
コーヒーの生豆はとても固いけれど、焙煎で熱を受けると内部の水分が水蒸気になり、豆の中の圧力が高まっていきます。
もし豆が固いままだと圧力に耐えられず破裂してしまうが、焙煎の途中で「ガラス転移」という現象が起こり、豆はガラスのような固さからゴムのような柔らかさへ変化します。
この柔らかい状態になることで、豆は内部の圧力に合わせてふくらむことができ、焙煎中の膨化がスムーズに進みます。
コーヒー豆焙煎では、このガラス転移のタイミングを理解することが、豆の変化を上手くコントロールするために重要になります。
【1】ガラス転移って何だろう
固体には分子が整列した「結晶」と、乱れた「非晶質」があり、ガラス転移は非晶質で起こります。
低温では固くて割れやすく(ガラス状態)、温度が上がると柔らかく曲がる(ゴム状態)。
この状態変化をガラス転移といい、物質の性質(物性)が大きく変わります。
【2】ガラス転移温度って何だろう?
ガラス転移温度は、物質が「硬いガラス状態」と「柔らかいゴム状態」を行き来し始める温度です。
「温度によって固さが変わる物質が、その変化を始めるポイント」 、 それがガラス転移温度です。
【3】温度による物質の変化とガラス転移
高分子などの非晶質物質は温度変化で、硬いガラス状態から柔らかいゴム状態、さらに液体へと性質が変わって行きます。
この変化をガラス転移といい、多くは明確な融点を持っていません。
結晶は直接溶けるためガラス転移は起こりません。
食品や植物細胞の高分子もガラス転移を示し、それぞれ硬い弾性体、粘弾性体、粘性体として振る舞います。
【4】ガラス転移曲線
ガラス転移曲線は、物質のガラス転移温度が含水率で変わる様子を示しています。
曲線下は硬いガラス状態で、上は柔らかいゴム状態になります。
この記事の上の画像の黒い曲線がガラス転移曲線です。
【5】ガラス転移とガラス転移温度って何?
高分子は分子が整列した結晶状態と無秩序な非晶状態が混在し、温度によって性質が変わります。
低温では分子の動きが止まり硬く割れやすい「ガラス状態」になり、高温では分子が動きやすく柔らかい「ゴム状態」になります。
この変化が起こる温度を「ガラス転移温度」と呼びます
【6】コーヒー豆の焙煎とガラス転移の関係
コーヒー豆の細胞壁はセルロースなどの半結晶性高分子でできており、焙煎中にガラス転移が起こると柔らかくなり豆が膨らみやすくなります。
この変化は風味形成に影響し、非晶部分は化学反応にも関与しています。
焙煎では急激な圧力上昇を避けるため、ゆっくり加熱していきます。
水分減少により、ガラス転移は温度の影響を強く受けると考えられます。
【有料記事部分の目次】
- ― 「固い豆がふくらむ理由」 ―
- 【1】ガラス転移って何だろう
- 【2】ガラス転移温度って何だろう?
- 【3】温度による物質の変化とガラス転移
- 【4】ガラス転移曲線
- 【5】ガラス転移とガラス転移温度って何?
- 【6】コーヒー豆の焙煎とガラス転移の関係