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抜粋

兵庫県議会 文書問題調査特別委員会

調査報告書                      

令和7年3月4日 

 

Ⅲ 文書の7項目にかかる調査の内容と結果について

五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について 

イ 事実に対する評価

㋐ 元県民局長の当該文書の記載内容について

元県民局長は、五百旗頭理事長から直接相談をされた職員の話をもとに、文書の本項目を作成しており、その内容については、同職員の証言と概ね一致しているため、齋藤知事の了解を取った片山氏が副理事長解任の通告をしたこと、副理事長解任について五百旗頭理事長が立腹していたこと等、告発文書には一定の事実が記載されているものと考えられる。

一方で、元県民局長の陳述書にも記載があるとおり、面談日等の日にちの聞き間違いによる記載誤りや、五百旗頭理事長が亡くなられた要因は憶測である旨については、元県民局長も認めている。

五百旗頭理事長と齋藤知事の関係性については、阪神・淡路大震災から30年の節目を控えている中において、県の創造的復興に長年尽力されてきた五百旗頭理事長との面談機会を齋藤知事が持たなかったことから、五百旗頭理事長と齋藤知事が疎遠だったことをうかがわせる。

文書中の「井戸氏嫌い、年長者嫌い、文化学術系嫌いで有名」については、陳述書に、主に伝聞をもとにしたとされる同機構以外における具体的な例も記載されているが、それらについては証言を得られていないため、この記載の部分は、このことだけで事実であることは確認できていない。しかし、震災30年となる重要な時期を直前に、これまで本県の創造的復興に大変貢献されてきた両副理事長を相談等もなく解任しようとしたことは決して丁寧な対応とは言えない。

「五百旗頭先生と井戸前知事に対する嫌がらせ以外の何ものでもありません」についても、両副理事長を相談等もなく解任することが、そのように受け止められる可能性はある。 元県民局長が陳述書で「憶測」と認めているように、片山氏からの副理事長解任の話が五百旗頭理事長の命を縮めたとは言い難い。

ただ、副理事長解任の話で立腹され、眠れなかったとおっしゃっていたとの証言から、立腹するほどの大きな心理的ストレスを与えたことは推察できる。

以上より、文書の記載内容については、信頼できる情報源に基づいており、概ね事実と言えるが、一部で事実誤認、憶測、疑いにとどまるものも含まれていると言える。 

㋑ 団体の人事への県の関与について

同機構の定款には、役員の選任について、第 24 条第1項に「理事及び監事は、評議員会の決議によって選任する」、第2項に「理事長、副理事長、専務理事及び業務執行理事は、理事会の決議によって理事の中から選定する」と定められていることから、副理事長の選任は、評議員会、理事会の決議をもって決定されるものである。

片山氏は、五百旗頭理事長と面談した令和6年2月29日時点では、同機構の評議員ではあったが、証言や提出資料から、片山氏は評議員の立場としてではなく兵庫県副知事の立場として訪問し、外郭団体の見直しの一環として副理事長解任の通告を行っている。

特に今回整理対象となった副理事長は、県職員や県職員OBではなく、本県の創造的復興に大変貢献してきた外部有識者であるため、仮に震災30 年を前にしたタイミングで役職を整理するのであれば、なおさら今回のような副知事による通告は大変失礼な行動であることは自明であり、まずは知事自らが理事長に相談する等、より丁寧な対応が必要であったと考えられ、組織再編や人員削減を急いだ感が拭えない。

 

4 知事が贈答品を受け取っていることについて 

(1) 委員会としての判断

ア 認められる事実

①について

・原田氏は企業からコーヒーメーカーを受けとっていたが、返却していなかったことを令和6年3月21 日の知事協議の時点で齋藤知事に謝罪した。この謝罪があったことを片山氏、小橋氏、井ノ本氏も認めている。

・一方、齋藤知事は、原田氏がコーヒーメーカーの返却を失念していたことを謝罪したことや「早く返しなさい」という指示をした記憶はないと証言しており、認めていない。

・齋藤知事がコーヒーメーカーを受け取ったことは確認できなかった。

②について

ロードバイクは県に無償貸与されていた。この無償貸与については、井ノ本氏のアレンジによるものであるということは確認できなかった。

③について

・県として市川町から仕掛品(製造工程ごとの金物一式)とアイアンクラブ1本の贈呈を受けて、知事室に飾っていた。

・齋藤知事が個人として市川町からアイアンクラブをもらったことは確認できなかった。

・片山氏は県内商工会から、アイアンクラブ(SW、AW6万円相当)を受け取っている。

④について

・特定企業との癒着は確認できなかったものの、齋藤知事は、複数着のスポーツウェアをスポーツメーカーから無償貸与してもらっている。

⑤について

・視察先やカウンターパートの企業を選定する際のリストに役得の記載があるということは確認できなかった。

⑥について

・齋藤知事は、秘書課の職員だけが差し入れられたものをもらえるのはいかがなものかという判断から、自分が持ち帰っていると証言しており、土産の多くは齋藤知事が持ち帰っている。また、齋藤知事は県のPRとして下記物品を受け取り、また、長期貸与を受けていた。 椅子とサイドテーブル、姫路城のブロック、スポーツメーカーの靴、海苔、蟹、牡蠣、日本酒、岩津ネギ、淡路玉ねぎ、播州織の浴衣・ジャケット・ネクタイ、スポーツチームのユニフォーム

