先週火曜、オリコンが上半期各種ランキングを発表しました。また『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)では7月1日放送回にて上半期のオリジナルランキングを発表することをアナウンスしています。
一方のビルボードジャパンは6月7日に上半期各種チャートを発表しており、このブログでも分析しています。
Billboard JAPAN 2024年上半期チャート発表、Creepy Nuts/SixTONES/Mrs. GREEN APPLEが首位 https://t.co/MwpEwxAOkf
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年6月6日
このブログでは楽曲単位における上記3つのチャート/ランキングのうち、日本における社会的ヒット曲の鑑はビルボードジャパンソングチャートのみであることを、昨年度の比較時に断言しています。
【#イマオト ブログ更新】(長文です)
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2023年12月21日
ビルボードジャパンと、今週発表されたオリコン合算およびCDTVライブ!ライブ!による年間ソングチャート/ランキングを比較しました。チャートポリシー(集計方法)も踏まえるに、信頼に足るのはビルボードジャパン一択というのが結論です。https://t.co/ziOMKgGZu3
チャート比較は上記エントリーを最後に行わない予定でしたが、知名度等の面でオリコンが今も勝っているだろうこと、ビルボードジャパンのメディア露出が未だ多くないこと等を踏まえ、後日実施する予定です。
今回はオリコンの姿勢に対して抱いた違和感、そしてそこから想起したことを記します。
Xにおいて、"オリコン上半期ランキング2024"を含むオリコンのポスト(新しい順に掲載)はこちらから確認できます。このオリコンの発信で気になったのが、合算シングル/アルバムおよびストリーミングにおけるトップ10一覧ポストの公開時間でした。フィジカルシングル/アルバム、ダウンロードシングル/アルバムおよび映像盤のランキング掲載から7時間程度遅れています。
🏆️ オリコン上半期ランキング2024
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) 2024年6月24日
🔸シングル
1位 Snow Man
2位 Aぇ! group
3位 乃木坂46
4位 SixTONES
5位 JO1
6位 日向坂46
7位 櫻坂46
8位 AKB48
9位 ZEROBASEONE
10位 SKE48
🔻25位まで/作品名&売上枚数https://t.co/HDYlNEfVl8#オリコン上半期ランキング pic.twitter.com/zgXl6kNLO0
🏆 オリコン上半期ランキング2024
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) 2024年6月25日
🔸合算シングルランキング(※)
1位 Creepy Nuts
2位 Snow Man
3位 tuki.
4位 YOASOBI
5位 JO1
6位 Aぇ! group
7位 Ado
8位 Omoinotake
9位 乃木坂46
10位 櫻坂46
🔻作品名https://t.co/YvwplOcgMD#オリコン上半期ランキング
✍🏻(※)オリコン合算ランキング
・CD… pic.twitter.com/29U1LNyWU6
また、合算シングルランキングではCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、合算アルバムランキングではSixTONES『THE VIBES』が制していますが、首位獲得歌手のコメント(リンク等)が紹介されたポストでは合算ランキングのリンクが掲載されていません。前者は3冠、後者は2冠と記されていながら、ひとつずつ、いずれも合算に関するランキングが未記載の状況です。
(キャプチャの元となるポストは、上はこちら、下はこちら。加筆修正が可能な環境だろうことを踏まえ、キャプチャしています。問題があれば削除いたします。)
以上の点からオリコンが【合算より単独、デジタルよりフィジカル、接触より所有が重要】とする姿勢を感じています。この点はビルボードジャパンとオリコン等(複合指標から成るソングチャート/シングルランキングにおいて後者はフィジカルのウエイトが大きい)の比較時に以前から指摘してきたことですが、ポスト発信の遅れやポストのリンク未掲載、また合算ランキング公開範囲の狭さ(10位まで)から、あらためて痛感します。
尤も、様々な音楽チャート/ランキングが存在すること、またそのスタンスが異なるのは自然なことです。しかしながら今回の対応(オリコンにこれまで改善提案を記しながらも改善しなかったことを含む)からは、広く日本全体の音楽業界が(享受する側も含めて)変わらないことの根本にあるものが見えたと感じています。大げさかもしれませんが、しかし少なくともこの2ヶ月の間に考えたことと共通の感覚を抱いた自分がいます。
