記事の内容
ポアンカレ予想に触れるための一般向け読み物を紹介します。
『低次元の幾何からポアンカレ予想へ』という本です。

多様体やトポロジー、そしてポアンカレ予想について、数式、イメージを易しく紹介してくれます。
本書の特徴としては、数理の部分をある程度網羅して紹介してくれるところです。つまり、一歩深くポアンカレ予想を把握できます。
それでは目次をどうぞ。
本書の一部を要約
かなりざっくりとしたまとめになります。正確な内容を保証するわけではないのでご注意を。
ポアンカレ予想
多様体
図形全体としては曲がっているが、各点の近くだけ見ると座標が取れる
円は一次元多様体
球面は二次元多様体
三次元球面
中身の詰まったボールが2つあり、境界同士がすべてくっついている。(三次元多様体なのだから、各点では三次元座標を取れる)
ポアンカレ予想の意図
閉三次元多様体の分類問題
基本群が自明
ループの集合が、ただ一つの要素からなる集合になる
ポアンカレ予想
閉三次元多様体が三次元球面でないのに、その基本群が自明になることはあり得るだろうか
多様体の幾何構造
幾何化する、幾何構造を入れる
多様体に、各点の充分近い範囲で通用する計量を設定すること
イメージ
ふわふわとした形の決まっていない多様体を形の決まった硬い多様体に変えて分類する。
ガウス-ボンネの定理
曲がり具合(ガウス曲率)をすべて足す = 2π × オイラー標数(「頂点数-辺の数+面の数」)
2次元閉多様体である閉曲面はすべて、定曲率幾何学の球面幾何学、ユークリッド幾何学、双曲幾何学によって、幾何化できる。
サーストンの幾何化予想
幾何化予想
任意の閉三次元多様体は、幾何構造をもつ部分への標準的な分解をもつだろう
サーストン
直積多様体のような空間も、もととなる幾何学として考えよう
サーストンの怪物定理
本質的トーラスを含まなくザイフェルト多様体でもない素なハーケン三次元多様体は、いつでも双曲幾何構造が入る。
ハーケン多様体なら、幾何化予想は正しい。
ペレルマンの証明
リーマン計量
多様体の各点で接ベクトルに対する内積。幾何構造を一般化したもの。
計量が与えられれば、多様体の曲がり具合を定義でき、リッチ曲率というものに注目できる。
リッチフロー方程式
任意の三次元多様体に対して、方程式をたて解くことで、自動的に三次元多様体が分解され幾何化される。時間によって変化していくリーマン計量の列を考える。ハミルトンは、解の存在と一意性を示した。
特異点
それ以降のリーマン計量が存在できない点
ペレルマン
局所非崩壊定理
Mを(3次示とは限らない次元の)閉リーマン多様体とし、Mに対してリッチフロー gtが範囲(0, T)の時間で存在したとする。
このとき、任意の正の数pに対して、以下の条件を満たすある正の数kが存在する:
p未満の正の実数rに対して、時刻tにおけるM内の半径rの球の中で、断面曲率の絶対値が
「1/r**2」未満ならば、その球の体積
はkr**n 以上.
局所非崩壊定理+曲率の制限 →単射半径の下限
よって、特異点の近傍モデルが確かに存在する。
手術付きリッチフローの存在
閉3次元多様体に対して、「手術付きリッチ・フロー」を正しく定義することができる。特に、ある時刻において全体がつぶれない限り、それは全ての正の時間において存在する.
「手術」という操作を数学的に定義した。
・どこで手術できるか
・曲率に関する仮定を壊さないように手術できるか
・手術する時刻が集積しないか
手術する時刻は、有限時間範囲に有限回である。
有限次元消滅定理
閉3次元多様体Mが、連結和分解により有限基本群の多様体だけに分解されるとき、Mをスタートとする手術付きリッチ・フローは有限時間で消滅する。さらに,手術付きリッチ・フローが有限時間で消滅する(つまり、多様体が1点につぶれる)ならば、実はその多様体は、有限個の球面幾何構造が入る多様体と S2xS1の連結和である
手術付きリッチフローの長時間挙動を調べる。

p12より引用
ポアンカレ予想の数学をもっと楽しむなら
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本書と一緒に読んでみてください。
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