・県として、齋藤知事が受領した物品全てについて把握できていなかった。

・齋藤知事が、出張先で地元の首長や利害関係人を陪席させて、飲食代を支払わせるということは確認できなかった。 

・知事から提出のあった物品一覧表によれば、知事はユニフォーム(サッカー)4着、ユニフォーム(バスケットボール)2着、ユニフォーム(バレーボール)2着、ユニフォーム(ラグビー)3着、ユニフォーム(野球)1着、Tシャツ5着、ジャージ(秋冬用)、ジャージ(春夏用)、シューズ3足、コート2着、ポロシャツ、播州織ジャケット2着、播州織浴衣、法被(鏡開き用)2着等を受け取っており、その中には特定企業のものも含まれている。

・総務常任委員会で浴衣やスポーツウェアのクリーニング代を公費から支出していることが確認されている。

イ 事実に対する評価

例1のコーヒーメーカーについては、原田氏が、3月 21 日の協議時点で返却していなかったことを報告し謝罪したことを証言し、片山氏、小橋氏、井ノ本氏もそのことを裏付ける証言をしているが、齋藤知事は報告を受けたことの記憶はないと証言しており、証言に食い違いがある。

また、部下である原田氏が企業にコーヒーメーカーの送付を依頼し、県庁内において保管していたという状況は、齋藤知事が自分の支配下にコーヒーメーカーをいつでも使用又は処分できる形で保管していたものであり、外形的に見れば、齋藤知事がもらったとみられても仕方がない。

「貰い物は全て独り占め」という記載に関しては、齋藤知事は、秘書課の職員だけが分けてもらえるという問題を起こさないため自分がその多くを自宅へ持ち帰ることを認めており、贈答品のPR等がなく個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない。こうした行為が「おねだり」との憶測を呼んだことは否定できない。

したがって、文書の記載内容については、一部で事実誤認や憶測も含まれてはいるが、一定の事実が記載されており、虚偽の内容とまでは言えない。 また、県の規定がない無償貸与の浴衣やスポーツウェアに公費からクリーニング代を支出していたことも不適切である。 

 

5 知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について

(1) 委員会としての判断

ア 認められる事実

①について

・令和5年7月の齋藤知事の政治資金パーティー実施のために、パーティーの運営やパーティー券販売を齋藤知事が片山氏へ依頼したことは事実だが、県下の商工会議所、商工会に対して経営指導員の定数削減をほのめかせて圧力をかけたという事実や保証業務を背景とした購入依頼は確認できなかった。

②について

・県信用保証協会幹部は片山氏の指示のもと、片山氏がお願いした全 18 商工会議所等へ政治資金パーティー実施のために名簿を集めに行っており、その際に信用保証協会の名刺を差し出していた。

・商工会議所訪問の際、「できる範囲で購入をお願いします」とパーティー券購入を依頼した。

・片山氏から県職員OBが齋藤知事の後援活動の責任者を依頼され、交換条件として異例の抜擢をされたということは確認できなかった。

イ 事実に対する評価

令和5年7月の齋藤知事の政治資金パーティーについて、パーティーの運営やパーティー券販売を片山氏へ依頼したこと、片山氏が県信用保証協会理事長はじめ協会幹部に、政治資金パーティー実施のために商工会議所等へ名簿を取りに行かせたこと等は確認できたが、商工会議所や商工会に対して経営指導員の定数削減を圧力にパーティー券を購入させたという事実は確認できず、文書に記載の該当箇所は事実誤認の可能性もある。

次に、信用保証協会幹部によるパーティー券購入依頼については、幹部が信用保証協会の名刺を差し出し、「できる範囲で購入をお願いします」と商工会議所側に依頼している。名簿を受け取りに行く際に、私用車の使用と休暇を取得していることには一定の認識があると思われる半面、面談の際に信用保証協会の名刺を差し出していることに対しては、経済界に影響力のある信用保証協会幹部という立場を踏まえると、商工会議所は事実上、信用保証協会の幹部からの申し出を断りにくいという側面も容易に想像できる。

さらに、片山氏は、信用保証協会の理事長としてではなく県職員OB個人として、政治資金パーティーのチラシ配布先名簿の収集を依頼したとの証言があったが、相手方へ信用保証協会の身分を示したうえで、商工会議所と接触している以上、保証業務を背景としたパーティー券購入依頼との疑念を抱かれてもやむを得ない不適切な行為であった。

県信用保証協会理事長が「OBとして活動しているので問題ないと思っていたが、信用保証協会理事長という立場では軽率だった」と認めているように、経済界に影響力のある立場を利用して疑念を抱かれる行動をとっていたことは否めない。 一方、これら政治資金パーティーへの協力により、人事面での厚遇を得たという事実や「なにがしかの利益供与」は確認できなかった。

以上のことから、文書の内容には一部で事実誤認や憶測も含まれているが、一定の事実が記載されており、虚偽の内容とまでは言えない。 

 

阪神オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて 

(1) 委員会としての判断

ア 認められる事実

事実経過

R5.10.17(火) 当初、パレード必要経費を大阪府兵庫県合わせて5億円と想定し、個人向けのクラウドファンディング及び企業協賛の募集を開始した。

11.9(木)  産業労働部から財政課に中小企業経営改善・成長力強化支援事業について1億円で予算要求資料を提出した。

11.10(金)  パレード委託業者より見積額が6.5億円と提示されるが、現状の収入額と大きな乖離があった。

11.14(火)  大阪府より不足額のうち、2,000 万円を確保するよう依頼があった。

11.16(木)  片山氏から事業費を1億円から4億円程度に増額するよう財政課に指示があり産業労働部に伝達され、産業労働部から財政課に3.75億円で積算資料が再提出された。

