ハンゲショウとは?
半夏生(ハンゲショウ)という植物をご存知ですか?
半夏生はドクダミ科の多年草で、ちょうど梅雨時、6月から7月にかけてが開花の時期にあたります。
半夏生は、花をつける時期になると葉の一部分だけが白くなって、まるで白粉をつけたように見えることから「半化粧」とも表記されます。
また、半夏生(はんげしょう)は雑節の1つで、半夏(烏柄杓)という薬草が生える頃、夏至から数えて11日目のことを指す言葉でもあります。
おおよそ7月2日ごろ。
半夏生の花の開花時期と重なることから、この名前がついたという説もあるそうです。
さて、先日、実家に帰ったとき、この半化粧が咲いていました。
緑と白のコントラストがとてもきれいで、目を引かれます。
でも実は、花をつける前の半化粧の葉は、すべて緑色をしているんです。
ちょうど半夏生の花が咲く前から、写真を撮っていたので、ご覧ください。
まずは5月、芽が出て少し伸びてきた頃です。

そして、6月になるとかなり背が高くなってきました。
手前の葉の先が白く見えるのは、日光があたっているだけで、実際はまだ緑一色です。

そして、先日、花が咲いたところです。
小さな花が集まって、房のように伸びているのがおわかりでしょうか?
そして、花の周囲にある葉をご覧ください。
ね、真っ白でしょ!

半夏生は、花が咲く時期だけ花の周りの葉が白くなる、という不思議な植物なのです。
花が咲くとき、周辺の葉だけは葉緑体を作るのをやめてしまうので、白くなるのだそうです。
なぜそんなことが起こるのかというと、ずばり、目立つため。
ご覧のとおり、半化粧の花は小花がたくさん集まって穂のようになっています。
その花だけでは目立たない、遠目からでは花が咲いているのかどうかわかりません。
そこで、花の周りの葉を白くして、虫をおびき寄せる作戦なのです。
こっち、こっち。
ここに白い花が咲いてるよ!ってね。

濃い緑の中の真っ白な葉。
とても綺麗で、吸い寄せられるように見とれてしまいます。
花が終わると、葉は緑一色に戻ってしまうのも面白いですよね。
半化粧はドクダミの仲間というだけあって、地下茎でどんどん増えていきます。
母は
「半夏生は強いからどんどん増える」
と、花壇の外にはみ出てきた芽を、根こそぎ抜いています。
かわいそうな気もしますが、それでもどんどん増えていくそうです。
花をつけた姿は可憐にみえますが、実はほったらかしにしてもどんどん増える強い子でした。
おまけ
『銀の猫』(朝井まかて・著)という江戸時代の介護を題材にした小説の中に、この半化粧が出てくるエピソードがあります。

主人公のお咲(25歳・介抱人=江戸時代の介護職)と知り合いのおぶんが、夕暮れの神社の森を通りかかり、見つけるのです。
おぶんがお咲に声を掛けます。
「おや、半夏生だ。…(中略)紫陽花といい半夏生といい、雨の多い今時分は色変わりする草木が多いね。なぜなんだろう。お咲、半夏生はどくだみの仲間さ。匂ってごらん」
と。
どくだみの仲間だといわれて顔をしかめるお咲に
「こうして葉を白く化粧して、虫を呼ぶらしい。だから半化粧ってぇ二ツ名がある」
と教えるおぶん。
お咲は心の中で、自分を働かせて昼間から男と会っている母親と目の前の半化粧を重ね、顔をそむけるのでした。
梅雨時のすっきりしない空模様、母への憂鬱、そして半化粧の花。
お咲の複雑な心の内の描写に、半化粧が一役買っていました。
植物にとても詳しい著者ならではの表現で印象的、私の好きななシーンです。
さいごに
というわけで、まもなく梅雨が明けると半化粧の花の時期もおしまい。
白い葉も緑に戻っていきます。
暑い夏がもうすぐやってきます。
今年の夏も元気で過ごせますように!
