格闘ゲームが流行るのに大事な要素ってなんだろう。いろいろ言われるけど、僕は結局人だと思う。
「なぜ格闘ゲームは流行らないのか」「なぜスト6だけが流行って他のゲームは流行らないのか」
インターネットではいろいろな意見が飛び交っている。的外れなものから頷けるものまでいろいろあるが、人とかコミュニティという点を最重視している意見は僕の観測範囲では少ない。しかし実際に大事なのはそこだと思う。
よくある意見を叩いて気持ちよくなろう
まずはよくある勘違い(クソデカ釣り針)を叩いて気持ちよくなろう。クソ雑魚の格ゲー衰退論を槍玉に挙げようか。とはいっても何か一つまとまった論考があるわけではないのだが。まあだいたい、「敷居が高い(誤用)」系だろう。分解すると、「コマンドが難しい」「複雑化」「コンボゲー化」「初心者が勝てない」というところだろうか。一つずつ分析していこう。
「コマンドが難しい」
これは嘘だ。アクションゲームが苦手な人にとっては難しい要素になり得るのだが、基本的に今のアクションゲームはもっと難しい。冷静に考えてほしいのだが、格ゲーとかいう35年前のアクションゲーム黎明期のゲームが難しいわけがない。現代のアクションゲームを通ってきた人にとっては、「コマンド?意味わかんねーなんで技出すのにいちいち覚えなきゃいけないの?めんど」という程度だろう。
「スト6はモダンがあって敷居が低い(誤用(しつこい))から流行った」という主張は裏の命題になっている。これはある程度正しいのだが、一つ誤謬がある。実際に難しいかどうかはどうでもよくて、できそうと思わせることがポイントだ。とにかく「でも難しいからな〜」などと思わせて突き放す確率を下げることが大事だ(「このゲームはこんなに難しくて複雑で奥深いんです!」と言われても、誰もやりたいと思わないだろう)。元の主張を正確に言い直すと、「格ゲーをプレイするのは実際には難しくないんだけど、みんな難しいと思い込んでるから、モダンという新しい操作を導入して簡単だというイメージに刷新することで障壁を下げたのが流行の一因となった」という感じか。
だいたい操作が難しくて流行らないんだったらスマブラ流行ってないから。マジで意味わかんねーからあのゲーム。本当にモダンが必要なのはスマブラの方だから。衰退論のおっさんらはスマブラ触って自滅しまくって「スマブラはモダンがないから衰退した!」とでもわめいててください。
「初心者が勝てない」
「俺でもできそう!」と繋がる話だから、続けて話そう。初心者のうちから勝てると、「あ、俺このゲーム結構いけるんじゃね?」という錯覚をおこせる。そしてそれは続ける一因になる。正しい。
「複雑化」
うーんこれは……。複雑なゲームは覚えるのがめんどいから脱落する人が増える。それはそう。でも、麻雀みたいな意味分からん図とKanjiのコマを並べてツモとかロンとかチャイニーズで鳴くゲームを世の大学生がこぞって始めるのを見ると、障害にはなるが魅力があればそれを超えてきてくれる、っていうことだろう。っていうかスト6もかなり複雑なゲームだし*1、余裕で超えてると思うよ。これはもう問題になっていない。
「コンボゲー化」
これは「コマンドが難しい」と「複雑化」のかけ合わせみたいな感じかな。覚えるのめんどくさいし、ニチャニチャクチャクチャしたネバネバコンボくらってる時間は人生の無駄なのでたしかにゲーム側で工夫したほうがいいと思う。コンボゲーだから流行らないってことはないだろうけど、時代に合ってないとは思う。ところでスマブラDXっていう全コンボアドリブかつ読み合いの神ゲーがあってぇ〜(スマブラDXおじさん登場)
良いゲームを作れば流行るというナイーブな考え
今見たように、どの意見もそれなりに正しさはある。では何が間違いかといえば、「流行らないのはゲームに問題があるはずだ」という前提だ。良いゲームでも流行らなかったものは腐るほどあるし、逆に流行ったクソゲーもある。もちろんゲームそのものはとっても大事だが、同じくらい大事な要素がある。それこそが「人」だ。
さっき挙げた問題とかいうものは、友達とやれば全て解決する。コマンドが難しくても「このゲームむじ〜」って言いながら一緒にやれば面白いし、初心者同士だから勝てないとかいう問題もないし、複雑だろうがお互いよく分かんないままやって徐々に理解していけるし、コンボゲーは……いや、コンボゲーはダメかも。30秒くらいネチャネチャ殴られ続けて即死した挙句ラウンドの合間にニチャつかれたら絶縁してしまうかもしれない。
一緒に始める友達がいないにしても、例えば「初心者が勝てない」問題は数戦したあとに上級者側が「対戦ありがとうございました!よくやるんですか〜?」と声をかければ済む話だし、だいたいはコミュニケーションで解決する問題だと思う。
