物語に没頭させる引力が強い作品だった。

ちなみに続編?ぽいものは未プレイ。*1
感想(ネタバレなし)
メッセージ性の強い作品と聞いていたけど、シナリオの世界も深いところまで練られているのでメッセージばかり先行することもなく。かなりの良作だった。
ゲーム始めた当初は、本作の絵がかなり濃い塗りなこともあって重い話が進むのかなと思っていたが、主人公はじめみんなかなり明るいのでそんなに暗さは感じなかった。もちろん、シナリオゲーなので重いところは重い。
メッセージも最初から最後まで一貫していてブレを感じなかった。やりたいこと、伝えたいことが明白なのはわかりやすい。シナリオゲーが好きな人にはおすすめ。
逆にえっちなシーンとかヒロインとのいちゃいちゃは数が多くない。ただ、質はよかった。うれしいね。
以下はネタバレ有でいく。
感想(ネタバレあり)
話が進んでいくたびに謎が深まっていくのがよかった。一般的なギャルゲーはヒロインのルートを攻略していくと、ヒロインについての謎が解き明かされていって問題が解決してハッピーエンドとなる。本作はヒロインのルートを攻略していくと、主人公である司の謎が増えていって、謎なまま終わる。これ面白かったな。司がヒロインかよと思ってしまったし。ただし、謎ばかり増えるわけでもなく、このシナリオの世界が少しずつ見えていくのがわくわくしてよかった。
こういうのって期待を持ちすぎて最後の解決でずっこけることもあるのだが、本作は納得できる気持ちの良い終わり方で終わってくれた。後述のメッセージ通り、みんなが現実世界に戻っても仮想世界での経験をもとに羽ばたき続けていることが知られてうれしい。仮想世界側の2人が取り残されたわけでもないことに愛情を感じる。
肉体がある人間と画面上のAIの友情をはぐくんだものとして音楽、それもピアノに焦点を当て、人間とAIが同じレベルで取り組めるものとして連弾を持ち出すのは画期的だった。ずっと流れていたピアノ調BGMがその連弾だったのは凄みに圧倒された。
王道を行きつつ新鮮味もあった実に良いストーリーだった。
それぞれのルートについて
共通ルート
最初の章は主人公が日向子だが、再び立ち向かう勇気を得たあとは司が主人公。司はなんでもそつなくこなして生きているが、過去の記憶がない。急に発作のような症状で過去を思い出していそうなシーンが入る。白い髪の子に「仮面」の話、「あなたはとうに、亡くなっているのですから」と言われてOPへ。共通ルート終了。
日向子ルート
主題にもなっている、失敗しても再度立ち向かう勇気とミリャの正体についてがメイン。ここで、主人公の司は本当は弱い人物だとわかる。ラストは司と紗希*2が「行かなくちゃいけないところがある。」といって立ち去り、ED後に外の世界で日向子と紗希が大学に通っていることが示されて終わり。ここで、ヒロインを攻略しても何もわからないゲームなんだと気が付いた。
流花ルート
"強く"生きる生き方とAIの暴走がメイン。強くストイックな生き方をする流花に司が惹かれる一方、流花がストイック一辺倒ではない楽しい生き方と、変化に向き合うにはどうすべきかを知る。AI関連でこの島に重大な問題が発生していそうな雰囲気がわかる。雰囲気だけ。最後は司が覚醒し、「全部思い出した。俺がここに来た理由。これからしなければならないことを。」などと流花もプレイヤーも置いてけぼりにし、ED後には外の世界。現実世界での司は研究室で眠りについている?ここでもこの世界の端緒しかつかめない。
ももルート
ぐいぐい進む人間の孤独と感情を持ったAIの話がメイン。トトちゃんという、ももが作り出したAIとの衝突や和解、出会いを通じてAIとの友情が深まる。やっぱりここでもAIが出てくるので、人工知能が1つのメインテーマとわかる。最後は世界を救う研究のためにももちゃんとは会えなくなり、ずっとタブレットに居たはずのトトちゃんと一緒にももちゃんの助けを待つことになる。ここで主人公の司もまたAIなの?となる。
アイルート
全ての解決編。この世界が生まれた経緯、司の過去などすべて明かされる。
メッセージ
現実世界で失敗して傷ついたら休んでいい。それが架空の世界であっても構わない。でも、十分休めたらもう一度現実世界で生きていかなきゃいけない。架空の世界であるゲーム側からこういわれると、自分を肯定されつつ現実への活力が湧いてくる。ゲームの物語にも強くリンクしているので、すっと心に入って来るメッセージだった。
※以降は自分用メモのようなもの。
理解できなかった謎
話が複雑に展開していったので、自分が記憶から抜け落ちてしまっているのかすべての謎は回収されなかった気がする。その辺はちょっと不満が残る。
なんでユウは自分の分身としてアイを生み出したのか
ユウが突然分身としてアイを生み出し、それに公社が反発してトライメント計画は中止になり、AIによる世界封鎖が起きた。ユウは司がやってきたからアイを生み出したことはわかるんだけど、何を期待してアイを生み出したのか?司を休めたいというユウ本人の意志がありつつも、司に羽ばたいてほしいという思いがアイの生成に至ったのだろうか。
紗希はなぜミリャという名前だったのか。なぜしゃべれなかったのか。
日向子のルームメイトであるミリャは本当は日向子の古い友人である紗希。なんで違う名前で過ごしていたのかの説明はなかった気がする。ミリャ状態だとほとんど言葉ははっせないのだが、この世界が仮想世界であるならば、現実の状態にかかわらず喋れたりしてもよさそうなものだ。実際に司は現実では昏睡状態なのにこの世界では自由に過ごしている。
解決編であるアイルートと他のルートはどんな関わりか
アイルートでは、各ヒロインたちが個別ルートの記憶を思い出すようなしぐさがある。仮想世界だから、他のルートで起こした物語がアイちゃんルートの世界にノイズとして入ってきているのか?
理人はなぜ仮想空間からの脱出に非協力的だったのか
この世界が仮想空間で、脱出不可能な状態であると知ったヒロインたちは脱出方法を探り始める。でも、司の友人ポジションの理人は仮想空間に残りたがってヒロインには協力してくれない。理人が仮想空間から現実に戻りたがらない理由がわからなかった。
ももルートのトトちゃんが消えた理由
トトちゃんはルートの最後に肉体をもって再登場する。AIが感情を持てたから肉体を持てたってことか???同じく感情を持つAIであるユウやアイが肉体を持っているから、トトもタブレットから抜け出して肉体を持ったってこと?