11.17(金)  片山氏より協賛金依頼は11月20日までにする旨のメールがあり、U証人は11月14日の2,000万円の件は目途がついたと受け取った。 その後、大阪府より更に追加で2,000万円を確保するよう依頼があった。

11.20(月)  片山氏が信用金庫理事長に連絡した。

11.21(火)  片山氏が信用金庫理事長に面談し、協賛金の取りまとめを依頼した。各信用金庫に依頼するに当たり目安の金額が必要であるため、理事長が総額で1,000万円か2,000万円かと聞いたところ、片山氏から2,000万円いただけるとありがたいと発言があり、2,000 万円を目標に理事長から各信用金庫に協力を依頼した。 知事査定で事業費を4億円で計上するよう指示があった。 

11.22(水)  理事長から各信用金庫が了解したとの報告があり、11月17日に大阪府から依頼のあった2,000万円確保の目途がついた。

11.23(木・祝)[パレード当日]  信用金庫からの協賛金の大部分はパレード終了後に入金された。

 

①について

・11 月13 日時点で、6.5億円の見積額に対し、クラウドファンディングや企業からの寄附で募った金額は3.2億円と必要額を大きく下回っていた。

②について

・信用金庫への県補助金が片山氏や齋藤知事の指示により増額された。

・片山氏がパレード直前に信用金庫へ協賛金の協力を依頼し、2,000万円の協賛金を集めた。

・県から信用金庫への補助金を募金としてキックバックさせたということは確 認できなかった。

③について

・民間企業が便宜供与の見返りとして寄附集めをしたということは確認できなかった。

④について

・パレードを担当した課長が不正行為に関わったことは確認できなかった。

・県は、大阪府やパレード委託業者とパレード開催に向けて、難しい調整を行っていた。担当課長は翌年1月下旬から病休を取っていた。

 

イ 事実に対する評価

パレードの事業費は6.5億円にまで増えたが、収入面では、資金調達が難航し、パレード後も継続して資金調達をする異常な状況に追い込まれていた。

信用金庫への協賛金依頼と補助金増額の関連性(文書ではキックバックと表現)については、11月14日及び11月17日に大阪府から、それぞれ2,000万円の収入確保を依頼された後、片山氏がパレード直前に信用金庫へ協賛金の協力を依頼し、2,000 万円の協賛金を集めた時期が、県補助金が増額された時期と符合することや、広告も出せないなど何のメリットもない中で2,000万円もの協賛金への協力が1日でとりまとめられ、パレード後に入金されていること等、不自然な点も見受けられるが、当事者である片山氏をはじめ原田氏らは関連を否定、信用金庫の理事長も協賛金への見返りを求めたことはないと否定している。

次に、便宜供与の見返りについては、所管部局の証言では、委託業者がパレード用バスの選定を行ったこと、そもそもパレード用のバスを所有している企業が県内にほかにないことなどから、否定している。 上司から責任感が強いと証言があった課長はいつも朝早くに出勤し、夜は最後まで残って業務に携わっており、パレードの業務を離れたいと申し入れる事態は、極限の精神疲弊状態と推認される。 

したがって、文書の記載内容については、一部で事実誤認や憶測も含まれてはいるが、一定の事実が記載されており、虚偽の内容とまでは言えない。また、公金横領や公費の違法支出は認められなかったものの、本件については、背任容疑の告発状が県警に受理されており、捜査当局の対応を待ちたい。 

(2) 提言

知事当局に以下のことを求める。

刑事告発されている背任容疑について、県関係者が起訴され有罪となる事態となった場合は、齋藤知事自らの管理責任を重く受け止め対処すること。

 

7 知事のパワーハラスメントについて 

(1) 委員会としての判断

ア 認められる事実 知事のパワーハラスメントについて

㋐ 齋藤知事は、令和3年9月頃、朝刊に載っていた尼崎のフェニックス用地に万博資材の運搬拠点を設ける方針を固めたという記事について、「こんな話は聞いていない」と机を叩きながら声を荒げて怒った。

㋑ 令和5年5月、施設の開設について、齋藤知事に説明したところ、「こんな話聞いていない」と叱責があり、令和5年度当初予算の記者発表資料を見せたところ、「これで知事が知っていると思うなよ」という強い叱責が再びあり、開所式のスケジュールを変更せざるを得なくなった。

㋒ 齋藤知事は、令和4年10月のイベントで、更衣室に見知らぬ男性がいたため驚いて、事前に確認して更衣室を用意しておくべきだったのではないかと職員に注意した。

㋓ 齋藤知事は、令和5年11月の東播磨地域づくり懇話会において、エントランスにつながる通路の車止めの手前で知事公用車が停車して車から降りてきた時に、「なんでこんなところに車止めを置いたままにしているんや」と県幹部職員に対し怒鳴った。

当該職員は、非常に強い叱責のため頭の中が真っ白になった状態で車止めを移動させた。知事は、職員が車止めを移動させた後も非常に強い叱責をした。

職員は、社会通念上、業務に必要な範囲の指導とは思わず、理不尽な叱責を受けたと感じた。その後、知事が会場を後にする際、職員に対し、謝罪やねぎらいはなかった。

㋔ 齋藤知事は、片山氏に対し、令和6年3月上旬頃、県立大学の無償化の国会議員等への根回しに、すぐ動くようにと指示したことを片山氏が忘れていたことに怒り、アクリル板に向けて付箋を投げた。

