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AI -ko

なんか『岸部露伴』の新作映画のBGMの件で話題になってるみたいだが、なぜ前回のサントラ(ルーブルへ行く)の時に話題にならず今このタイミングなのかよくわからない。

なんにせよ大事なのはBGMとしてのクオリティそれ自身ではないのか(法的な問題は別として)。

率直に言って、AI作成の曲は、菊地成孔(新音楽制作工房)の作品も含めて、愛聴するに至っているものはまだない。今度のSPHのセルフリメイク・アルバムは楽しみだが、正直岩澤瞳嬢のボーカルのマジックをAIで超越できるのかどうかについては懐疑的である。

もちろんこっちが単についていけてないだけということも十分あるので、そのうち大好きになるのかもしれない。

個人的にはai問題は「霊媒にベートーベンやバッハのような傑作は書けない(「もどき」ではなく)」という事実に通じるものがあるのではないかと思っている。

 

2023.09.16 13:00
菊地成孔が考えるAIと音楽のこれから 常識を揺るがす可能性があるも“100パーセント肯定”な理由

文・写真・取材=小池直也

 リアルサウンドでは現在、生成AIによって変わりゆくカルチャーについて考える音楽・映画・テック・ブックの4部門合同特集を展開中だ。その一環として、「Max」や「Synthesizer V」などを使用して楽曲制作を行った菊地成孔にインタビュー。「あと2、3年のうちにボーカリストが存在しないポップスのアルバムができる」という菊地が考える、AIと音楽のこれからについて聞いた。(編集部)


現時点ではAIは音楽産業の常識を根底から揺るがす可能性がある

 

――菊地さんは実際にAIを使った楽曲制作に取り組まれているのでしょうか?

菊地成孔(以下、菊地):私が主宰しているギルド・新音楽制作工房は現在20名体制で稼働しています。なかには「先端技術開発部」みたいな人たちもいて、当然AIも使っているんですよ。それによって制作された曲も増えてきました。ただ、今の時点だとAIは権利的に不安定で、音楽産業の常識を根底から揺るがす可能性があります。

 例えばジャズでいうと、フランク・シナトラのアルバムはブート盤を入れても1000枚もありません。その程度だとAIは軽く学習して、フランク・シナトラ風の歌、50年代っぽい空気感とかオーケストラも含めて生成してくれます。

 サンプリングでもコピーでもない、ゼロから生み出される「AIが作曲したもの」ですから、作曲者はAIであり、AIを操作した人。だから音楽産業の考え方が壊れるし、止めた方がいいという議論がされています。確かに考えてみれば残酷な話でもある。

 

――新音楽制作工房で実際にAIを使用した楽曲が、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のサウンドトラックに収録されているそうですが、こちらについては?

菊地:フランスのIRCAM(音響・音楽の深究のための国立研究機関)で生まれ、現在はアメリカ・サンフランシスコで開発されている音楽プログラミングソフト「Max」があります。それを使ってサウンドトラックとして実際に提出した曲が「AI制作による二つの弦楽四重奏の同時演奏」でした。

 その曲は「Max」が2台入ったモデルを使って、片方の「Max(A)」が生成したものに反対側の「Max(B)」を反応させた結果できたものなんです。つまりコール・アンド・レスポンス形式で「Max」が生成した、“四重奏+四重奏=八重奏”の音楽。

 あまりに2台のMaxが相互反応を続けるので「これ、いつ止まるの?」と聞いたら、「停止させるまで永遠に止まらない」と言われました(笑)。そのように無限にできるわけですが、ある程度の長さを生成したもののなかでもポップな部分だけを切り出したのが「AI制作による二つの弦楽四重奏の同時演奏」なんです。

 

――それをサウンドトラックとして使う場合に何かトラブルは起きませんでしたか?

菊地:「こういうわけで作曲者のクレジットもないし、著作権のありかがわからない。それでもいいですか?」と伝えたところ、NHK出版側がJASRACに相談してくれて、そういうことだったら新音楽制作工房のクレジットで問題ないでしょうということになりました。

 ただ今後、法規制が絡んだら考え方は変わると思います。世の中は法規制より早く物事が動きますからね。インターネット黎明期もそうで、事後に規制されていきました。

 

――菊地さんが得意とする、異なる拍子のリズムが同時にタイムラインで共存するクロスリズムの曲などもAIで生成できるようになるのでしょうか。

菊地:僕の作っているクロスリズムくらいなら、もはやAIに頼らずともAbleton Liveとかで簡単にできます。それよりも複雑なクラシックの現代音楽をたくさん学習させて、ポップスに変換生成するようなものが出てきたら、それこそAIでないと不可能な音楽じゃないかなと。どんな音やリズムになるか想像もつかないです。

 

