信楽(しがらき)くんは学年に1人くらいはいる変な子で、癇癪持ちで落ち着きがなくてちょっとした事でパニックになったり怒り出しだりするっていう、まあ流行りの発達障害ですかしら。
一方の清水(きよみず)くんは成績優秀で足も速い(小学生の時は足が速い男子がモテるざんす)なんでも出来すぎるんで毎日が退屈だと思ったりする優等生。家庭も裕福なんです。
みんなが難しがる問題も清水には簡単なのですが周囲に合わせてたまにわざと間違えたりします。
それは清水のマインドが「俺は人から妬まれたり、嫌われるのが一番怖い」と過度に危惧してるからでしてね。信楽の事も「自覚なく傷つけてしまうだろう」から彼とかかわるのを意識的に避けていたのです。大人やねー
2人は小学5年生なんですが、ある時信楽の才能に気づいた清水は驚き興味津々となってストーカーのごとく彼を観察し始めます。
信楽は自由奔放な感性で図工の粘土や表題にもなってるどくだみの繁る草むらでアーティスティックな草人形(呪いのブードゥー人形みたいな奴)やら創作していて、清水の目には素晴らしいアート作品に見えすっかりハマってしまうのです。
もう好きな気持ちが抑えきれず、あの大人びた、あの優等生の清水が、クラスの問題児の信楽といると様子がおかしくなり、なんつーか推しを目の前にしたオタクのごとく妙に大興奮した挙句の奇行の数々に、ついには信楽から「お前落ち着きがないんだな」と言われてしまう始末。
コミュ障だと思ってた信楽からダメ出しされてしまったよ。やれやれ
集団から浮いてる人と仲良くなる漫画はよくあるんですが、これは実にセンスの良いコメディです。
自分の方が上だと思ってたら下になってたり2人の関係性が逆転するのが妙味ですが、なんせまだ小5ですけん、いやはやそんな事はこの際どうでもいいよ楽しいから一緒にいたいという清水の心の声が聞こえそうです。
小5って設定が良いんですよね。
丁度大人になり掛けで男子は声変わりする子もいますが、~secret base~君がくれたもの~的な少年同士の友情物語として読んでもよいものです。
(いやBLとかではないよ全然まだクソガキだから)
それと彼らを取り巻く人たちもキャラ付けがきちんとされていて、台詞回しも巧みです。
何より悪い人が1人も出て来ませぬ。
クラスメイトも担任の先生も清水の両親や信楽のママ(シングルマザー)も、基本いい人しかいない優しい世界なんです。ほんわか
さて2巻は小学生にとって楽しみな夏休みです。
清水は夏休みの計画表を綿密に作り上げ、「自分がサポートすればもっと色んな作品が見られるはずだ」と信楽にあれこれ口出しします。
例のケンタッキーの骨みたいので何かを作ろうとしてる信楽がイライラし出すから、清水は自分の家のが涼しいと家に連れて行ったり、骨を接着するための接着剤を買いに2人でホームセンターへ行ったりします。何が出来るんだろね。(しかもお会計は清水持ち)
すると信楽が突然バザーに出ると言い出し予定表が狂うと清水は慌てますが、信楽をサポートすると言いつつコントロールしようとしてた自分を素直に反省します。
信楽は実は家のエアコンが壊れたからエアコン代が欲しかったのよ。
しかしあの作品をバザーに出して買い手がつくのだらうか?
そんな信楽ですが、作品のモチーフに選ぶものはいつもじーっと観察しています。
そういう信楽を清水もじーっと観察してるわけですが、「あんなに熱心に観察してたら言葉の通じない相手とも話してるように見える」と思うのです。
それは自分にはきっと一生できない会話だろう、とも思います。
清水はこれまで人とそつなく付き合ってきたけど、真に友達を大好きになる経験は初めてなんじゃないかしらね?
恋は人を成長させるから沢山恋をしなさいと言ったのは瀬戸内寂聴ですが、若い時に友達を好きになる経験も同様ではないでしょうか。
また唐津さんという女子が登場し、唐津の視点から見た2人も描かれます。(登場人物のネーミングが焼き物だとやっと気づいた)
「清水くんはわかりやすい優等生だけどなんで信楽くんのような子と一緒にいるんだろう?」という一般的な疑問から、「みんなが言うように信楽くんのお世話係をさせられてるのは本当だろうか?」と思いながら2人を自宅に招いた唐津。
ちなみにお世話係とは・・・・障害のある子どもなどのフォローを教員が特定の子どもに任せてしまう事でして、授業のサポートや登下校の付き添いなど多岐に渡りますが、なんでウチの子が!?と怒る保護者もいて問題も指摘されております。
うーん話がそれましたが、唐津ちゃんはクラス替え後、人に意見を合わせようとしてささいな嘘をつき(相手に合わせて「私もこれ好き~」と言ってみたり、「私もこれ苦手~」と言ってみたり)つじつまが合わなくなり焦ってまた嘘をつき、なんとなく仲良しグループ内で噓つき扱いされてるんです。
こういう空気感、小学生とは言え女の子の世界はシビアですからよくわかります。
飼ってる亀と話せると言っても信じてくれないだろうと思いながら、でもなんでか2人の前では言えた唐津。
2人が帰るのが淋しくて、「私、今日誕生日なんだ」と嘘をつきます。
でもすぐに「嘘だよー」と訂正し、清水はあっけにとられますが、信楽はいつもの無表情で「やる」

ウソの誕生日プレゼントをくれたんです。
信楽みたいな子は相手の気持ちを想像したり表情などから意図をくみ取るのが苦手だと聞きますが、たぶん誕生日って言われたからプレゼントをくれたんだと思うけど、それが本当でも嘘でも彼には関係ないんですよね。
図らずも唐津のついた嘘は嘘でなくなったわけでして、唐津は救われたような気持ちになります。
この場面良かったですねーヨカッタ
そのプレゼントは俺がもらう作品では?!と焦る清水の表情も面白いです。
その他、通知表が配られたことで逆に先生に通知表をつけてみる清水の話や担任の小鹿田先生(良き先生)がコンビニの前で清水に気づき慌てて逃げて行ったわけあり場面とか読書感想文を何の本で書こうかと悩んだり2人で海へ遊びに行ったり2巻もとても楽しかったですわ。