私はオジー・オズボーンもブラック・サバスもほぼ全く聴いたことがないが、これは渋谷陽一の影響であると思う。
渋谷の勧めるツェッペリンを聴いていればパープルもサバスも聴く必要を感じなかった。渋谷がツェッペリンではなくブラック・サバスを勧めていたら聴いていただろうか。番組でかかれば聴いていたに違いないが、積極的に聴いたとはあまり思えない。
ところで、国会図書館通信サービスで渋谷陽一がなんと23歳のときに書いた「レコード・ブック」という本を読むことができる。ロッキング・オンを創刊し、NHK「若いこだま」でラジオDJデビューしたばかりの若書きである。

渋谷陽一のディスク・ガイドといえばこの本を上げる人が多いようだが、

この「レコード・ブック」の方がマニアックな気がして興味深い。
これは読んだことがなかったので、面白いところを抜粋してみる。
まえがきより
私にとってのロックの原体験はビートルズとイギリスのブルース・ロックだが、皆レコードを通してのものだ。しかしそれはそれでいいと思っている。特にロックの場合はレコード制作を第一義とし、ステージ・パフォーマンスはその展開とサービスの為といった傾向が強まってきているので、レコード中心の体験でも問題はないといえる。
わざわざこんなことを書いたのはどうしてかと思ったら、その前に浜野サトルとの間にこんな論争があったのだと知った。
ロックにはある意味でなつかしの名盤というものはない。一番新しいものの中の一番よいものを聴くのがベストといえる。最近、昔のアルバムの中から廃盤になったものを、なにやらありがたがる傾向があるが、全くナンセンスといえる。
このスタンスは本当に最後まで一貫していた。後に自分の番組で廃盤特集をやったりしたこともあったが、常に「新しいものが一番良い」という考えは変わらなかった(むしろその故に生じた疑問もなかったとはいえないのだが)。
アメリカ・ブルース系より
バターフィールド一家がマディー・ウォーターズと共演したライヴ・アルバムがある。スーパー・セッションなんかがわりと流行っていた頃のことだった。バターフィールドにしてみれば最高の共演相手であるはずで、聴き手の方も大いに期待していた。しかし実際のアルバムの出来は惨たんたるもので、バターフィールド一家はあがりっぱなしで、マディー・ウォーターズの回りで遠慮がちに音を出しているだけ。ブルース・ロックのひとつの限界を示したようなレコードとなった。
へえ~、あのアルバムは名盤だと思っていたので、こういう見方は意外だった。

アメリカのロックは徐々にブルースから離れていった。イギリスの場合はブルースからハードなものへと、ある意味で音を純化していったが、アメリカのブルース・ロック・ミュージシャンはブルースから他のジャンルの音へと移行したという表現が近いようだ。その原因がどの辺にあるのかはっきりと言えないが、ブルースを自分たちなりに表現することによって発散されていた初期衝動から遠ざかったといえるような気がする。大人になったのか、それとも老いたのか。
この頃からすでに「初期衝動」というオリジナル造語を使っている。その後の文体と全く同じで、すでに文章スタイルが完成されていたことが分かる。
・・・と、ここまで書いたところで、実は1988年に出た「ベスト・アルバム・セレクション」はこの「レコード・ブック」の改訂版で、しかも渋谷自身が書いたのではなく初期「ロッキング・オン」の寄稿者が手分けして書いた本だったという。
88年の新潮文庫の渋谷陽一著「ロック ベスト・アルバム・セレクション」は、渋谷氏が後書きでバラしたように、僕が多くを書きました。元の74年の「レコード・ブック」も実は初期「ロッキング・オン」の寄稿者が手分けして書いた本で、10数年経った時点では、とても使えない文章が多かったんです。1/3 https://t.co/YUbRAApoIE
— tadd igarashi (@taddihno) 2024年12月20日
なんとまあ、知らないことがまだいろいろあるものだ。
ちなみに、Amazonレビューに、この本で取り上げたバンド、アーチストを列記してくれた人がいるのでそれをコピペしておく。
内容
1.アメリカ・ブルース系:
butterfield blues band
quicksilver messenger service
jefferson airplane
electric flag
blues project
BS&T
steppenwolf
steve miller band
doors
big brother&holding company
mike bloomfield(super session&fillmore east)
leon russell
allman brothers
canned heat
elvin bishop group
mothers
cactus
2.アメリカ・フォーク系:
byrds
the band
CS&N
poco
CSN&Y
delaney&bonnie
loggins&messina
jefferson airplane
doobie brothers
3.アメリカ・ポップス系:
lovin spoonful
chicago
S&G,
oodstock
3dog night
beach boys
santana
temptations
sly
4.イギリス・ブルース系:
yardbirds
john mayall&bluesbreakers
rolling stones
cream
jeff beck group
climax chicago blues band
traffic
blind faith
chicken shack
spooky tooth
who
free
derek&dominoes
ten years after
rod stewart
mountain
BB&A
faces
wishborne ash
rory gallagher
5.イギリス・フォーク系:
dave mason
donovan
fairport convention
bert&john
cat stevens
6.イギリス・プログレッシヴ系:
moody blues
yes
focus
7.イギリス・ポップス系:
procolharum
beegees
bangladesh concert
slade
yoko ono
nicky hopkins
wings
8.日本のロック:
ジャックス
タイガース