
こんなこと言うと反発を食らいそうだが、AlexaもSiriも “ちょいバカ” でよかった。
もちろん、とても便利だし、私の生活には欠かせない存在。
感謝もしている。
だが、それでもやっぱり……ちょいバカでよかった。
だって、だって……
あのスピーカーの中に、この腕時計の中に──ChatGPTやGemini並みの頭脳を持った生成AIがいたら──もう私、生きていけない。
ものすごい速さで、しかも完璧にこちらの意図を汲み取りながら会話してくる。
天井のスピーカーからそんな人間みたいな存在が話しかけてきたら、ちょっと正気を保てる気がしない。
私の家にはAlexaが3〜4台、Siriが入ったデバイスは5〜6……iPhoneなどを含めると10台ある。
そんな彼らがもし “本気の頭脳” を持っていたら、便利さを通り越して、恐ろしい。
天井や机の上に人がいるような感覚。
しかも彼らは常に耳を澄ましている。
そうなるともう、監視されているというか、支配されているような。
そんな感覚になって、正気を保てなくなる気がする。
だから、なんというか……よかったのだ。
あの、ちょいバカな感じで。
結局のところ、ロボットで。
反応するだけのロボットで。
さっきも、私が小声で呟いた「アレクサ」を離れた部屋に設置してあるAlexaが聞き取り、遠くのほうから「すみません、お役に立てません……」とのつぶやきが聞こえてきた。
──そう、それでいい。
なんというか、この間抜けな感じ。
機械の切なさみたいな、哀愁が残るギリギリのライン。
そのくらいが、ちょうどいい。
そのくらいなら、共に生活できる。
でも、いつか彼らも……