最近気になる。
気がする
中動態を人に説明するとき「『気にする』と『気になる』の違い」というのを用いるけど、これは、なるほど「そうか」とわかる。 わかった気になります。
この「わかった気になる」にも「気になる」が含まれていて、でもこの場合は「わかった気にする」とは言わない。 全然ないとは言わないけど、あまり使われません。 そのときは「わかった気がする」になるからだと思う。
もちろん「気にする」の「気」と、「わかった気がする」の「気」は別ものでしょう。 「わかった気」は「わかったという感じ」であり「そういう感じが湧いてきた」を示している。 対して「気にする」には「いつも頭に浮かんで離れない」という固執性がある。 この場合の「気」は「意識」を指しているのだろう。 「感じ」と「意識」は重なるような、重ならないような微妙な区別を含んでいて、「気」はそのどちらにも力点を置きうる言葉になっている。
さて、「気にする」と「気になる」とは別の「気がする」という語用法を見つけた。 この「気がする」は能動態か中動態かと問われると、たぶん自然と湧いてきて、自分の中で完結しているので「中動態」と見るところだろう。
循環図にしてみる
これを図にすると下図のようになる。
今のところX軸が何を指しているか、わからない。 また「気がする」とペアになる言葉も思いつかない。 「気がする」を能動態的に扱ったときの用例が思いつけばいいが。
と、ここまで考えて「わかった気にする」はないわけじゃないなあ、と気がついた。 相手を説得するときですね。 「わかった気になるように説明します」というとき「あなたをわかった気にしてあげましょう」と言うかもしれない。
言うかもしれないけど、それは変な言い方なので、これには「わかった気」を使った別の言い方があって、それが「α」の位置に来るんだろうなあ。 なんだろう?
ああ、これは「その気にさせる」か。 「わかった気にさせる」。 これなら普段でも使っている。 「その気にさせる」と「その気がする」は対になるし、ここ辺りだろうか。
でも「気にさせる」だけの用例はないなあ。 「気をもませる」になりそうだ。 相手の注意を自分に引き付けるような場合ですね。 「その気にさせる」。
「その気」で考えていいなら「その気になる」も「その気にする」も使えます。 その気になって失敗するやつだ、これは。
でも「気になる」とは別の事態を指しているように思う。 「その気」には明確な意図、たとえば色恋沙汰のニュアンスがあるけど、「気になる」はもう少し漠然としている。 「あの娘のことが気になる」なら「その気になる」と重なるけど、「悪い予感がして気になる」だと心配をこじらせている。 「気になる」のカバーする範囲は広い。
だから「その気にさせる」にも、それをカバーする「気」のイディオムがありそう。 「させる」の使役形を使っているわけで、X軸の「X1」は「使役」になるのだろうか。 でも、同じX1の「気がする」に使役のニュアンスはないよなあ。 X軸を確定したいけど、どうしたものか。
X軸を仮留めする
「その気にさせる」と「その気にする」はどういう二項対立か。 これが対概念になる軸を考えるのが手掛かりかもしれません。
「その気にさせる」には相手がいて、その相手が「その気になる」こと。 それに対して「その気にする」は自分の変化に注意が向いてますね。 自分自身を「その気になる」ように方向づけています。
とするとX軸は「他者ー自己」かもしれない。 じゃあ、こうかなあ。
X軸を埋めてみたけど、これが「気がする/気になる」にも適用できるかどうか。 うまくいくような気もするけど、ピンと来ないところもある。
そもそも「気にする/気になる」の共通点は「心配事」なのでX2は「心配」であるべきだよなあ。 「気がする」は「気配」は表すけど「心配」ではない。 何か「気にする/気になる」とは次元が異なるように思います。
初心に帰って「気にする/気になる」の「能動態/中動態」ペアを、別のペアで探してみる。 こう考え直すと「気をつける/気がつく」に気づく。 「注意する」というニュアンスですね。 意識して注意するのか、自然と注意が向いたのか。 このペアを持ってきた方がいいかな。
すると「気がする」が用済みになってしまう。 せっかく思いついたのに。
まとめ
ここ数日そんなことを考えていました。
失敗というより、「気がする」にまつわる循環分析もあるけど、そこに「気にする/気になる」を持ってきたのが袋小路の理由でしょう。 別のグループとの間でループを形成していそう。
そんな気がする。
読み直すと
「感じ」と「意識」のペアを途中で考えてますね。 これをX軸に据えるのかな。