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”成長”に関する変化は主に自然対数で記述される

 

 2018年に発刊されたハンス・ロスリングの名著『ファクトフルネス』で語られた人間の思考の癖、10の思い込みのうち、「直線本能」は実にありとあらゆる事柄で見かけることができます。

 直線本能とは物事が直線的に増えたり減ったりすると思い込んでしまうことです。

 物事には慣性がありますので、ある変化の傾向が変わらずに続くと考えることは自然な考え方です。しかしながら、自然な考え方とはつまり熟慮を経ていないただの思い込みに過ぎません。

 去年よりも今年の何かしらが悪くなったからといって来年も同じくらい悪くなるとは限りませんし、4歳で100cmだった男の子の身長が5歳で107cmになったからといって「これならこの子は14歳で170cm、24歳で240cmになるだろう」と直線的に考えるのは大抵の場合で現実と一致しないように、直線思考は現実の事柄を扱うにはあまりにも単純化され過ぎた思い込みとなります。

 

 学校で学ぶ数式は非常に無機質で実用的な意味が分かりにくいですが、実際は現実へ適用しやすい具体的な数式ばかりを扱っています。

 今回は学校の算数を思い出しながらもう少し現実的な物の見方を考えてみましょう。

 

代表的な物事の変化

 物事の変化は様々な経路を辿ります。

 それら変化の多くは高校生まで学校で学んできた算数の範囲で記述することが可能です。

 例えば距離や速度や加速度など物理的な変化を表す場合には一次関数や二次関数のような多項式関数が役立ちます。

※理系が眉を顰める雑なグラフ

 

 これは非常に手触りの良い関数です。時速何キロで向かえば何時間で目的地へ到着するか、投げた物体の軌跡はどうなるか、そういった実感的な変化は大抵この辺りの多項式関数で示すことができます。

 逆に言えば、物事を直感的に捉える際はこの関数を自然と選択してしまうのが人間です

 ただし、現実の全てが多項式関数で表せるわけではありません。多項式関数はとても便利で現実に適していますが、現実を記述する場合は他にも有用な関数がいくつもあります。例えば波や円のような循環・曲線・繰り返しの変化を記述するならば三角関数、倍々での変化を記述するならば指数関数が適切です。

 どれも学校ではとにかく計算のやり方を教育されますが、これらの数式は現実でもたくさん使われています。例えば三角関数は電気の波や道路のカーブなど身近で直線的でない所にたくさん使われており、指数関数は温度の変化など目に見えないエネルギーに関係したことでよく使われています。


 他にも対数関数、特に自然対数は文字通り”自然”な変化を表す際に用いられます。


 学校で対数関数を学ぶ際はlogやらlnやら意味の分からない数式をとにかく計算して解くことを教えるため意味や目的が分かりにくいかと思います。「自然対数の底、ネイピア数って要するになんやねん」と思った学生は多いことでしょう。

 また、「自然対数は複利計算に使われます」なんて言われても学生が複利を例にされてピンと来るはずありません。

 

 自然対数は簡単に言ってしまえば時間による”成長”を計算するために使います

 自然対数の底eは次の式で記述できます。

 {\displaystyle \lim _{n\to \infty }\left(1+{\frac {1}{n}}\right)^{n}}

 これを分かりやすく言えば「基本となる1にちょっとずつ1/nが足されていく」ことを意味します。1が少し変化して、それを新しい1としてまた少し変わっていく、そういった繰り返しを意味する数式です。

 言い換えれば自己強化的な変化の記述です。甘いケーキの一口目はとても美味しいですが、二口目はすでにその甘さを知って変化した自分が感じるため一口目ほどの甘さを感じないように、赤点常習犯の若者がテスト勉強をして点数が50点以上伸びたとして、次に同じだけ勉強してもすでにお利口になっており同じだけ点数が伸びるわけではないように、筋トレを初めて筋肉が増えた青年が、筋肉の増加によって徐々にトレーニングの負荷を高められるように、主体が変化していく事柄はこのような数式に沿って変化していきます。

 複利計算がよく例に出されるのは理に適っており、元本に利息が加算されて再度利息が計算されますので、まさに自然対数に則った変化をします。

 この変化を無限大に繰り返していくと現れるのが自然対数の底eです。

 物質量1molを集めて粒子の個数を数えたらアボガドロ定数が出てくるように、時間変化による成長を調べてみたら出てくるのが自然対数そして自然対数の底eであり、なぜこんな無理数eが複利のような事柄の計算に使われているかと言えば成長を記述する際に自然と出てくるために他なりません。

 

 個人に限らず、資産・組織・GDP・人口統計などなど、時間による変化を取り込んで少しずつ自己を変えていく、すなわち成長していくものを記述する場合は比例関数のような多項式関数ではなく自然対数を用いることが適切です。

 グラフの形を見れば分かるように、成長は直線的には進みません。途中から徐々に鈍化率が変わっていきます。

 悪くなっていくことが加速度的に悪くなることもなければ、良くなっていくことが指数関数的に良くなっていくこともありません。最初はドラスティックな変化に見えるかもしれませんが、成長の変化は徐々にサチレートしていきます。

 

結言

 世の中の事柄は多くの場合で自己保存的なものであり、要するに成長する存在です。特にニュース等で主体として扱われる物事は大抵そうです。

 よってそれらの時間的な変化を考える場合には自然対数に沿った変化をすることのほうが多いと覚えておくと、直線本能に支配されずに済むことでしょう。

 




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