
文章でも漫画でも、人に見せるものを書くとき、描くときは 「3つの視点」 が必要だと私は思っている。
この考え方は、1年間だけ通った漫画の専門学校(夜間部・週2回)で、先生に教わったもの。
少し長くなるが、簡単に説明したい。
まず1つ目は 「筆者の視点」 。
つまり書き手の視点。これは誰でも持っている。
というか、これがないとそもそも何も書けない。
ただ、初心者がやりがちなのは、この視点 “だけ” になってしまうことだ。
自分しか見えておらず、周りが見えていない状態。
それは、周囲を見ずに車やバイク、自転車を運転しているようなもの。
読んでいる側としては、なかなかついていけない。
そういう “独りよがり” になりがちなので注意が必要だと思う。
2つ目の視点は 「編集者の視点」 。
仕事として書く場合、漫画でも文章でも、最初の読者は編集者になる。
いわゆる担当さんだ。
たとえ仕事でなくても同じで、最初に見せる相手がいるはず。
例えば私の場合、昔は姉だった。
漫画を描いて見せ合ったり、1コマずつ交換して1つの作品を作ったり、そんな遊びをしていた。
どんな状況であれど、「自分にしか見せない作品」以外のモノには “最初の読者” が常に存在する。
はがき職人をやっていた頃も同じで、最初の読者は投稿コーナーの担当編集者であろう。
その人を笑わせる、あるいは心を動かすという意識で書かなければ採用されない。
特に仕事であれば、1人目の読者を動かせなければ次に進めない。
編集者を納得させられなければ、掲載されないし、選ばれない。
つまり金にならない。
プロの世界であれば、金にならない=生きていけない。
姉との交換漫画でも同じで、相手を笑わせなければ、次のコマは面白くならない。
だからまずは 「1人目を笑わせる意識」 。
そんな気持ちで書かなければ良い作品にはならない。
これで、「自分の視点」と 「編集者の視点(誰かを動かす視点)」 、2つがそろう。
そして最後、3つ目が 「読者の視点」 だ。
これは、不特定多数の人たちのこと。
もう少し言うと、「予備知識のない人たち」 だ。
姉や編集者(担当さん)は、自分のことをある程度知っている。
でも読者は違う。
自分のことをまったく知らない人たちだ。
それが10人かもしれないし、100人、1000人、1万人かもしれない。
今の時代なら、10万人、100万人、あるいはそれ以上に届くこともある。
私の場合、遠い昔のヒット記事では1記事で1000万PV以上を叩き出したこともある。
PVだから人数ではないが、バズり具合からして1000万人に近い人は読んでくれた気がする。
東京ドームが5万人だとすると、1000万人は200個分。
その規模の人たちに向けて書く可能性、さらに言えば、その人たちにウケる作品を狙う必要がある。
その人たちの頭の中には、自分の情報は一切入っていない。
そういう前提で書かなければならない。
言い換えると、「はじめまして」 の気持ちで書くこと。
たとえ続き物であっても、「前の話を知らないと面白くない」 ではダメ。
その回だけで「面白い」なら 「前も読みたい」 と思ってもらえる。
だから常に、「初見の読者」 を想定する必要がある。
この3つの視点。
自分、最初の読者(編集者・友人・家族)、そして不特定多数の読者。
この3つが揃っていないと、良い漫画は描けない。そう教わった。
そして、プロの物書きになって26年目になるが、この考え方は本当に正しいと今でも思っている。
私も大した書き手ではないが、プロの物書きを目指している人がいたら、ぜひとも意識してもらいたい。