たとえば将棋とか、あるいはサッカーとかバスケみたいなスポーツを想像してほしいんだけど、こいつらは難しいし複雑だし初心者は勝てないし、あろうことかコンボゲーですらあるかもしれないけど、でもいろんな人がやってるよね。歴史が違う? 部活でやれるのとそうじゃないのは違う? そうなんだけど、じゃあそうすればいいよね。ゲームを簡単にするとか、運要素モリモリにするとか、そんなものは小手先で、歴史とかやりやすい環境を作れば人は増えるってこと。ゲーム会社の範疇じゃないと言うかもしれないけれど、本当にeスポーツなんてものを信じていて推し進めたいのなら、そうすべきじゃないのか。だって他のスポーツや競技はそうなってるじゃん(というのは、安易な考えを投げつけただけだけど)。どういう形が良いのか分からないけれど、仮に中高にストリートファイター部があったら、あるいは公民館でストリートファイター教室があったら、と想像してみるのは、悪くない一歩目だと思う。
話が逸れたけど、デベロッパーやコミュニティがやるべきはウンウン唸ってゲームの改善点を絞り出すことだけじゃなくて、どのように人が繋がっていく場や仕組みを作るかってこと。カプコンはそれに気付いていて、バトルハブなんかを作ったんだろうけど。
そもそも「流行る」とは
流行る、というか人口を獲得するということを考えるために、少し分解してみよう。「人の目に触れる」「やってみたいと思わせる」「始めた人が楽しめる」「始めた人が続ける」という四段階くらいで考えれば十分だろう。
「人の目に触れる」 まず知ってもらうということ。プロモーション。CMとか、ストリーム。EVOとかね。
「やってみたいと思わせる」 大事なのは見た目と雰囲気。まず、見て分からないゲームはやりたいと思わない。知らない人でも分かるようなゲーム作りがすごく大事。そして雰囲気。「あのゲームは難しい」と言われていたら尻込みする。だからみんなで「誰でもできる」という錯覚を作ることが大事。さらに人の雰囲気。「あのゲームやってる人たち雰囲気いいな」とか。これはちょっと難しいけど。まずゲームや界隈に良い印象を持ってもらう。そして、このゲーム自分がやっても楽しめるんじゃないかな、って思ってもらう。最後にきっかけ作りとか。ゲーセンとかイベントで触れられる、限定商品、期間限定無料開放とか? まあ、ここはなんでもいいや。得意でしょ、こういうの。
「始めた人が楽しめる」 楽しくなかったら次はない。はじめての人が楽しみやすい遊び方。ストーリーモードとか、特殊ルールとか。モダンもこれだよね。
「始めた人が続ける」 続けてもらえないと人は増えない。この段階になってはじめて本当にゲームの力だと思う。つまらないゲームであれば、やがて他のゲームへ流れてしまう。続けてもらうにはゲームそのものの魅力が重要。
流行るにもやっぱり人
でも実は同じくらい大事なことがあって……。なんと、今話したステップも「人」がだいたい解決する。いや、解決どころか、最も効果を発揮する。だって、友達が話してたら知るよね。で、やってみたいと思う。一緒に遊べるし、共通の話題にもなるし。一緒に遊んだら最初は楽しいに決まってるし、続けやすいだろう。それがねずみ算で増えていく。それでもゲームがつまんなかったら、友達と一緒に他のゲームに行っちゃうけどね。
インターネットの功罪
人の繋がりを阻害するもの、それはずばりインターネット。オフライン対戦が主流の頃、ゲーセンのゲームであればゲーセンで、家庭用のゲームであれば誰かの家に集まって、というのが当たり前だった。そういう場では自然と人と関わることになるが、2000年代後半〜2019年にかけて、状況は徐々に変わっていった。
光回線による通信安定性の改善、2019年のロールバックコード公開、ディレイをわざと仕込んだり消したりといった工夫によって、オンライン対戦の品質はオフラインとほぼ遜色ないものになり、ちょうどコロナ禍による生活様式のスイッチングも重なって、人々の軸足はオンラインへと移った。
もちろん素晴らしいことでもあって、練習の時間や機会は飛躍的に増え、プレイヤーのレベルは格段に上がった(今のプレイヤーが10年前の動画を見たら、レベルの低さに驚くと思う)。一方、プレイヤー同士の繋がりは希薄になった。
人々のプレイ様式は一変した。ゲームするという言葉の意味は、適当に集まって対戦したり駄弁ったりご飯食べたりするというものから、家でトレモするかランクマするかというものに変化した。移動時間なしでトレモとランクマだけするのは、確かに効率が良い。少ない空き時間でも練習することができる。でもそれは、目標設定を誤ってる。ゲームする意味って、一番強くなるとか、効率よく強くなるとかじゃなくって、楽しむことだよね。一見無駄に思えるようなゲーム外の要素こそ、実はゲームを楽しむために重要な味付けなんだ。
今でも昔と同じことはできると思うかもしれない。それは合っているけど違う。便利さを覚えてしまった人は戻れない。「ランクマでよくね?」「オンラインでできるのに何でわざわざ?」はじめに問いが立ち塞がる。壁を越える理由ができるまで、人はドアの外に出てこない。
デベロッパーとコミュニティは何ができるか