――他に菊地さんが興味を持たれているAIの音楽的な動向があれば教えてください。

菊地:今のAIの進歩で最大のものはネクスト・ボーカロイド、つまり「声」。初音ミクとかってアニメ文化と密接なのでアンドロイドのようなところがあり、それがまたよかったのですが、少し前に出た「Synthesizer V」がすごくて。このソフトには「ジェンダー」というパラメータが含まれていて、男っぽくも女っぽくも中性的な声にもできるし、「テンション」というパラメータを上げれば歌い上げてくれます。現行モデルだとラップもできて、新音楽制作工房で上がってきた曲はもう人間が歌っているとしか思えない。

 だから、デモ音源に仮の歌を入れる「仮歌」の仕事はなくなると言われてますね。松田聖子さんの「ガラスの林檎」(1983年)の仮歌を作曲者・細野晴臣さんが歌った時代に始まり、今のシンガーの影武者のような同等のスキルを持った方が代わりに歌う、という業界のルーティンは終わってしまうのかもしれない。

 

――なるほど。菊地さん自身はミュージシャンがAIに置き換わるという危惧はありませんか。

菊地:僕が若い時にリズムボックスが登場した80年代は「もうドラマーは廃業だ」と言われていて、僕は「絶対にそれはない」と思っていました。リズムマシンが発達するだろうけど、人間が叩く流れと並行して進むのだろうと。そして現状はそうなっています。

 またサンプラーが登場した時も「ブラスセクション(管楽器)がサンプリングで済む」という話になって、スタジオミュージシャンのユニオンがサンプラー使用を制限しようと圧力をかけたことがありました。要するに以前は10人くらい管楽器奏者を集めてフレーズを収録していたけど、サンプルした音の打ち込み精度が上がって本物に近くなったら仕事がなくなるだろうと。

 でも結局は無駄な抵抗でしたね。今となっては歌以外は人間が演奏しているのか、サンプリングなのかも判別できないし、「やっぱり人力がいいな」と思うリスナーもほぼいない。テクノロジーの発達に我々ができるのは身を委ねることのみです。

 

――興味深いです。ボーカル以前に機械/人間の是非がすべての楽器で終わっていた、という理解でよろしいでしょうか。

菊地:そうです。つまり、ボーカルが最後の砦だったんですよ。僕はあと2、3年のうちにボーカリストが存在しないポップスのアルバムができると思ってます。もしくは「この曲は人間で、この曲はAI」という状況になるのではないでしょうか。

 個人的には音楽のAI使用については100パーセント肯定です。ボーカリストはどんどん仕事が減ると思いますし、「1枚のアルバムで全部同じ歌声だと暑苦しい」という時代になると思いますね。それで構いません。

 ただ、その一方で全ての曲を椎名林檎さんやaikoさんの声でがっつり聴きたい人も消えないでしょう。あとは加山雄三さんの「バーチャル若大将」(最新のAI技術で加山雄三をバーチャルヒューマンとして後世に残すプロジェクト)みたいな考え方もあって……どちらにせよ、音楽の未来には楽しみなことばかりです。

 

菊地成孔 AIによる作曲を語る

2024.04.06

菊地成孔さんが2024年4月5日放送のNHKラジオ第1高橋源一郎飛ぶ教室』に出演。ギルド・新音楽制作工房の仲間たちと取り組んでいるAIによる作曲について話していました。

 

礒野佑子)その映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のサウンドトラックの中には、AIを使った楽曲が収録されていましたよね。どんな経緯で?

高橋源一郎)この話はね、今日、実は聞きたかった話だったんですけど。少し前にゲンロンっていうところでスタッフ4人の方が集まって。音楽の未来の話をされていて。特にやっぱり今、AIが使われているという。で、菊地さんは当然、全面肯定なんですけど。その中で聞いた音楽が、「えっ、これ、AIなんですか?」みたいな感じだったので。実際、AI……当然、いろいろと聞かれると思いますけど。音楽家として、ジャズミュージシャンとしてどういう風に向かい合って、何をしていくべきかっていうのをぜひ、聞きたかった。

菊地成孔)ああ、なるほど。AIは今、もうまさに日進月歩とは言ったもんで。もう来月には……要するに単なるアップデートとかじゃなくて。全く新しい考え方のAIがどんどんどんどん出てきているので。

高橋源一郎)毎月のように?

菊地成孔)毎月のようにですね。僕は今、ギルドを持っているんですけども。

高橋源一郎)創作者グループですね。言ってみれば。

菊地成孔)そうですね。その中の……まあ、別にそう名付けているわけじゃないんですけど。要するに、AIを使える人。先端技術の班みたいなのがあるんですよ。

高橋源一郎)それは、菊地さんはやっていないんですね。直接的には。

菊地成孔)僕はやっていないです。なので、元々自分の生徒だった人々と新音楽制作工房っていうギルドを……日本では数少ない。音楽のギルドってあんまりないんですけど。

礒野佑子)ギルドって、メンバーというか、チームみたいな?

