
「ハッチは、もう新しいことをしなくていいと思う」
キックのトレーナーさんに、そう言われた。
“ハッチ”は私のあだ名だ。
キックボクシングとポールダンス。
やっていることはまったく違うのに、言われることや目指す方向が妙に重なるのが面白い。
トレーナーさん曰く、私にはすでに武器があるのだから、それを磨いたほうがいいという。
具体的にはミドルキック。
「他に得意技は?」
そう聞かれて「前蹴り」と答えたら、返ってきたのは
「もうそれでいいじゃないか」だった。
ジャブ、前蹴り、ミドルキック。
この三本柱で組み立てる。
増やすのではなく、研ぎ澄ます。
どう当て、どう効かせるか。
そこを詰める。
そういうスタイルに、切り替える時期に来ているのだと思う。
実は、ポールダンスでも同じことを考えていた。
もちろん新しい技はやる。練習もする。
でもそれとは別に、自分が好きな技、得意な技がある。
それを軸にしたほうがいいんじゃないか──
“好き” を伸ばした方がいいんじゃないか──
少し前からそう思って、実際にそういう構成で組み立てている。
量より質。
ここで言う「量」とは、練習量ではない。
技の “品数” のことだ。
増やすのではなく、絞る。
そして、その精度と威力を高める。
そのために練習する。
たぶん今は、そういうフェーズにいる。
たとえばプロレスでもそうだ。
多くの技を持つ選手よりも、ひとつの技を軸に組み立てている選手のほうが、強く印象に残る。
長州力しかり、
アントニオ猪木しかり、
武藤敬司しかり、
北斗晶しかり。
実際には多くの技を持っているはずだ。
でも、試合を支配しているのは “お決まり” の一手だったりする。
私も、そうなりたい。
キックでも、ポールでも。
自分の “お決まり” を持つ。
それをどう見せるか、どう当てるか。
そこを突き詰めていきたい。
量より質。
そしてこれは、仕事も同じかもしれない。
あれもこれもやるのではなく、絞る。
そして、磨く。
変えるべきものは変える。
削るべきものは削る。
全部は持てない。
だから、残すものを決める。
今は、そういう時期なんだと思う。