ブルーハーツ「やるか逃げるか」の歌詞の考察を行います。
この曲は、アルバム「STICK OUT」に収録されています。
作詞は、真島昌利(マーシー)です。
この曲は、1992年に成立した「PKO協力法」に反対する曲ではないかと言われています。
「PKO協力法」は、簡単に言うと、自衛隊を海外に派遣する法律です。
そういったことを頭に入れつつ、歌詞を詳しく見ていきましょう。
勲章の一つでも もらえるかもしれない
まずは、冒頭の歌詞を見ていきましょう。
南の国へ行こう
日焼けでもしに行こう
死んだらそれでさようなら
勲章の一つでも もらえるかもしれない
最初は、『南の国へ行こう』という歌詞から始まります。
何も知らずに聴くと、「バカンスにでも行くのかな?」と思うかもしれません。
ただ、「PKO協力法に影響されて書いた曲」ということを考えると、これはおそらく、「自衛隊員が南国に派遣される」ということだと思います。
『日焼け』というのは、バカンスで日焼けするのではなく、「紛争に介入する活動をして、日焼けする」ということでしょう。
その後の、『死んだらそれでさようなら』という歌詞が強烈です。
これはおそらく、「頑張って紛争に介入しても、そこで亡くなったら意味がないよ」と言いたいのでしょう。
この部分の歌詞を見ると、やはりマーシーは、自衛隊の海外派遣には否定的だと思われます。
そして、『勲章の一つでも もらえるかもしれない』という歌詞が続きます。
これも、「亡くなった後に、勲章をもらっても意味がない」と言いたいのだと思います。
面と向かってキックされたらどうするんだ?
さらに歌詞を見ていきましょう。
南の国へ行こう
ダイエットしに行こう
死んだらそれでさようなら
面と向かってキックされたらどうするんだ?
ここでは、『ダイエットしに行こう』という歌詞が出てきます。
これは、「過酷な任務によって体重が減る」ことを『ダイエット』という言葉で皮肉っているのだと思います。
そして、『面と向かってキック』という言葉が出てきます。
『キック』というのは、おそらく「攻撃」のことでしょう。
日本の自衛隊は、平和憲法があるため、PKOの活動では「後方支援」を行います。
ただ、紛争地域では、「完全に安全な場所」はありません。
「後方だ」と思っていたら、正面に突然相手が現れて、攻撃される可能性もあります。
この歌詞では、「そうなった場合どうするんだ?」と問いかけています。
サビの歌詞①
サビの歌詞を見ていきます。
やるか逃げるか どうする?
やるか逃げるか どうする?
この「やるか逃げるか」というのは、「自衛隊をPKOに派遣するのか、それともしないのか?」と問いかけているのだと思います。
安っぽいヒロイズム 嫌いじゃないもんな
2番の歌詞も見ていきます。
戦車に乗れるかもよ
マシンガン撃てるかも
死んだらそれでさようなら
安っぽいヒロイズム 嫌いじゃないもんな
この部分では、『戦車』『マシンガン』といった、戦争に関わる単語が出てきます。
男性なら、「戦車に乗ってみたい」「マシンガンを撃ってみたい」と思う人もいるでしょう。
ただ、ここでも、『死んだらそれでさようなら』という歌詞が出てきます。
「戦車に乗ったり、マシンガンを撃ったりすること自体は面白いかもしれないけれど、紛争に巻き込まれて死んだらおしまいだよ」と言っているのでしょう。
そして、『安っぽいヒロイズム 嫌いじゃないもんな』という皮肉っぽい歌詞が続きます。
「安っぽいヒロイズムを振りかざしてPKOに参加しても、死んだら意味がないよ」ということだと思います。
不条理に不意打ちを 食わされたらどうする?
さらに歌詞を見ていきます。
愛するあの娘のため
平和を守るために
死んだらそれでさようなら
不条理に不意打ちを 食わされたらどうする?
戦争や紛争は、「愛する人を守るため」「平和を守るため」といった大義で行われたりします。
ただ、そんな立派な大義を掲げても、「死んだらおしまい」と言っています。
そして、戦争や紛争では、「不条理な不意打ち」をくらうこともあります。
「立派な大義を掲げていても、不条理な不意打ちでなくなってしまうこともある」ということを言いたいのでしょう。
サビの歌詞②
最後に、またサビが来ます。
やるか逃げるか どうする?
やるか逃げるか どうする?
2番の歌詞では、1番と違って、「戦争にまつわる具体的な単語」や、「戦争の不条理さ」を示す言葉が出てきました。
そういったことを受けて、改めて、「PKOに参加するべきか、しないべきか」と聞いているように思えます。
そして、作詞をしたマーシーは、「平和を守るという大義があっても、紛争地域に行って死んだらおしまいだから、参加しない方が良い」と思っている気がします。
まとめ
ブルーハーツ「やるか逃げるか」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
この曲は、「PKO協力法」に反対する曲として作られたと言われています。
ただ、じっくり歌詞を見ると、明確に反対している訳ではなく、「紛争地域に行くと、亡くなる危険もあるが、それでも参加するのか?」と問いかけている曲になっています。
そして、この曲を2020年代に聴くのであれば、あまりPKOにこだわらず、「日本が他国の戦争に参加するべきか、しないべきか」という観点で聴くのが良いと思います。
今、日本は、アメリカと同盟関係を結んでいます。
ただ、アメリカという国は、「積極的に戦争を仕掛ける国」という側面があります。
今の日本には、平和憲法があるため、「アメリカの戦争に自衛隊を連れていく」ということはできません。
ただ、「憲法を変えた方が良い」と言う政治家が、段々増えています。
今後、平和憲法が変えられて、「戦争ができる国」になる恐れもあります。
そうなった後、アメリカがどこかの国に戦争を仕掛けて、「日本の自衛隊を出せ」と言うかもしれません。
平和憲法があれば、「憲法があるので、自衛隊は出せません」と断ることができます。
しかし、平和憲法がなくなってしまえば、おそらく、アメリカの要請を断れなくなります。
アメリカは、どこかの国に戦争を仕掛ける時、「世界の平和を守るため」という大義を掲げるでしょう。
その大義を掲げた戦争に自衛隊が連れていかれて、戦死者が出る可能性があります。
アメリカの戦争に巻き込まれて、多数の日本人の戦死者が出るのは、まさに「悲劇」だと思います。
そういった悲劇を起こさないように、平和憲法は変えない方が良いと私は考えています。
他国の戦争に参加しないようにするためには、やはり「平和憲法」が必要です。
この曲を聴いて、そんなことを考えました。