「町内会死者蘇生事件」 五条紀夫 著

多少ネタバレを含みます。
あらすじ
舞台は秩父地方の山の中にある信津町(しなづまち)。
閉鎖・封建的な文化が色濃く残り、町内会会長であり信津寺の住職でもある権造を筆頭に、町内会が圧倒的な力を持っていた。
主人公の健康(たけやす)は、地元に代々暮らす地主の家系。
しかし権造には逆らえず、大きな不満を持っていた。
そこで昇太、由佳里と共に権造を酔わせ、浴槽に入れて殺害した。
しかし翌朝、権造は平然と姿を見せた。
以前酔ったときに権造が言っていた「この街には死人を生き返らせる秘術がある」は本当らしい。
どうやら魂玉を一つを死者、一つを生者に持たせて呪文を唱えると、生と死が入れ替えられるらしい。
しかし誰が権造を生き返らせたのか?
そして再び権造を殺害することができるのか?
感想
表紙にインパクトがあったのと、殺人犯が蘇生犯を追う、という斬新な設定に惹かれて読んでみました。
割とあっさりと「蘇生」という非現実な事実とそのルール(玉を持つことや、24時間以内の記憶が消えることなど)を理解して受け入れるのは小説だから仕方ないですね。
私が同じ立場だったらもっと動揺したでしょう。
殺人犯達の集まりなのにあっけらかんとしています。
どちらかと言えばコメディ要素になるんですかね、殺人と言っても重々しさはあまりありません。
出オチっぽいかなとも思いましたが、最後のストーリーも(少し強引とも思いましたが)悪くはなかったです。
ただ下に書くようにテクニカル(泥臭い)使い方をしますので、一気に読まない現状と時系列がよくわからなくなってきます。
泥臭い使い方
蘇生術自体は完全にファンタジーの世界です。
ただ、それをいかにずる賢く(都合よく)使うかというところにリアルな印象を受けました。
内容は違いますが、RPGで味方を殴って熟練度を上げるとか、そういう感じ。
ドラゴンボールで言えば、いったん神様をナメック星のドラゴンボールで生き返らせて、それから地球のドラゴンボールで…みたいな、正攻法よりちょっとだけテクニカルな。
文章力がなくて伝わりにくいのですが、普通の特殊能力やファンタジーものって、結構きれいな使い方の印象があります。
本作はどちらかというと「だったらこういう使い方もできるよね」的なことに使われており、そこが良かったです。
どこかで読んだ雰囲気だと思ったら、チクワの人だったんですね。