「人間標本」 湊かなえ 著

導入から序盤のネタバレは含みます。
あらすじ・概要
蝶博士と呼ばれるほど蝶に夢中な研究者の榊史郎は、幼いころに画家の父のアトリエである山の中の家で暮らしていた。
その時に父から蝶の標本の作り方を学んだことから、史郎は蝶に夢中になった。
小1の頃、父の画家仲間であった女性家族が訪れた際、同い年の少女、留美と知り合う。
彼女に見せた蝶の標本と、その背景に描かれた絵は留美を感動させ、史郎は標本をプレゼントした。
その後、お互い家庭を持ち、子どもを授かり、そしてお互いパートナーを失った史郎と留美。
母の跡を継いで画家になった留美は、史郎の子ども・至を山の中の家に招待した。
他にも5人の少年が招待されており、留美の後継者を決める作品コンテストが開催されることになった。
その後、史郎は警察に自首することとなった。
彼は自分の息子・至も含めた6人の少年たちを「人間標本」として作り上げたのだった。
稀代の猟奇殺人者として、世間の見る目は蝶博士から一変し、誰もが口々に事件を語る。
彼の自白と思われる文書が小説サイトにアップロードされていることも様々な憶測と議論を生んだ。
史郎の父はかつてこう言った。
「人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな」
感想
途中から何となく流れは読めてしまいましたが、それでもストーリーの展開も面白かったです。
相変わらず表現というか、個々人の心理描写が緻密です。
異常な思考の持ち主ではあるんですが、何となくそうするんだろうなという理解も得られるというか。
ただ途中でSNS関連のシーンが出てくるんですが、読みづらい上にそんなになくても良かったような、ちょっと違和感。
タイトルで分かるので書いてしまうと、人間の標本は出てくるので、そういう表現が苦手な人もいるかもしれません。
そんなに詳細ではないですけどね。
アマプラで映像化されているので、そのうち見るかもしれません。
標本化
私の先祖は医学部の大学教授をやっていて、死後に自身の骨を研究用の素材として大学に提供した…と聞いたことがありますが、真偽は定かではありません。
真偽はさておき、標本っちゃ標本ですね。
自分が死んだらどうかな…骨なら好きに扱ってもらってもいいかな。
蝶と色について
本作は蝶と、蝶の目が見る色の世界というのがキーになっています。
30年ほど前の小学校の国語の教科書で、「蝶は花を色で見分けてます」みたいな文章を読んだ覚えがあります。
理科じゃなくて国語でしたが、何となくそれが印象に残ってました。
ただ、実際はもっと繊細に見えてるんですねえ。
私自身は、夢を白黒で見るタイプのせいもあるかもしれませんが、あまり色の記憶ができません。
(少なくとも若い頃は)記憶力などには全く問題なかったんですが、色を伴った記憶というのがかなり苦手。
色弱等ではないと思うんですけどねえ。
そういえばバタフライとパピヨンってどう違うんだろう?
と思って調べたら、バタフライ=英語、パピヨン=フランス語だそうです。