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ゲームのBGMがさまざまなアレンジで流れるのはもちろんだが,本作を見たファミコン世代の人にとっては,懐かしいヒット曲が使用されているのも印象的だったのではないだろうか。a-haの「Take On Me」,AC/DCの「Thunderstruck」,ELOの「Mr. Blue Sky」といった曲が要所要所でストーリーを盛り上げてくれるが,その中に「Holding Out for a Hero」もある。
ボニー・タイラーさんが1984年にリリースしたこの曲は,麻倉未稀さんが歌った日本語バージョンもテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌として有名だが,実は「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」以外にも,さまざまなゲーム関連作品で使用されている。単なる偶然では流せそうにないほど,よく耳にする曲なのだ。
というわけで,本稿では,この曲が流れるほかの作品も紹介しよう。知ったところで何か得をするわけではないが,話のネタぐらいには……。
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映画「名探偵ピカチュウ」
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2019年に公開された映画で,原作はニンテンドー3DS用ソフトとしてリリースされた同名のアドベンチャーゲーム。主人公のティム・グッドマンが,父親のハリーが追っていた事件の真相を突き止めるため,ハリーの元相棒であるピカチュウとともに奮闘する物語が描かれる。
ただしこのピカチュウは,なぜか人の言葉を話す。しかも遠慮なくものを言い,コーヒーが大好きで,格好付けるがどこか締まらないという,あまり可愛くないピカチュウだ(英語版の声はライアン・レイノルズさん,日本語吹き替え版の声は西島秀俊さんが担当している)。
そんな本作のどこで「Holding Out for a Hero」が流れるのかというと,実は本編ではなく予告編。壮大なスケールを感じさせる曲調がポケモンたちのアクションにハマっているし,曲がブレイクしたところにコメディシーンが入る構成には思わず笑みがこぼれてしまう。日本向けの予告ではしっかりと麻倉未稀さんバージョンに差し替えられており,「なぜ本編で流れないの?」と思ってしまうほどだ。
映画「テトリス」
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2023年3月にApple TV+での配信が開始された作品。1980年代にソビエト連邦で開発されたゲーム「テトリス」の西側における販売権利を巡って,虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
物語のベースとなっているのは,かつて日本でゲーム会社ビーピーエスを立ち上げ,現在はテトリスカンパニーの社長を務めるヘンク・ロジャース氏がテトリスの権利を取得したときのエピソード。ロジャース氏以外にも,テトリスの開発者であるアレクセイ・パジトノフ氏,任天堂社長の山内 溥氏,任天堂アメリカ社長の荒川 實氏ら,ゲーム業界の著名人が多数登場する。
実話がベースではあるが,ひたすらテーブルでの交渉シーンが続くわけではなく,ソビエト政府内で繰り広げられる陰謀あり,親子のすれ違いあり,アクションありと,全体的には視聴者を飽きさせない娯楽作品という印象だ。
そんな本作で流れる「Holding Out for a Hero」は,なんと日本語版とロシア語版の2種類。ReNさんが歌う前者は物語の序盤,家庭用ゲーム機向け「テトリス」の開発が本格的にスタートするところ,Polinaさんが歌う後者は手に汗握るクライマックスシーンという,どちらも大事な場面で使用されている。
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ゲーム「Marvel's Guardians of the Galaxy」
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2021年10月にリリースされたアクションアドベンチャーゲーム。タイトル名からも分かるようにマーベルコミックが原作で,プレイヤーは主人公のスター・ロードとなり,個性的すぎる仲間たちとともに銀河の危機へ立ち向かう。
「Holding Out for a Hero」はゲーム本編にも使用されているのだが,印象的なのは,2020年のE3に合わせて公開された発表トレイラーだ。
世界中のゲーマーが注目するイベントで,マーベルの名前を冠したタイトルを初披露する重要なムービーのBGMに大抜擢されたということになる。本作には2014年に公開された実写映画版と同様に,1980年代の名曲が多数収録されているのだが,その中から選ばれた点にも価値があると言えるかもしれない。
ムービーを見れば,激しいアクションにも,熱い友情が感じられるシーンにも,おバカなノリにも,なぜかピッタリハマってしまう曲であることが分かるはずだ。
ゲーム「セインツロウ ザ・サード」
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2011年にPS3 / Xbox 360向けにリリースされたアクションアドベンチャーで,移植やリマスター作品が現在までの主要なプラットフォーム向けにリリースされている。
ストリートギャング「セインツ」のボスとして,何でもありの戦いを戦いを繰り広げる本作では,車に乗ったときにラジオで「Holding Out for a Hero」が聴ける。だが,最も印象的なのはストーリー終盤の山場となっているミッション「三つ巴」のBGMとして流れてくるときだ。
敵からの激しい攻撃をくぐり抜けながら,宿敵のキルベインを始末するか,対ギャング特殊部隊に捕らえられた仲間のショーンディを救出するかを決めなければならないという,熱いミッションを盛り上げてくれる。
ボスという地位にあるのに,交差点で車に轢かれまくって保険金を稼いだり,後部座席に機嫌が悪いトラを乗せてドライブしたり,モザイク付きの全裸(プラットフォームによっては下着姿)で街中を走り回ったりと,下っ端のような仕事をしてきた苦労も,この曲を聴きながらだといい思い出になるような気がしないでもない。
こうやってまとめてみると,「Holding Out for a Hero」は,シリアスとコメディ両方の要素がある作品で使われることが多いようだ。文句なしに格好いい曲なのだが,あまりの格好良さが,コメディに入ったときの面白さも引き立てているような気がする。
ともあれ,約40年前にリリースされたにもかかわらず,今なおさまざまな作品に使われている「Holding Out for a Hero」が名曲であることに疑いの余地はないので,オリジナルを知らない人たちにも,ぜひ聴いてほしい。









