誰かやってくれないかな。
陰謀論とアノミーの相関
過去にも学術研究を取り上げた記事で紹介したように、陰謀論はアノミーと強い相関を示します。
アノミーとは、難しい言葉で言えば「個人が従うべき道徳的価値観、基準、または指針が根こそぎにされたり崩壊したりした社会的状態」を指す言葉です。価値観や基準、指針や道徳が日々変化する世界において、個人が保有する道徳的規範が時代遅れになったり適応の欠如によって生じる個人とコミュニティの絆が崩壊した状態であり、社会に対する不満や変化の拒絶、一体感の喪失や孤立をもたらします。
言い換えれば、アノミーとは「世界はどんどん悪くなっているとした信念」だと言えます。
アノミーは概ね負の特性です。人は社会的動物であり、社会の基準や価値観の急速な変化に適応できず疎外感や無目的感を持つことは心身にマイナスでの影響をもたらします。
陰謀論とアノミーの相関は研究で明らかにされていますが、実感的にも納得できる話でしょう。
なにせ陰謀論は常に「世界は悪くなっている」「それは邪悪で強力な集団による陰謀が存在するためだ」、そういったストーリーラインで語られるためです。邪悪で強力な集団を物語上に設定しなければ成立しない以上、アノミーが伴うのは必然とまで言えます。
正の陰謀論
ただ、個人的に見てみたい陰謀論があります。
それはポジティブなストーリーを持つ正の陰謀論です。
いっそ「貧困は年々減少しており人々の寿命は延びている。教育は広がり人権も改善されていっているように、世界はどんどん良くなっている」「善良な集団による陰謀が関与している」「UNDPやUNICEFやWFPといった組織が裏で糸を引いているのではないか」と謳う陰謀論があってもいいのではないでしょうか。
まあ、これは陰謀でもなんでもなくただの事実ではありますが。
なにせ陰謀論は常に「世界はどんどん悪くなっている」「邪悪な集団による陰謀が関与している」とばかり謳いますので、正直食傷気味です。見飽きました。
それよりはもっと前向きで積極的でポジティブな陰謀論を見てみたいものです。アノミーを伴わない陰謀論があっても面白いのではないかと思います。
誰かやってくれないものでしょうか。
結言
断定的には言い難いものですが、アノミーが持つ負の特性は人生の質を損ねかねません。
これは自己啓発的なポジティブ・シンキングや「引き寄せの法則」的なスピリチュアルの意味合いではなく、ただただ単純に、主観的に幸福な人のほうがウェルビーイングの観点からしてより良い人生であることは統計的事実であるためです。
もちろんこれはネガティブを全否定するものではなく、悲観的性質は適切に取り扱えればポジティブが持つ楽観バイアスなどを予防できますので、人生の質を改善することに大きく貢献します。
ただ、ネガティブが過ぎてアノミーに陥り陰謀論にハマるような状態はネガティブを適切に取り扱えているとは到底言えませんので、それであれば捨ててポジティブを志向したほうが良いかと思います。
だからこそ、正の陰謀論です。これは効きます、たぶん。