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書評|テック産業の国防回帰を正当化する宣伝的論考|"The Technological Republic: Hard Power, Soft Belief, and the Future of the West" by Alexander C. Karp & Nicholas W. Zamiska

今回紹介するのは、Palantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)のCEOアレキサンダー・カープと同社の企業担当責任者ニコラス・ザミスカによる『The Technological Republic(テクノロジカル・リパブリック)』です。結論から言えば、本書はテック企業と国防産業の連携を促進するパランティアの企業戦略を哲学的に正当化しようとする、ある種の「高度な企業宣伝」と読むことができます。

パランティアは2003年に政治的右派の代表的人物ピーター・ティールとカープらによって共同設立され、ビッグデータを活用して国家安全保障機関をサポートすることを主な事業としています。会社名はJ.R.R.トールキンの『指輪物語』に登場する「不滅の水晶球」にちなんだもので、情報収集と監視というその性質を象徴しています。

本書でカープとザミスカは、シリコンバレーのテック企業が国防・安全保障分野との連携を避ける傾向を批判し、「チキンフィンガーの宅配を完璧にすることに費やしてきたテック・ブロたちは成長する時だ」と主張します。彼らは「米海兵隊員がより良いライフルを求めるなら、私たちはそれを作るべきだ。そして、ソフトウェアについても同じことが言える」と述べています。

この主張の背景として、著者たちは2012年頃の対テロ戦争を例に挙げます。当時、安価な路側爆弾によって多くのアメリカ軍兵士が犠牲になる中、課題は主にハードウェアの改良ではなく、情報の統合にあったとします。そして、その問題をパランティアのソフトウェアが解決したと暗に示しています。

本書は表面上、国家と技術の関係についての哲学的論考を装っていますが、実質的にはパランティアのビジネスモデルを正当化するためのマニフェストと読めます。歴史的に第二次世界大戦中のマンハッタン計画やNASAの設立など、国家と科学技術の協力が重要な成果を生み出したことを挙げながら、現代のテック企業も同様に国家目的に奉仕すべきだと論じています。

興味深いのは、本書の出版タイミングです。2024年の米大統領選後、テック業界と政権の関係が急速に変化しています。選挙キャンペーンに惜しみなく寄付したテック企業CEOたちは就任式の最前列に座り、イーロン・マスクはジョークではなく「共同大統領」とさえ呼ばれています。かつては政府を敵視していたテック業界が、今や「親友」に変わった政治的文脈の中で、本書はその変化を理論的に支持する役割を果たしています。

実際、業界全体の動向としても、GoogleやOpenAIが国防関連プロジェクトへの参入を進め、Andurilのようなディフェンステック企業が急成長しています。かつてリベラルな立場から軍事協力に消極的だったシリコンバレーの文化が、国際情勢の緊張や政治的風向きの変化によって大きく転換しつつあります。

本書の欠点として、国民的合意の欠如を「左派」だけのせいにするなど、バランスを欠いた政治的見解が目立ちます。また、テクノロジーの軍事利用に関する倫理的問題や、民間テック企業と国家安全保障機関の緊密な関係がもたらす可能性のある監視社会化などの問題については、ほとんど真剣な検討がなされていません。

著者たちは「私企業と国家目的の融合」を呼びかけながらも、「自由主義とその価値観への揺るぎないコミットメント」を含むべきだと主張しています。しかし、歴史的に見れば、軍産複合体の拡大は必ずしも自由主義的価値観と両立してきたわけではありません。アイゼンハワー大統領が1961年に警告した「科学技術エリートの捕虜になる可能性のある公共政策」という言葉が、現代において新たな意味を持つ可能性を本書は十分に検討していません。

本書は、テック企業の国防参入を促進するための説得力ある論考として評価できる一方で、その主張の背後にある企業的・政治的意図を読者は常に意識する必要があります。シリコンバレーと国防産業の新たな「蜜月時代」の到来を告げるマニフェストとして、本書は時代の転換点を象徴する一冊かもしれません。しかし、その転換が社会全体にとって何を意味するのかは、著者たちの楽観的な見通しを超えた批判的検討が必要でしょう。

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