2026年3月13日、北海道は釧路の地で静かにその歴史に幕を下ろそうとしていたものがあった。硬券の往復割引乗車券が廃止になるという華々しいニュースの傍らで、静かな最期を迎えたのは「復路専用乗車券」である。最後に使った客の姿は知らないが、きっと涙をこらえながら列車に揺られたのではあるまいか。あるいはヤフオクで高額ねらいの小賢しい転売ヤーか。まあ何でもよい。
本ブログのJRダイヤ改正初日の記事としては、これを選択した。表舞台に出ることもなく、脇役としてひっそりと原券に寄りそう。区間外乗車をして、かつ下車する客だけが手にする逸品である。今回の改正を生き延びたライバル、小倉・博多間の区間変更券は単独では生きられないが、こちらは一人前の乗車券だから、すこしだけ誇らしげであった。未使用なら払い戻しが可能な場合もあるし、区変の原券とすることもできる。輸送障害があれば、無手数料払い戻しも有効期間の延長だって可能だった。
そんな日陰な存在だけど、単独の乗車券として生きてきた復路専用乗車券は自分の人生と重ねることができる。涙を拭いて送り出そう。
(ここでオープニング音入る)
ということで、今回は、国鉄時代からの様式を確認して、追悼記事とします。
1 復路専用乗車券とは
前に記事を書いていたので、リンクに飛んでください。
いちおう旧規則を掲出しておきます。
【旅客営業規則】
第8節 特別補充券の様式
(乗車変更専用特別補充券の様式)
第227条
乗車変更専用特別補充券の様式は、次のとおりとする。
(1)区間変更用
イ 乗車券用
(イ)硬券式大人小児用
(ロ)軟券式大人用・小児用
ロ 急行券用
大人小児用
(2)種類変更用
大人小児用
(3)別途乗車復路用
イ 硬券式大人小児用
ロ 軟券式大人用・小児用
これでわかるように、見た目は常備券なのですが、特別補充券に分類されます。補充券なのに、特定区間に使われるから、1周まわって常備券もどきになったわけですね。
それでは古い事例から順に。
【復乗乗車券】

昭和23年7月13日付の「復乗乗車券」です。戦後すぐなので、ペラペラの紙で回数券のような連綴式になっています。復乗というのは往復乗車の意味なので、この表現はちょっと変ですね。
【特殊往復券】

昭和32年6月7日付の「特殊往復券」です。特殊とはいうものの、往復券ではないので、やはり変ですね。
【復路専用乗車券】

国鉄の硬券バージョンです。

これは昭和33年の規則ですが、ここから明記されました。往復の運送契約のうち、往路は使用済みだけど、復路の乗車券がないと困るので、復路専用乗車券を出すということですね。「かえり専用乗車券」では威厳がなくなりますから、これがしっくりきます。

[西]とありますが、国鉄バージョンです。

昭和41年の規則にも登場していました。

JRの硬券バージョンです。ちなみに矢印を間違えています。これでは五稜郭から乗れてしまいますが、あくまで往復乗車券のかえり券なので、函館→五稜郭に固定されるのが本来です。

JRの軟券バージョンです。

さらに別の軟券バージョンです。