アイドルファンがサブスクで聴く行為を"無銭"と揶揄しているのを見てしまい、愕然としています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年5月4日
わずかでもきちんと利益は入ること、そしてビルボードジャパンソングチャートにおいては有料会員による1回再生が無料会員によるそれよりウエイトが大きいという事実を理解することを、強く願います。
『これだけデジタルの音楽や動画はコピーが簡単にでき、手軽に何度でも視聴することができる時代』
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年6月20日
デジタルで音楽は身近になったとはいえ、こういう記載にはちょっと驚いてしまったというのが率直な感想です。https://t.co/hBFFasIBOQ
上記ポストからはじまるスレッドはいずれも、音楽業界内ではなくその外にいらっしゃる方の発言を踏まえて記したものです。日本の音楽業界はデジタル化が遅れ、今もデジタル未解禁歌手が少なくない状態ながら、たとえば前者においてデジタルに対する受け手の認識がそれでは業界側が変わることは難しいと懸念します。実際、時代に即して変わったといえないオリコンは、しかしながら未だ大きな影響力を持ち続けています。
日本の音楽業界におけるデジタルの遅れは、グローバルとは大きく異なるものでした。
日本の音楽は、YouTubeなどに音源やミュージックビデオをあまり公開せず、デジタル配信サービスも多くなく、本格的にストリーミングされ始めたと感じるのは、2010年代半ばから後半に入ってからでした。
音楽評論家のファン・ソノプさんによる指摘から思い出したのが、2000年代前半におけるコピーコントロールCD導入、および著作権法改正に伴い輸入盤CDが手に入らなくなる可能性、それら双方の背景にあるものでした。
コピーコントロールCDや著作権法改正はサブスク登場以前の話ですが、推移を追いかけた者として感じたのは権利者(発し手)側に備わった消費者イコール"犯罪者予備軍"という概念でした。この概念が現在のストリーミング時代にも通底しており、且つメディアや受け手にも備わっているだろうことを今回実感した次第です。なお、コピーコントロールCDや著作権法改正等については、以下のエントリー群にて私見を記しています。
(※CCCD導入時に消費者を犯罪者予備軍とみなす発し手の考え方は、コピーワンスが改善? - 週刊BCN+(2005年9月5日付)等でも記されています。また過去エントリーは今以上に表現がきつくなっておりますので、その点はご容赦ください。)
ストリーミング時代にあって、SpotifyやYouTubeの無料会員による再生でも収益は発生します。接触より所有、ダウンロードよりフィジカルセールスの売上金額のほうが高いとして、デジタルにはフィジカル特有の廃盤という概念は基本的に存在せず、またいつ何時でも過去曲がブレイクする可能性を持ち合わせています。億超え再生を達成する曲も増えていますが、先述した概念はそれらメリットを塞いでいると思うのです。
オリコンによる今回の発信は偶然と思いたいのですが、たとえば下記ポストひとつをとっても何を優先するかという姿勢が見て取れます(同種の姿勢は昨年度のチャート/ランキング比較時にも指摘しています)。デジタル未解禁歌手やその歌手を多く抱える芸能事務所を優先するような音楽チャート管理者が音楽チャートについて自問自答を行う、そして音楽業界の健全化を促すとは考えにくいというのが厳しくも私見です。
『#音楽の日』出演アーティスト発表❗️
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) 2024年6月18日
🎤第1・2弾 出演者
SUPER EIGHT
Kis-My-Ft2
King & Prince
SixTONES
Snow Man
なにわ男子
Travis Japan
Number_i
BE:FIRST
JO1
INI
ME:I
LE SSERAFIM
NewJeans
TOMORROW X TOGETHER
ENHYPEN
&TEAM
BOYNEXTDOOR
三代目JSB
THE RAMPAGE
FANTASTICS
超特急
DISH//… pic.twitter.com/kehUHDObHy
そしてオリコンの姿勢と同種のものを、実は市井が潜在的に抱えているだろうことを今回あらためて痛感しています。それが音楽業界の変わらない姿勢や、変わらなくてもいいという考え方に半ばお墨付きを与えているのではないでしょうか。
変わらなければならないのは市井もであり、不条理を可視化して批判し、提案することが重要です。音楽関係者がそれを指摘することも大きな力となりますが、SNS時代にあっては音楽業界に所属しないとしても一人ひとりの力は以前より大きく、過去曲のバズ同様にいつスポットが当たるか分かりません。不条理に気付いたならば、批判と提案を行うことを願うばかりです。

