「雌鶏」 楡 周平 著

楡=にれと読むそうですが、漢字変換で出てきませんでした。
多少ネタバレを含みます。
あらすじ
舞台は戦後間もない1954年の日本のナイトクラブ。
その店で主人公の貴美子は、事情を抱えており結婚指輪をしたままホステスとして働いていた。
ある日、鬼頭清次郎という男が貴美子のところへ訪れた。
鬼頭は莫大な財力と強固なコネクションを有しており、政治家や実業家などを裏で牛耳る存在であった。
その鬼頭から、占い師として働いてほしいと貴美子に依頼があった。
政治・経済を効果的に操るにはよく当たる占い師の存在が必要で、鬼頭の指示通りに占うことで的中したと思わせ、信じ込ませていいように動かす…という目論見。
貴美子自身は、婚約者である清彦が犯した殺人罪を代わりに被り、4年半の懲役を終えたばかりであった。
将来を誓い合っていたものの長い獄中生活から開ければ清彦は音信不通。
貴美子は占い師として働くことを応じつつ、清彦への復讐心を募らせていく。
感想
人が人を騙す・操るという話。
主人公は貴美子と書きましたが、もう一人の主人公として清彦目線も多少描かれています。
彼は彼なりに苦悩しているようでしたが、
ちょっとした違和感としては…全員が全員、ビジネスというか思惑が上手く行き過ぎていると感じました。
貴美子の目論見がとんとん拍子に行き過ぎるのと、他の人も含めてご都合的にも感じ増した。
まあ操る話なので「上手くいってるのは他の人が操っているから」という面もあるかと思いますが。
現実でも、政治家やタレントが占い師にハマる…みたいなのを時々聞きますね。
宗教とも違うんでしょうけど、根っこの部分は一緒でしょう。
またスピリチュアルな要素があろうとなかろうと、特定の人や考えにそこまで依存してしまうのは個人的には怖いですね。
といいつつ、私も誰かに操られているのかもしれません。
最近は仕事で何か不可解なミスがあると「天狗の仕業」と言ってますし。
あとは説明のためのセリフが多く感じました。
別のたとえになりますが、主人公が喋らない系ゲームで言えば「え、〇〇〇じゃないかって?」みたいな主人公側のセリフを一々繰り返すみたいな。
余談。
清彦は酸を浴びせられるという悲劇に見舞われますが、そこには特にバックボーンがありませんでした。
頭や顔面は火傷だらけで視力もだいぶ失われたということで、これが復讐によるものならかなりの大ダメージですが…
そこで裏切りの罰は一度受けたようなものですが、別の人の晴らした恨みじゃあだめなんですね。