㋕ 齋藤知事は、所管課長に対し、令和5年1月の知事協議の際に、政務調査会資料に記載のあった所管事業が朝刊に載っていた記事を見て、「大阪府と連携すると書いている。これ聞いてへん。この事業は知事直轄なんだから勝手にやるな」と、かなり厳しい口調で叱責し、「やり直し」と所管課長を知事室から退室させた。所管課長は再度、知事に説明しようと何度も秘書課に伝えたが、説明の機会がなかった。所管課長は1年で異動した。

㋖ 齋藤知事は、令和5年度、複数の幹部職員との間で、全部で4,885件のチャットのやり取りをし、そのうち約44%の2,165件が夜間や休日に送られた。

イ 事実に対する評価

齋藤知事が、執務室や出張先で職員に強い叱責をしたことは事実と評価でき、文書内容は概ね事実であったと言える。

齋藤知事の「業務上必要な範囲で指導や注意をした」との証言に対して、叱責を受けた側の証言では、事情を確認されることなく「社会通念上必要な範囲とは思わなかった」「指導として必要のない行為」「理不尽な𠮟責だった」、「県職員になってこれまでないというぐらいの叱責を受けた」や、「県庁での職員生活の中で、机をたたいて怒鳴られたというようなことが初めてだった」、他の職員がいる前で「頭が真っ白になるほどの叱責」、さらに「異動させられるという予感のもと実際に1年で異動させられ理不尽と感じた」「トータルに見てパワーハラスメントと評価できる事案かなと思った」等の証言があったことを踏まえると、「パワハラを受けた」との証言は無かったものの、パワハラ防止指針が定めるパワハラの定義である「①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの」に該当する可能性があり、不適切な叱責があったと言わざるを得ない。

県事業がテレビで取り上げられた件であるが、県の事業は膨大にあるため、テレビで知事の知らないことが取り上げられることもあり、「聞いていない」ことを理由に職員を叱責することは妥当性を欠いた行為である。仮に叱責することがあるとすれば、テレビでの県職員の説明に大きな過失があり、県に損害を生じさせる恐れがあった場合などが考えられるが、証言等で明らかになったケースは、そのような場合にあたらない。

知事協議の際の叱責であるが、部局の説明をよく聞いていない、あるいは聞いていても失念していると思われる事業に対して、全く知らないということで、説明する機会も与えずに「聞いていない」と叱責するとの証言が複数あったことから、事業への関心の度合によって、認識の深さに差が生じていると思われる。

また、部局の説明時に齋藤知事は別のことをしているなど、説明を真剣に聞いていないと感じたとの証言があったことも踏まえ、どの事業も同じ目線で担当課の説明を聞くという姿勢が欠けており、知事としての対応に疑問が残る。

考古博物館で20m歩かされた件に関連して、齋藤知事の発言から行程管理を重要視していることは理解できる一方で、知事自身が朝の予定時間によく遅れてくる、また、その際に謝らないこともあるとの証言もあることから、部下には高い水準を課しながら、自分はその基準を守らず特別扱いとする態度は、公平性と信頼を損なう言動であり、本来は模範となるべき知事の取る言動ではない。

また、齋藤知事は車から降りるなり、対応した職員に対し、車止めをしている理由を聞くこともなく、大声で叱責をしている。職員からすれば、車止めを入り口から20m離れたところに設置したことは会場施設のルール上やむを得ないものであり、車止めを認識した後も強い叱責することは不合理であり、極めて理不尽な叱責であると言える。

叱責の際に付箋を投げる行為は、知事という立場に鑑みると、投げたものの形状にかかわらず、その行為自体威圧的なものであり、副知事その他職員を萎縮させるものである。

齋藤知事の非常に強い叱責や理不尽な言動によって、職員が齋藤知事に忖度せざるを得ず、救護室・授乳室を知事の控室にしたり、車両が通行できない範囲に知事公用車を通行させたりする等、ルールに則った県民本位の職務遂行が叶わなくなっている面があり、極めて深刻な事態が確認できた。

また、強い叱責を受けた当事者本人の就業環境に明らかな影響がなくとも、実際に見聞きしている同僚への心理的負担や組織の閉塞感につながり、適切な職場環境を構築するべき組織のトップの言動としては極めて不適切である。

さらに、職員の証言や提出資料によると、齋藤知事から幹部職員へのチャットの数は膨大なもので時間外や休日問わず頻繁に送られていた。1年間に複数の幹部職員との間で夜間、休日などの業務時間外のチャット数は2,165件と多く、その内容については業務上必要性が認められるものもあるが、夜間や休日に送信しなくても問題ないと思われるものもあった。

もっとも、夜間、休日の送信頻度や「返信不要」などの配慮がないこと、チャットでの反応がない時に関係職員に業務時間外に電話をかける行為もあり、緊急性を要しないにもかかわらず、夜間や休日にクイックレスポンスを求めることは働き方改革が求められる今日において、前時代的な仕事のやり方であると言わざるを得ず、業務の適正な範囲を超えたものであり、就業環境を害されているといえる。

また、チャットのグループ内で叱責するなど一部の内容については、職員らの過度な精神的負担になっていたと考えられる。

以上のように、齋藤知事の言動、行動については、パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった。 

 

