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百人一首で古文文法のお勉強2:清少納言「夜をこめて……」

まだまだ古文文法が身についていませんので,百人一首の有名なやつで古文文法を勉強し,経験を積めたらと思います。前回の崇徳院の歌はこちら

百人一首62 清少納言

()をこめて とりのそらねははかるとも よに逢坂の関は許さじ

「夜を籠めて」は「夜を閉じこめて」→「夜が明けぬうちに」。「つとめて」(早朝)と共に覚えておきたいですね。

「鳥の空音」は「鶏の声まね」。これは孟嘗君(もうしょうくん)(斉の田文)が秦から脱出する際,同行者に物まね上手がおり,鶏の鳴き真似をすると本物の鶏も鳴き出して,朝になるまで開かないはずの函谷関を開けさせて脱出することができたという故事(ウィキペディア「孟嘗君」より)を踏まえています。清少納言は漢文が得意だったので中国の故事に通じていたわけです。

(はか)るとも」は「鶏の声まねをして私を(たばか)ろうとしても」といった意味。

()に」は「非常に;全く」です。今回は「許さじ」があるので「全く」です。「世(world)」という語が強意に使われているのは何となく分かる気がします。英語では疑問詞の強調に in the world(一体)が使われ得ます。「世にも奇妙な」の「世に(も)」でしょうね。

「許さじ」は「許さ(許すの未然形)」+打消推量・打消意志の「じ」(○/○/じ/じ/じ/○)で「許すまい」です。

「逢坂の関」は京と大津の間の関ですが,実際に逢坂の関の近くにいた訳ではありません。「私に逢うことは許可しませんよ」と伝えるのに,「逢坂の関は決して開きませんよ(孟嘗君は上手く開けたみたいですけどね)」と知的ユーモアをかましているのです。清少納言の学識とウィットに溢れる歌で,感服つかまつりました!

()をこめて とりのそらねははかるとも よに逢坂の関は許さじ

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~おまけの単語勉強~

「なめし」(ク活用):失礼だ,無礼だ。「見くびる」という意味の「なめる」は「舐める,嘗める」ですが,「なめし」から来たという説もあります

「恥づかし」(シク活用)は「恥ずかしい,気づまりだ」という意味のほか「こちらが恥ずかしくなるほど立派だ」という意味に注意

「恥づ」(上二段)恥ぢ/恥ぢ/恥づ/恥づる/恥づれ/恥ぢよ

即時の「より」:体言,連体形に付く格助詞「より」は,「……より,……から,……以外」の他,「……を通って・経由して」「……で(手段)」「……ために(理由)」もあり,更には「……するや否や(即時)」もある

※即時の例:「名を聞くより、やがて」(名を聞くや否や,すぐに;『徒然草』71)

※手段の例:「徒歩より詣でけり」(徒歩参詣(さんけい)したそうだ;『徒然草』52「仁和寺にある法師」;法師は石清水八幡宮詣でをした)

ja.wikisource.org

~勅撰和歌集の勉強(とりあえず新古今まで)~

『古今和歌集』(醍醐天皇)[紀貫之102,凡河内躬恒60,紀友則46,壬生忠岑36]素性36,在原業平30,伊勢22

『後撰和歌集』(村上天皇)[源順,大中臣能宣,清原元輔,坂上望城,紀時文]紀貫之81,伊勢72,藤原兼輔24(撰者の歌はない)

『拾遺和歌集』(花山院)[花山院,藤原公任]紀貫之113,柿本人麻呂104,大中臣能宣59,清原元輔46,平兼盛38(成立過程が曖昧)

『後拾遺和歌集』(白河天皇)[藤原通俊]和泉式部67,相模39,赤染衛門32,能因法師31,伊勢大輔26

『金葉和歌集』(白河院)[源俊頼]

『詞花和歌集』(崇徳院)[藤原顕輔]曽禰好忠17,和泉式部16,大江匡房14

『千載和歌集』(後白河院)[藤原俊成36]源俊頼52,藤原基俊26,崇徳院23

『新古今和歌集』(後鳥羽院)[源通具,六条有家,藤原定家,藤原家隆,飛鳥井雅経,寂蓮]西行94,慈円,藤原良経,藤原俊成,式子内親王,藤原定家,藤原家隆,寂蓮,後鳥羽院

※最古の『万葉集』に関しては勅撰説の他,大伴家持編纂説(有力な説)がある

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