の金曜開始等はあくまで初動を大きくする以上の意味合いをあまり持たないかもしれません。しかし海外の音楽チャート動向をチェックすると、海外の歌手はチャート上昇のための施策に積極的であり、その点がそもそも日本と異なる印象です。日本が世界と集計期間等をあわせることは、日本の歌手の施策を日本と世界とで共通させる上でも有効に作用します。
またGlobal 200については日本での浸透度がいまいちかもしれませんが、海外の音楽ファンにおいてはGlobal Japan Songs Excl. Japanよりもチェックされる可能性が高いと考えます。Global Japan Songs Excl. Japanについては英訳記事が登場していないため、速報記事が毎週米ビルボードに掲載されるGlobal 200をチェックする方のほうが多いはずです。
ビルボードジャパンが日本の楽曲の世界進出を謳う意味でGlobal Japan Songs Excl. Japanを立ち上げたならば、もっと積極的な発信が必要です。またビルボードジャパンでは合算を言語が異なるもののみ対象としながら、動画再生指標ではISRCが同じならばバージョンが異なっても合算されます(THE FIRST TAKEはその典型例)。この矛盾も踏まえ、すべてのバージョンを基本的に合算するほうが好いと、提案してきました。
今回の内容から、米津玄師「Plazma」がビルボードジャパンソングチャートにてライブバージョンも50位以内に入ったMrs. GREEN APPLE「ダーリン」に勝ったことを不服と受け止められかねませんが、それは違います。今回の結果を、ビルボードジャパンがソングチャートのチャートポリシーについて議論することにつなげることが音楽チャート分析者としての願いです。議論を経て変えないならば、その理由の開示も希望します。