公益通報者保護にかかる調査の内容と結果について

1 委員会としての判断

ア 認められる事実

事実経過

R6.3.12(火)  元県民局長が文書をマスコミ、県会議員、警察に配布。

3.20(水)  齋藤知事が当該文書を民間人から入手。

3.21(木)  当該文書に関する協議のため、齋藤知事が片山氏、小橋氏、井ノ本氏、原田氏を招集し、片山氏らに文書の作成者や目的を含め、調査するように指示。この際、公益通報者保護の議論はなかった。

3.22(金)、3.23(土)  人事当局から元県民局長の公用メール1年分を調べるように指示を受けた担当課長はデータを人事当局に提出。公用メールの調査にあたって本人の同意は得ていない。(4月下旬に元県民局長の公用パソコンのファイルの操作ログ3年分も提出した。)

3.23(土)  齋藤知事は、片山氏から元県民局長の事情聴取を行うという提案を受け、それを了承。調査については片山氏に一任された。

3.25(月)  片山氏及び人事当局が元県民局長及び職員2名の聞き取り調査を実施した。片山氏は元県民局長の調査の際、公用パソコンに私物USBがあったが、取り外すように指示し、公用パソコン1台だけを県庁に持ち帰った。なお、職員1名の私用スマートフォンのLINEの調査も行った。 元県民局長から人事当局に電話があり、「自分単独で作成し、噂話をまとめたもので、周囲の者を巻き込まないように」との要請があった。

3.26(火)  元県民局長の退職保留が決まった。

3.27(水)  小橋氏は、齋藤知事に対し、教育委員会ではこのような問題の時には第三者に調査させることが多いと進言。 人事当局の用意した知事記者会見での想定問答は、内容の詳細については調査が必要なので言えないという説明だったが、齋藤知事は元県民局長が作成した文書について「嘘八百」「元県民局長本人は認めている」と発言。

4.1(月)  人事当局は、県の特別弁護士に、第三者機関調査やSNSでの当該文書の拡散、公益通報としての取扱いの要否などを相談。 特別弁護士からは、公益通報の手続がされた段階でいったん判断する必要がある、第三者機関調査については、費用や時間を要することから内部調査で十分との見解を得る。

4.4(木)  元県民局長が公益通報受付窓口に通報。 人事当局によれば、4月4日に元県民局長が公益通報受付窓口に通報した時点で、公益通報の調査結果を待たないと処分はできないと考え、すぐに小橋氏と井ノ本氏に進言し、齋藤知事も了承したとのこと。 なお、齋藤知事はこうした進言を受けた記憶がないと否定している。

4.15(月)  齋藤知事は、「風向きを変えたい」との理由から、処分をできるだけ早くしたほうがいいと指示。 人事当局によると、井ノ本氏から公益通報の調査結果を待たずに処分できないか検討を指示されたが、公益通報の結果を待つべきと進言した。 なお、齋藤知事は人事当局に対して流れを変えるために公益通報の調査結果を待たずに処分できないかと指示した記憶はないと否定している。

4.17(水)  人事当局によると知事の指示による井ノ本氏と人事当局との元県民局長の処分スケジュールのやりとりは下記のとおり。

・4月24日に処分する案の作成を井ノ本氏が指示

・4月24日に処分する案を井ノ本氏に提出し、齋藤知事が了解

・人事当局が4月24日処分案は現実的に無理と判断し、5月17日処分案を井ノ本氏に相談。井ノ本氏からは5月10日を案1、5月17日を案2とする指示があり、齋藤知事は5月10日で了解した。

4.24(水)  人事当局によると、井ノ本氏から連休明けの5月7日処分案の指示があり、弁護士と相談して処分日を5月7日に決定した。 井ノ本氏は、人事当局との処分日のやり取りは自分の判断ではなく、知事と話をした上で日程を決めたと証言している。 なお、齋藤知事は5月7日処分の決定事項を報告されたと証言している。

5.2(木) 元県民局長に対する綱紀委員会が開催された。

5.7(火) 元県民局長の処分を公表。

 

イ 事実に対する評価

公益通報者保護法違反について

(1)外部公益通報 元県民局長は、議員、マスコミ、警察の特定の者に文書を配布している。 齋藤知事は真実相当性が認められないと再三説明をしているが、真実相当性は公益通報に当たるか否かとは関係がなく、保護要件にとどまる。

元県民局長の公用メール及び公用パソコンに保存された資料に基づき、クーデターや転覆といった言葉が並んでいたことや、元県民局長作成の人事案や知事を貶める資料があったことなどをもって、文書配布は不正な目的の行為に当たり、公益通報ではないと判断したという証言がある。

しかし、当該文書入手(3月20日)、協議時点(3月21日)ではまだ公用メール及び公用パソコンの調査は行われておらず、当該文書の内容から不正な目的が明らかでない限り、公益通報ではないとの判断は調査後に行われるべきものであり通報時ではない。

仮に公用メール及び公用パソコンの調査も含めて3月 22 日に作成者の特定を開始したことの正当性を主張するのであれば、公益通報者保護法に基づく指針に定められた「通報者探索防止措置」は事実上意味がなくなり、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関がとってよい行為とは考えられない。

さらに「通報者探索防止措置」を認識せず行われた調査の中で、公用PCの中の情報から非違行為を認定し懲戒処分にしたことは、違法収集証拠排除法則の法理に反するものであり、告発者潰しを行う材料にしたことは非常に不適切であると考える。

なお、人事当局は特別弁護士に相談の上、不正の目的があったと判断したことはないと証言しており、県として不正の目的があったと公に認めていない。

また、複数の参考人は、「専ら」公益を図る目的の通報と認められる必要はなく、交渉を有利に進めようとする目的や事業者に対する反感などの目的が併存しているというだけでは、「不正の目的」であるとは言えず、不正目的の認定は慎重に行う必要があるとしている。

