
「公的年金の積立金運用は不要!」と聞いて驚く方は少なくないでしょう。
年金の積立金を運用しているのが、世界最大級の投資家とも呼ばれているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)。
最新のデータ(2025年度第3四半期末)では、その運用額はなんと293兆4,276億円にも上ります。
「巨額な積立金があって安心」と思うかもしれませんが、実は積立運用は不要という指摘があります。
今回は、以下の本を参考に年金の積立金が不要な理由と積立金の有効な使い方について解説します。
『未来年表 人口減少危機論のウソ 高橋洋一』
社会保険料や税金の負担を下げて欲しいと思っている方は参考にしてください。
公的年金は賦課方式|積立金の運用は不要!?
まず、日本の公的年金の仕組みについて簡単に解説します。
日本の公的年金は「自分が積み立てたお金を将来受け取る」という積立方式ではありません。
今働いている現役世代が支払った保険料を高齢者の年金として仕送りする「賦課(ふか)方式」という仕組みが基本。
賦課方式なので、その年に入ってきた保険料をその年の給付に回せば、日本の年金システムは回ります。
実際、著者の高橋氏は給付の支払いに備えた一時的なクッション(流動性)として、せいぜい10兆円程度の積立金があれば十分と指摘。
また、厚生労働省のサイトでも積立金の役割は大きくないとしています。
では、なぜGPIFは290兆円を超える資金を貯め込み、リスクにさらしてまで運用し続けているのでしょうか?
GPIFが積立金を運用している理由とは?
なぜ「賦課方式」にもかかわらず、290兆円を超えるような巨額な積立金が運用され続けているのでしょうか。
年金制度の安定のためという建前とは別の「官僚と金融業界の利権」という根深い闇が存在しています。
厚生労働省の「天下り先」としての歴史
まず知っておかなければならないのはGPIFのルーツ。GPIFの前身は「年金福祉事業団」という組織でした。
ここはかつて厚生労働省の役人が退職後に再就職する、いわゆる「天下り」の温床として厳しく批判された過去があります。
組織の名前が変わっても、その本質は変わっていないという指摘が絶えません。
金融機関への手数料は年間5,800億円!?
厚生労働省の官僚らに資産運用のノウハウなどありません。
そのため、実際の運用実務は民間の銀行や証券、運用会社に「丸投げ」されています。
ここで発生するのが、莫大な運用手数料。
高橋氏によると手数料率は年率0.2%程度とのこと。
GPIFの運用資産である約293兆円をもとに単純計算すると年間5860億円にもなります。
毎年、約5,800億円規模のお金が私たちの年金保険料から金融機関の懐へと流れ込んでいる計算。
この手数料は例え運用状況が悪くても金融機関は手にできます。
金融機関にとってGPIFは、絶対に手放したくない「最高の上客」というところでしょう。
年金積立金で「ハイリスク投資」に手を出す異常事態
さらに見逃せないのが、運用の「中身」。
最近のGPIFは、未公開株や不動産といった「オルタナティブ資産」への投資を約4.2兆円にまで増やしています。
これらは一般的な株や債券よりも複雑でリスクが高いもの。
「超過リターン獲得及び年金財政の安定に寄与する」としていますが、私たち庶民が必死に働いて納めた保険料で高いリスクを取る必要があるのでしょうか?
結局、こうした複雑な投資先を増やすのは金融機関が「高度な運用」という名目でさらに高い手数料を稼ぐための口実にすぎないように思えます。
本来、賦課方式であればこれほどの積立は不要であり、リスクを負って運用する必要もありません。
実際、本書の中で高橋洋一氏は、「GPIFは不要である」と明快に喝破しています。
なぜテレビや新聞は「事実」を報じないのか?
これほど不透明な実態があるのに、なぜマスゴミは大々的に批判しないのでしょうか。
答えはシンプル。金融機関はメディアにとって最大級の広告スポンサーだから。
テレビ局や新聞社にとって、銀行や証券会社などの金融機関は口うるさく批判できない「お得意様」。
GPIFの裏にある利権や構造的問題に蓋をしてしまうのです。
余剰な積立金は現役世代の負担軽減策へ!
先述の通り「年金制度安定のために貯めておく」という名目のもとGPIFが抱え込んでいる資産は、293兆4,276億円(2025年度第3四半期末現在)にまで膨れ上がっています。
日本の国家予算(一般会計)が約110兆円前後ですから、その約2.6倍。
もはや「ちょっとした予備費」のレベルを遥かに超えた、異常な額の資金が眠っているのです。
現状、私たち一般庶民は「終わりの見えない物価高」と「重すぎる社会保険料・税負担」苦しめられています。
ムダに積み上がった巨額の資金を使えば、消費税を期間限定でゼロにしたり、現役世代の重い社会保険料を引き下げたりすることが十分に可能。
例えば、GPIFの資産約293億円のうち、約半分を占める海外資産(株や債券)を売却するだけで147.5兆円。
これを使えば、10年間消費税を一律5%に減税することが可能。
海外資産を売るということは、外貨を売って「円」を買うということです。
売却の仕方には注意が必要ですが、為替を円高方向に振れさせることができて輸入コストが下がることに。
ガソリン代や電気代、食料品価格を下げる物価高対策にもなります。
官僚や金融機関などの利権を破壊し、国民を救うためにこのムダに積み上げられた「財源」を有効に活用すべきです!
まとめ

「将来のため」という言葉は、今を犠牲にするための魔法の言葉ではありません。
賦課方式の年金制度において、約300兆円もの積立金を持ち続ける合理的な理由はどこにもないのです。
少なくとも海外資産を売却し、浮いた資金を現役世代の負担軽減に直結させる。
そもそも今を生きる私たちが豊かにならなければ、次世代へ年金バトンをつなぐことすらできません。
利権構造にメスを入れ、この「巨大な埋蔵金」を私たち庶民の豊かさを取り戻すために活用すべきです。
『未来年表 人口減少危機論のウソ 高橋洋一』