
・・・コーヒー豆の細胞構造が焙煎に与える影響・・・
一杯のコーヒーが出来上がるまでには、栽培から焙煎・抽出まで長い旅があります。
味の6〜7割は「栽培」と「精製」で決まり、生豆の質が土台となっています。
街の小さな焙煎店は、その良い生豆を丁寧に焼き、新鮮なまま届けることで、大手には出せない特別な味を生み出しています。
よりおいしいコーヒーを追求するには、豆の細胞構造などミクロの世界を理解することが重要です。
この記事では、研究者ではない焙煎職人が、日々の経験から想像し考えてきた「豆の中の世界」を語っているつもりです。
【1】コーヒー豆(生豆)を解剖する
コーヒー豆はコーヒーチェリーの種で、アラビカ種は3〜5年で実が熟すようになります。
完熟したチェリーから取り出した生豆を焙煎すると香り高い豆になります。
(1)コーヒーの実の中身はどうなっている?
コーヒーの実は梅や桃と同じ核果で、通常は2つのタネが入り平らな「フラットビーン」になるが、まれに1つだけの丸い「ピーベリー」もあり、特別に扱われています。
(2)コーヒーの実(コーヒーチェリー)の構造
コーヒーの実(チェリー)は直径約1cmの小さな果実で、外皮、果肉、内果皮、銀皮、種子(豆)から成っています。
種子は通常2つ向かい合い、中央に「センターカット」があり、内部の「胚」が植物の成長部分です。
(3)コーヒー豆の「精製」ってどんな作業?
私たちが飲むコーヒーは「コーヒーの実」のタネで、これを取り出す作業を精製と言います。
精製方法は主に乾式法(ナチュラル)と湿式法(ウォッシュド)の2つです。
(4)コーヒー生豆がかたい理由
コーヒーの生豆がかたいのは、実が成熟するあいだに パーチメント(内果皮)という強い繊維の層が3〜7層も作られるからです。
(5)シルバースキン(銀皮)ってなに?
シルバースキンは生豆の薄い皮で、精製でほとんど除かれているのですが少しは残っています。
焙煎時に剥がれ落ちる部分を「チャフ」と呼び、未熟な豆を使うと多く出ます。
研磨で銀皮を取ることもできますが、風味が落ちます。
(6)コーヒー生豆にふくまれる成分
コーヒー生豆には焙煎後の香りや味に影響する水溶性成分(カフェイン・糖・クロロゲン酸など)と不溶性成分(セルロース・脂質など)が含まれています。
果肉のミューシレージも風味に関係すると言われています。
【2】植物細胞とは?
植物は多数の細胞からなり、ペクチンやリグニンという物質で細胞同士がつながり、組織を形成しています。
(1)細胞のつくり
植物細胞は、動物細胞のつくりに加えて葉緑体、液胞、細胞壁を持つのが特徴です。
(2)細胞壁とは?
細胞壁は、セルロースなどでできた植物細胞のかたい外壁で、細胞を支え、弾力を生み、コーヒー豆のかたさにも影響する部分です。
(3)液胞ってどんなもの?
液胞は細胞内の液体の袋で、成長した植物の細胞の大部分を占めます。
水や栄養を含み、細胞壁を内側から支える膨圧を生み出します。
コーヒー豆では、液胞に香りや味の元が蓄えられ、焙煎でコーヒー特有の風味が生まれます。
(4)細胞間隙(さいぼうかんげき)とは?
細胞間隙は、細胞間のナノメートルサイズの隙間で、空気や水が入っていて、コーヒー豆の内部構造を形成しています。
【3】コーヒー豆の細胞ってどんなもの?
コーヒー豆は、細胞(さいぼう)という小さな部屋のようなものが集まってできています。コーヒー豆の焙煎では、豆の細胞(小さな部屋)の中で化学反応が進みます。
(1)コーヒー豆の細胞と焙煎で起こること
焙煎によってコーヒー豆の細胞がふくらんで壊れやすくなり、色とかたさが大きく変化します。
(2)電子顕微鏡で見るコーヒー豆の細胞
電子顕微鏡で見るコーヒー豆の細胞は、大きな液胞と脂質を多く含む細胞質を強い細胞壁が包み、風味のもととなる成分が細胞内に蓄えられています。
(3)焙煎中にコーヒー豆の細胞はどう変わるのか
焙煎中のコーヒー豆では、細胞がガスでふくらみ細胞壁が薄くなり、その変化がハゼの音や味づくりにつながります。
(4)焙煎コーヒー豆と細胞間隙(さいぼうかんげき)
焙煎で広がった細胞のすき間を通ってコーヒーオイルが表面に出て、酸化しつつも豆の劣化をゆっくりにしています。
【有料記事部分の目次】
コーヒーの味はどこで決まる?「細胞」から考えるおいしさの秘密
- ~コーヒー豆の細胞構造が焙煎に与える影響~
- 【1】コーヒー豆(生豆)を解剖する
- (1)コーヒーの実の中身はどうなっている?
- (2)コーヒーの実(コーヒーチェリー)の構造
- (3)コーヒー豆の「精製」ってどんな作業?
- (4)コーヒー生豆がかたい理由
- (5)シルバースキン(銀皮)ってなに?
- (6)コーヒー生豆にふくまれる成分
- 【2】植物細胞とは?
- 【3】コーヒー豆の細胞ってどんなもの?