「通報対象事実」については、少なくとも阪神オリックス優勝パレードにかかる信用金庫からのキックバックについて背任罪の可能性があり、通報対象事実が含まれている。なお、刑法の背任行為として刑事告発され県警に受理されている。

以上のことからすると、今回の調査では、元県民局長が齋藤県政に不満を持っていた事情はうかがえるものの、元県民局長は今回の文書作成については後輩職員のためを思い行ったと主張しており、人事課調査による判断と同様に、不正な目的であったと断言できる事情はないと考える。

よって、元県民局長の文書は公益通報者保護法上の外部公益通報に当たる可能性が高い。

(2)体制整備義務違反

公益通報者保護制度を所管する消費者庁は、公益通報者保護法に基づく指針第4の2(1)不利益な取扱いの防止に関する措置及び(2)範囲外共有等の防止に関する措置は内部通報した場合に限定せずに、処分等の権限を有する行政機関やその他外部への通報が公益通報となる場合も公益通報者を保護する体制の整備が求められるとしている。

他方、今回の文書の場合には、通報の探索が例外的に許容されるのではないかという参考人の意見もあった。

しかし、上記のとおり、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関としては、公益通報者保護法に基づく指針を原則通り遵守すべきと考えられる。

文書内容の事実確認よりも通報者の特定を優先した調査や3月 27 日の記者会見での文書作成者を公にしたこと、元県民局長のプライバシー情報の漏洩などは、公益通報者保護法に基づく指針第4の2(2)「範囲外共有等の防止に関する措置」を怠った対応であり、現在も違法状態が継続している可能性がある。

 

2 行政として取るべき対応

(1) 初動対応

3月 21 日の協議時点で齋藤知事及び参加者は当該文書を誹謗中傷の文書であると認識しており、公益通報の議論はなかったという証言があることから、初動対応において公益通報に関する認識はなかったと考えられる。

そのため、3月 22 日には作成者の特定のために元県民局長らの公用メールの調査等に着手し、3月25日に作成者を元県民局長と特定、3月27日には知事が記者会見で本人が認めていなかったにもかかわらず、事実無根だと認めているような発言のほかにも「公務員失格」と通報者を侮辱するような発言をしている。

しかし、当該文書の内容は、本委員会でも一定の事実認定ができており、全くの事実無根とは言えないため、齋藤知事らは公益通報に該当しうるかもしれないという前提に立ち、作成者の特定を行う前に、まずは当該文書の内容を調査すべきであった。

また、3月27日の記者会見で県民局長の職を解き、通報者を公表したことは、告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応であった。同日に元県民局長から告発文にある内容を精査してから対応して欲しいと片山氏に要請があったが、この時点から内部公益通報としての手続が必要であった。

さらに言えば、齋藤知事らは当事者である自分たちだけで当該文書が公益通報に該当するか否かを判断するべきではなかった。法令を遵守することは当然のことながら、それが、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関がとる立場であると言える。

また、参考人によると、公益通報事案については、受付、調査、是正措置等の対応全てを通じ、不利益取扱、範囲外共有、通報者探索が禁止され、これに違反すると体制整備義務違反状態となるため、調査結果が判明する前にこれらの扱いをすることは原則として許されないし、調査結果が判明し、たとえ通報者の指摘する事実関係が認められなかったとしても、これらの扱いをすることが許されない場合があり得るとしている。

加えて、告発の対象となった権力者が通報者探しを指示する場合、あるいはそれを承認する場合、その者の責任も厳しく問われるとの参考人意見もある。

さらに、本年2月18日の衆議院総務委員会で政府参考人は、「法定指針の1号通報の対応体制において、事実に関係する者の公益通報対応業務に関与させない措置を求めているが、一般論として外部から不正行為について指摘された事業者は、自らが行う調査、是正に当たり、事実に関係する者を関与させないことなど、適切な対応が取ることが望ましい」と答弁している。

初動対応時の調査は、当事者である齋藤知事の指示の下、同じく当事者である片山氏が中心となって行っているが、調査は当事者が関与せずに行うべきであったと考えられる。通常であれば、このような案件の調査は人事課や各部総務課が調査を実施することになるが、利害関係者中心で調査を行うのは不適切である。これは内部公益通報時だけでなく、外部への公益通報の際にも同様である。

今回のような知事及び県幹部が当事者である場合は、告発文に記載のあった当事者が調査に関わることのないよう利益相反を排除し、独立性を担保するためにも県以外の第三者に調査を委ねるべきであった。そのことが調査の過程及び結果の客観性・公平性・信頼性を高めることになる。

県当局は後日、第三者委員会を設置することとしたが、本来は元県民局長の処分前に設置し、もし処分をするのであればその調査結果に基づいて処分を行うべきだったと考えられる。 加えて、参考人によると、真実相当性の要件は、通報者の通報時点における状況から判断することや通報者の供述内容は、調査主体への信頼感により影響を受けるため誰が調査するのかが重要としている。

元県民局長は、県当局の調査に対し、文書の内容を誰から聞いたかについて、単なるうわさ話と話しているが、元県民局長の立場からすれば、文書に記載されている当事者が調査に関わっている限り、情報提供者を守るために真実を話せなかったと考えられる。

