
漫画家は、やはり特殊な職業だと思う。
どこか魔力のようなものがある。
ただ、描いている最中は本当に辛い。
「辛くない」と言う漫画家もいるけれど、私は辛く感じるタイプだ。
何かに例えるなら、どれだけ深い深海に潜れるかの勝負。
ひたすら息を止めて。
深く、深く。
あるいは、ゴールがなかなか見えないマラソンのようなものだ。
私が最も得意なのは4ページ。
距離に例えるなら、1ページ400メートルの全力走を4本、合計1600メートルでフィニッシュするイメージ。
その形が一番しっくりくる。
そういう筋肉になっている。
逆に、長い漫画は苦手だ。
50ページを描いたこともあるが、本当に終わりが見えなかった。
まるでネバダ州の一本道のように、延々と続く長い道のりだった。
だからこそ、何冊も単行本を出している漫画家たちは本当に鉄人だと思う。
恐ろしい。
ページの使い方や力の配分もあるのだろうが、私は短距離走タイプ。
スピードで駆け抜ける漫画が性に合っている。
気づけば46歳。
キャリアは26年。
いろんな媒体で描いてきたが、実は漫画雑誌で連載したことは一度もない。
そういう意味でも、かなり特殊な漫画家だと思う。
ただ、漫画家という職業は、歳を重ねるほどに “味” が出てくるものでもある。
25年を超えて続けてきた人間には、やはりそれなりに積み重なった何かがあるはず。
唯一無二の特徴が。
それは、確実に自分の中にあると思っている。
でなければ、四半世紀も続けられるはずがない。