デベロッパーとコミュニティが抱えている問題と、できそうな施策の話。
ランクマ
まず大前提として、多くの人にとってランクマはゲームではない。戦闘狂の皆様方には信じられないかもしれないが、ゲーマー人口のボリューム層、つまりカジュアルな層にとって、対人ゲームは他者と楽しむためのツールであり、覆面同士ですれ違いざまに勝った負けたを繰り返すシリアスなものではない。しかしながらランクマはそこに「ある」ため、一人で始めたプレイヤーが触れる最初の「遊び」はランクマッチになる。これはまずい。彼、彼女はランクマッチのシビアさ、無味乾燥さに唖然とし、すぐに踵を返し、二度とゲームを起動することはないだろう。このような悲劇を生まぬよう、認定戦の前に「この先は戦場です。ゲームではありません。」と警告を出すべきだ。
桜井政博はこれを理解していて、世界戦闘力だのランクのカラー化だのやっているが、あまり機能しているとは思わない。世界戦闘力とかいう数字はよく分からんけどさすがに頭の数字が変わるとムカついてくるし、やってるうちに数字の感覚もついてくるので結局ムカついてしまう。カラーは事実上のランクだろうし、調べればすぐムカつけるようになるだろう(人間の知的好奇心を舐めてはいけない!)。それに、ランクマのシビアさの軽減には寄与するが、無味乾燥さには触れていない。
僕としてはランクマなんてゲーム体験として最悪なんだから閉鎖すべきとまで思ってしまうが、そうするとバーサーカーがやらなくなってしまうので難しい。答えはない。
交流会
名前の通り。人が交流するための場であり、交流するためのイベント。
バーサーカーが陥りがちな思考として、「大会を開けば人が増える!」というものがあるが、それで集まるのはコア層だけであり、カジュアル層が増えることはない。何故なら、プールで全敗して終わると分かっている大会にわざわざ貴重な休日を費やして単身乗り込むカジュアル層はいないからだ。
カジュアル層に必要なのは交流の場だ。大会でも交流できるだろ!と思うかもしれないが、休日に出かけもせず飲み会もせず家でゲームをやっているようなダンゴムシ達にそんなコミュ力があるわけなく、全敗したが最後、無言のまま椅子の上で6時間丸まって帰るのがオチだ。自然に交流して、連絡先を交換させるような𝒆𝒗𝒆𝒏𝒕を作ってやる必要がある。
交流を目的として、交流しやすい施策をして、ダンゴムシ達を支援してやる必要がある。「通話繋いでプレマするまでが交流会です。」これでいきましょう。
Discord(◯◯窓)
「人の繋がりを阻害するもの、それはずばりインターネット」と書いたが、本来ノードとノードを繋ぐ技術がインターネットで、つまり人と人を繋ぐ技術でもある。溺れると毒だが、うまく扱えばオフラインでは考えられなかったことが可能になる。
スマブラSPのキャラ窓(同じキャラクターを使う人が集まるサーバー)が有名で、いいモデルだと思う。僕自身クラウド窓で遊んでいたことがあるけれど、フレンドリーな人が多くて本当に楽しく過ごさせてもらった。スト6でもキャラ窓はたしかあって、あとはストリーマーサーバーとかかな。ファン層みたいなのもできてきたから、ファンコミュニティとかもいいかもしれないね。ストリーマーサーバーも広い意味ではこれなのかな。
ゲーム内広場
要は、バトルハブ。勝手に交流が生まれるのを狙いたいから、ログインボーナスとかデイリーミッションを作って、とりあえずバトルハブログインするか、とりあえず毎日2ゲームだけするか、みたいなところかな。もうやってんのかな。よく知らない。
協力するミッションとかがあってもいいかも。コスト高いし、できるゲームは限られそうだけど。
個人は何ができるか
小さな話をするなら、ひたすら声をかける。これに尽きる。いわゆる前ステ。怖いけど、意外となんとかなる。同じゲームをやってるっていう最強の共通項があるから。
ある程度人がいるゲームなら、良さげなDiscordサーバーに入ってみるとか、対戦会行ってみるとか。そっから前ステ。前ステから前ステ。
うまくいかなかったら? そんなやつ普通にキモいから関わり合いにならなくていい。ゲームと一緒、とにかくたくさん技振って当たってたらコンボに行きましょう。
結局のところ、ミクロでゲーム人口を増やすのは、「初心者に手当たり次第声をかけて仲良くなるコミュ力お化け」と、「誰かと一緒に始める初心者」だと思う。どっちかになろう。どっちかになることが前ステするということだから。
今北産業
- 流行るには結局人
- 交流できる場所作ろう
- 前ステしよう
*1:スト6はシンプルなゲームとされているが、シンプルなのはストリートファイター的なやり取りだけで、複雑な補正、コンボカウンター、空中コンボ可否、キモい簡易コマンド、非直感的なヒットガードF、技ごとにキャンセル可否設定、技ごとに違うキャンセルタイマー、SA3のみスパキャン可能、っていうか普通にゲージシステムが多い。でもスト6はシンプルなゲームですっていう雰囲気が大事なので黙っておこう。