以上のように、県の一連の文書問題に対する初動対応は、県民の不信感を招く不当なものであったと考える。 

(2)調査方法の問題点

当該文書の作成者の特定はすべきではなかったという判断である。その上で、作成者特定に当たっての今回の調査方法には、今後の県政の信頼回復のために考慮しておく必要がある幾つかの問題点があったと考える。

公用メールの調査について、公用パソコンは県から貸与されたものであり、業務以外の使用は禁じられているものの、そのメール内容の調査はその必要性や方法について慎重に検討を行った上で行うべきである。地裁レベルだが判例でも社内メールの調査が無条件に認められているわけではない。

当委員会の調査では、メール調査に当たってのルール及び実施の記録がないことが判明している。これではメール調査を恣意的に実施でき、適正な調査であったかの事後の検証もできないと言わざるを得ない。

今回の調査の中で行われた私用スマートフォンの内容確認は任意だったが、作成に関与したと疑われた人物の私物スマートフォンのLINEのやり取りを確認したことが証言と資料から確認されている。これは職員の人権への配慮を欠いた調査であり、しかも、その人物は結果的に当該文書作成に関わっていなかった。

このような調査を人事当局が行う可能性があるということは、職員の萎縮、ひいては県政運営への信頼低下を招くものと言わざるを得ない。

(3)齋藤知事の対応

3月27日の記者会見では、齋藤知事は調査の対象者を特定したり、処分を予告すること、さらには「うそ八百」「元県民局長は認めている」と発言した。

片山氏や人事当局は、「これから調査する」という認識で齋藤知事とも話をしたつもりであったため、その発言に驚いた。この時点においては当該文書の存在は広く知られておらず、実害も生じておらず、人事当局が予定していたとおりの人事異動の発表にとどめておくべきであった。

今回の文書問題が大きく取り上げられることになったのは、この記者会見によることが大きいことを踏まえると、このような部下の進言や意見に真摯に耳を傾ける姿勢が必要であったと考えられる。

なお、そのことは第三者による調査の進言、公益通報の結果を待ってから処分を行うことの進言に対する態度についても言える。

(4)公益通報者保護法に対する齋藤知事や幹部の関わり方について

公益通報者保護法が目指すのは、徹底して不正行為を告発する人々を守り、社会の正義と透明性を維持することが目的であり、兵庫県としては立法趣旨を踏まえ、まずは公益通報に該当する可能性がないかを慎重に検討すべきであったが、初動対応時の齋藤知事や幹部は公益通報の認識がなかったと証言しており、公の立場として大きく思慮に欠ける点があったと言える。

また、齋藤知事は証人尋問や記者会見で何度も法的に問題ないことを主張しているが、行政機関は法律に違反しなければいいのではなく、法律の趣旨を尊重したうえで遵守する姿勢を示すことが重要である。

(5)文書問題の対応について

この度の兵庫県の対応が全国から注目される中、組織の長や幹部の不正を告発すると、権力者が当事者にも関わらず自ら告発内容を否定し、更に通報者を探して公表し、懲戒等の不利益処分等で通報者が潰される事例として受け止められかねない状況にある。そのことが公益通報の抑制につながらないか危惧される。

公益通報者保護法に違反しているかどうか見解が分かれるとはいえ、「組織の長その他幹部からの独立性の確保」や「利益相反の排除」といった原則にのっとった対応が必要であったと考える。 また、元県民局長の処分には、退職保留決裁が終わる前に、退職保留が本人に通知されたことも問題がある。 

(6)情報漏洩

県の個人情報保護管理の総括保護管理者である井ノ本氏は証言を拒否しているが、同氏が元県民局長のプライバシー情報を複数の議員に見せていることが聞き取り調査によって明らかになっている。当該文書の価値を貶めようとする発言を行っていた証言も得られており、「告発者潰し」があったと言われかねない状況がうかがえる。

この行為は地方公務員法守秘義務違反、さらには県における個人情報管理の問題である。告発者である元県民局長をおとしめることによって、当該文書の信頼性を毀損しようとしたこともうかがわれ、地方公務員法違反を否定できる要素は皆無に等しいと考える。この漏洩問題はその背景や関係者等を明らかにしなければならない問題と考える。

(7)まとめ

以上のように、一連の県の文書問題への対応には看過できない問題があったと言わざるを得ない。

また、井ノ本氏による元県民局長のプライバシー情報の漏洩問題は、公益通報者保護法に反する問題にとどまらず、県組織としてのガバナンス、マネジメントが適正に行われているのかという疑問を抱く。この問題への対応に関しては、元県民局長への処分と比較し、あまりにも大きく異なっている。

2 提言

法令を遵守するだけでなく、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関が、公益通報の認識を欠き、また、後になって公益通報に該当しないから問題ないと主張して通報したことを非違行為として認定し懲戒処分にまで至ったことは大変遺憾であり、県当局は責任の重さを痛感すべきである。

今後は、県行政・県組織の不正行為や違法行為に関する告発に対しては、常に公益通報の可能性を念頭に対応することが求められ、知事を含めた幹部が公益通報者保護法に対する理解を深める機会を定期的に設けることが不可欠である。

体制整備に関しては、指針第4に掲げる内部公益通報対応体制の整備は当然のことながら、外部公益通報に対応できる体制づくりを進める必要がある。 あわせて、告発の調査に当事者は関与しないこと、通報者探索及び範囲外共有等は行わないことの明確化が必要である。今後、受付段階、調査段階、是正措置等において、告発者の不利益処分が行われていないか、第三者による常設の検証機関の設置が必要である。

