
これから春ではありますが、2026年はマイレージ制度改定だけでなく、世界情勢もあり、かつてない「プレミアムポイント(PP)冬の時代」と言っても良いでしょう。
今回は「2026年、プレミアムポイントが貯めにくくなったている元凶の運賃改定と地政学リスクのダブルパンチについて、現在の厳しい状況を考察してみました。
「国内線運賃リニューアル」の打撃
2026年5月19日。この日は、日本のマイラーにとって大変革の日となるでしょう。ANAが断行した国内線運賃体系の抜本的リニューアルは、実質的な「修行封じ」とも言える内容を含んでいます。
積算率の「適正化」という名のメス
これまでの国内線修行の王道は、「ANA SUPER VALUE(バリュー)」などの格安運賃を使い、積算率75%を維持しながらPP単価を極限まで下げる手法でした。しかし、新体系では運賃が「フレックス」「スタンダード」「シンプル」に再編され、最安値圏の「シンプル」や特定の予約クラスでは、積算率が30%〜50%まで引き下げられるケースが続出しています。
「バリュー×当日アップグレード」の神話崩壊
かつては「バリュー(75%)で購入し、当日に有償でプレミアムクラスへアップグレードして125%にする」という、大量PPを稼ぐ必勝パターンがありました。
しかし、新ルールではアップグレードによる加算は「一律+50%」に固定されます。ベースの積算率が30%まで落ち込んでいるチケットをアップグレードしても、合計はわずか80%。かつての125%という爆発力は、もはや過去の遺物となりました。
ライフスタイル経済圏への強制移行
航空会社の本音は透けて見えています。「飛行機に乗る人」ではなく、「ANAにお金を落とす人」を優遇したいのです。これは海外のエアラインでは先行していますが、ANAもそうなりつつあると言っても良いでしょう。
現在、ステータス獲得条件には「ライフスタイルサービス」の利用や「ANAカード決済額」が深く組み込まれてしまいました。これは、純粋に空を飛んでPPを稼ぐ「乗り修行」のハードルを相対的に引き上げる結果となりました。
かつてのように「PP2倍キャンペーン」といったバラマキ施策に期待できなくなった今、マイラーに求められているのは「効率」ではなく「忠誠心(=正規に近い運賃での搭乗)」です。結果的にお金が必要となってしまいます。
中東情勢の緊迫がもたらす「修行の地理的崩壊」
追い打ちをかけるのが、2026年2月末から激化した中東情勢です。テヘランへの直接攻撃を含む軍事作戦「ライオンの咆哮」の開始により、世界の空路はパニックに陥っています。
燃油サーチャージという名の「ステルス増税」
原油価格の高騰により、燃油サーチャージは今後、史上最高水準に達する見込みです。ここで重要なのは、「サーチャージをいくら払っても、1ポイントもPPは増えない」という残酷な事実です。
総額20万円のチケットのうち、運賃が10万円、サーチャージが10万円だった場合、PPの計算対象は運賃部分(しかも予約クラスによる掛け目あり)のみ。支払う現金に対するPPの効率、いわゆる「PP単価」は絶望的な数値と変貌します。
まあ、これは海外発券を駆使して燃油サーチャージがない、または少ない国の発券を使えば回避はできますが、ルートによっては空席が少なくなり、結果的に高くつく可能性もあります。
「中東経由・欧州行き」ルートの封鎖
これまで修行僧に愛されてきた、ドバイ(エミレーツ)やドーハ(カタール航空)を経由して欧州へ飛ぶ「安くて距離が稼げる」ルートが、空域閉鎖により壊滅的な打撃を受けています。
そうしたキャリアを価格面で利用していた一般の顧客がANAやJALなどに流れてくるとスケジュールがうまくいかない、PP単価の良い運賃が空いていないと言ったケースが増えてしまいます。
また、安全な空域を求めて飛行ルートが迂回されることで、飛行時間は延び、先述の燃油サーチャージとともに運賃に跳ね返ってきます。
止まらない円安:海外発券の「旨み」を奪う
かつてのマイラーにとって、海外発券はPP単価を劇的に下げる救世主でした。しかし、2026年3月現在、1ドル=160円に迫る歴史的な円安がその壁となっています。
■「円建て」での支払額が膨張
海外発券のベース運賃が現地通貨(ドルやユーロ、ウォンなど)である以上、円安が進むほど日本円での支払額は自動的に跳ね上がります。PP獲得数は変わらないのに支払額だけが増えるため、海外発券という唯一の逃げ道ですら「PP単価15円〜20円超え」が珍しくなくなっています。
■現地滞在費の高騰
タッチ(日帰り)ではなく宿泊を伴う場合、ホテル代や食事代も円安の直撃を受けます。修行全体のコストパフォーマンス(解脱までの総費用)で見ると、円安の影響は飛行機代以上にボディブローのように効いてきます。
2026年、どんな攻略法が必要か
「貯めにくくなった」と嘆くのは簡単ですが、それでもダイヤモンドの輝きを目指すのが修行僧の宿命です。これからの時代、戦略は以下の3点に集約されます。
- 「運賃クラス」への偏執的なこだわり
安さだけで選ぶ時代は終わりました。積算率30%の罠を避け、多少高くても75%〜100%を維持できる「スタンダード」以上の運賃を見極める眼力が必要です。 - 海外発券の「安全地帯」を探す
中東が不安定な今、ソウル(金浦・仁川)発券や北米経由など、地政学リスクの比較的低いエリアでのルーティング再構築が急務となります。
地理的にマイル修業が出来るのが環太平洋かアジア、大西洋となり、そうした中から安い発券地を探すこととなります。
ただ、同じことを考える人は多いと思うので、日系であれば、アジアと豪州路線が混雑することとなります。 - 機材とサービスのワクワク感へ舵を切ることも
単なる「数字(PP)稼ぎ」と割り切るには、コストがあまりにも高すぎます。ANAの「THE Room」や最新鋭の機材と言う事を楽しみにするなど、搭乗そのものを目的化し、高いPP単価を「体験代」として納得できるメンタリティが求められます。 - 国内線をひたすら飛び続ける
円安も地理的に要因も関係ない日本円で払う国内線をひたすら飛び続けるという昔ながらのドメ専スタイルというのもありと言えます。ただ、先述の運賃改定や海外の旅を好む人にとっては、飽きてしまうかもしれません。今こそ、日本の魅力をと言っても、インバウンドでビジネスホテルでも高額となります。結局、どの方法でも苦悩は付き纏います。
最後に

2026年の航空修行は、もはやゲーム感覚でクリアできるものではなくなりました。改悪されるルール、不透明な世界情勢、そして高騰するコスト。これらすべての逆風を飲み込み、それでもなお「空の頂」を目指す者だけが、真のステータスを手にすることができるのです。
ただ、この困難な時代さえも、新しいルートを見つける楽しみとして昇華させていけばマイラーとしてのスキルアップにはなり、いつか良い思い出になるかもしれません。