菊地成孔)まあ、言っちゃえばチームですね。

高橋源一郎)音楽制作者集団っていう感じですかね。

菊地成孔)そうですね。その中で出てきたものですよ。この間、ゲンロンでかけたやつは。で、AIもね、細かく話すといろいろと……いわゆるディープラーニング型とか、プロンプト型とか、いろんな型があるんですけど。今、まだ法整備とか、倫理整備とかが全くできてないんですね。

高橋源一郎)そうか。あまりに技術が発達しすぎて、追いついていかない感じだよね?

 

技術の進歩に法や倫理の整備が追いつかない


菊地成孔)まあ、テクノロジーあるあるですよね。サンプラーですら、最初はアメリカのギルドなんかは反対を……ミュージシャンのユニオン(組合)が反対したりしたんですけど。やっぱり屈しましたよね。まあまあ、それって産業革命以来、結局ずっとそうなんで。

高橋源一郎)ただ、びっくりしたのは「これは人間しかできない」っていうことがもうほとんどなくなってきてる感じに聞こえるんですね。

菊地成孔)まあ、そうですね。テクノロジーって、要するに徐々に進化する場合と、大ジャンプする時があるんですけど。AIはやっぱりちょっとした大ジャンプですね。音楽のテクノロジーは当たり前ですけど、ドンカマチック……リズムボックスだとか、サンプラーだとか、MIDIだとか、いろんなものが少し少しずつ出てくるわけですけど。AIはちょっと飛び抜けたところがあるんですよね。だから法整備だとか倫理整備だとか。フランスなんかは芸術使用をいち早く……フランスはリベラシオンなので。宣言したりしていて。

高橋源一郎)じゃあせっかくだから一瞬、聞かせてもらいましょうかね。

菊地成孔)これは映画の方。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で使われているAI使用の曲ですね。まだNHKの方とも話していて。「どういうもんかな?」と思ったんですけど「やっちゃえ!」で行っちゃったやつですね(笑)。

 

(『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』から『AI制作による二つの弦楽四重奏の同時演奏』が流れる)

 

礒野佑子)これは『AI制作による二つの弦楽四重奏の同時演奏』という。

高橋源一郎)どこにどうやっているのか……(笑)。

菊地成孔)これはMaxという、もう既に旧世代に属するAIのひとつなんですけど。いわゆるディープラーニング型で。子供を塾に通わせるのと同じで、たくさん教養……音源を与えて長時間、ディープラーニングをさせると生成するんですよ。

高橋源一郎)聞かせてると?

菊地成孔)そうです。これはサンプリングじゃないんです。サンプリングと生成は大きな違いで。サンプリングっていうのは元々ある音をサンプルするわけですけど、これはサンプルしてないんで。勉強させると……。

高橋源一郎)勝手に作ってるの?

菊地成孔)これ、生成です。

礒野佑子)このバイオリンの音色とかは?

菊地成孔)生成です。空間とか余韻とか弾き方とかも全部、生成なんで。サンプリングしてないんですよ。

高橋源一郎)人間は何をどこにマネージしてるわけなの?

菊地成孔)このマネージは、まず何を……「食わせる」っていう風に業界用語で言うんですけども。何をディープラーニングさせるかっていう音源の選択と、それをどのくらいの時間……まあ、寝てる間も勉強させておくわけですけど。それをやって。で、特にこれはOMaxっていう、片方のMaxが自動生成したものに対して、反応するんですよ。で、弦楽四重奏をいっぱい食わせて、それで生成させると、それに対応するんですよ。で、スイッチを止めない限り、延々とやっているんで。

高橋源一郎)これをずっとやっているんだ。

菊地成孔)ずっとやっています。なので、長時間……AIって、これからたぶんそれが問題になると思うんですけど。AIって、倫理的な問題とか、人間の手仕事、職業が、雇用が減るとか何とかっていうよりも、AIって生成物が多すぎて。決定権がどこに来るかがたぶん、問題になると思います。

高橋源一郎)どこで止めたらいいのか、とか。

菊地成孔)そうですね。

礒野佑子)生み出すことはできるけれども。

高橋源一郎)いくらでも生んじゃうっていうことだね。

 

AIが生み出したものを誰が「決定」するのか?

 

菊地成孔)生み方がすごいんですよ。だから、ビジュアルにも僕、使うんですけど。もう一気に100枚とか上がってくるんで。その中から1個を選ぶっていうことを誰がするのか? 誰が決定するのか?っていう。

礒野佑子)それは、人間なのかな?

高橋源一郎)あとは菊池成孔の名前がどこに入るのか、とかね。

菊地成孔)そうですね。

高橋源一郎)というか、それは作曲じゃないし。どういう関わりになるのかっていう。

菊地成孔)これはいわゆる著作権の書類とか、あるじゃないすか。あれ上は、オペレーションをしたギルドのメンバーっていうことになっていますね。

<書き起こしおわり>




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