知事、副知事をはじめ組織の長は、就任に当たり、公益通報者保護法及び個人情報保護法に関する研修を受講するなどして、法の趣旨や責務を改めて認識することが重要である。 なお、有益な公益通報が守られるよう、公益通報に当たっては個人のプライバシーへの配慮や公益通報の濫用を防ぐことなど、職員にも公益通報者保護法の理解を深めることが重要である。

また、不正調査等で必要な場合も想定されるため、メール調査そのものを否定はしないが、その判断基準の整備及び調査実施記録の作成・保存を確実に行うべきである。そのことによって、今回のような疑念を持たれるメール調査を防ぐとともに、事後的な検証が可能となる。

職員の私用スマートフォン等の調査についても、今後一切行わないよう県当局として宣言する必要がある。 さらに、綱紀委員会の運営は当事者が関わることのないよう、一定のルールを設けるべきである。

井ノ本氏による元県民局長のプライバシー情報の漏洩については、現在、第三者(弁護士)による調査が進められているが、調査結果は速やかに公表するとともに、県として刑事告発も含めた厳正な対応を早急に求める。

なお、一連の県の対応は、公益通報者保護法に違反している可能性が高いと考えられることから、県自らの対応として公益通報者保護法の法定指針で定める「不利益な取扱い、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとる。」や「不利益な取扱い、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分、その他適切な措置をとる。」という規定に基づいた措置を行う必要があると考える。

最後に、齋藤知事は周囲の進言や意見に真摯に耳を傾ける姿勢を持つ必要があり、県職員が上層部へ必要な進言を行うことを躊躇しない組織風土を醸成するとともに、兵庫県のリーダーとして共感やいたわりの姿勢を持ち、透明性のある兵庫県政の確立に努めるべきである。 

 

Ⅴ 総括

調査結果のとおり、調査項目のうち、「令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等について」、「次回知事選挙に向けた投票依頼について」は文書の真偽について事実確認ができなかったが、以下の項目については一定の事実が確認された。

五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について」は、片山氏から副理事長解任を伝えられた五百旗頭理事長が憤りを覚えていたことが認められる。

よって、公社や外郭団体の再編や人員削減において、憶測や不信感が生まれないよう、対象団体の状況を公平公正に判断し、当事者をはじめ関係者に十分な理解を得る努力を怠ることのないように求める。

「知事が贈答品を受け取っていることについて」は、PR等でなく齋藤知事個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない。

昨年12月11日発表の「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」において、一定の措置が講じられているが、受け取らない一定の基準を客観的に示すことや接待対応についてのルールの明確化も図るべきである。

「知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について」は、片山氏の依頼により経済界に影響力のある県信用保証協会理事長が疑念を抱かれる行動をとっていたことは否めず、一般職だけでなく役員も含めた政治活動や選挙活動に関わる倫理規程等を定めることが必要である。

阪神オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて」は、資金調達が難航し、パレード後も継続して資金調達をする特異な状況に追い込まれていたことが認められるため、県が利害関係のある企業団体に寄附金や協賛金を依頼するにあたっては、行政運営に不信感を抱かれることのないよう細心の注意を払うことを求める。

また、刑事告発されている背任容疑について、県関係者が起訴され有罪となる事態となった場合は、齋藤知事自らの管理・監督責任を重く受け止め対処することを求める。

「知事のパワーハラスメントについて」は、「パワーハラスメントを受けた」との証言は無かったものの、パワハラ防止指針が定めるのパワーハラスメント定義である「①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの」に該当する可能性があり、パワハラ行為と言っても過言ではない言動があった。

前述の「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」において、一定の措置が講じられているが、知事、副知事などの特別職を含む管理職等へのアンガーマネジメント研修の実施など、さらに踏み込んだ対策に取り組むことを求める。

公益通報者保護については、元県民局長の文書は公益通報者保護法上の外部公益通報に当たる可能性が高く、県の初動は、文書内容の調査をせずに通報者の特定を行うなど、不適切な対応に終始しており、現在も体制整備義務違反の疑いが指摘されている。

初動対応のほかにも、調査方法や3月27日の記者会見、公益通報者保護法に対する関わり方についても問題なしとはいえない。

この度の兵庫県の対応は、組織の長や幹部の不正を告発すると、告発された当事者自らがその内容を否定し、更に通報者を探して公表されたうえ、懲戒等の不利益処分等により通報者が潰される事例として受け止められかねない状況にある。

今後は、知事を含めた幹部職員が公益通報者保護法に対する理解を深めるとともに、組織内の不正行為や違法行為に関する告発に対しては、常に公益通報の可能性を念頭に対応することが不可欠である。

さらに、外部公益通報に対応できる体制づくりを進めるとともに、告発内容の調査に当事者は関与しないこと、通報者探索及び範囲外共有等は行わないことの明確化が必要である。 

井ノ本氏による元県民局長のプライバシー情報の漏洩については、告発者潰しを企図していたと言われかねない状況がうかがえる。

弁護士による調査の結果を速やかに公表するとともに、県として刑事告発も含め、適切かつ早急な対応を求める。 知事は、3月27日の記者会見で元県民局長の文書を「事実無根」、「うそ八百」と評したが、約9ヵ月に及ぶ本委員会の調査により、文書には一定の事実が含まれていたことが認められた。

今回の文書問題を振り返ると、文書に記載の当事者である知事や幹部職員による初動対応や内部公益通報後の第三者機関の検討、元県民局長の処分過程など全体を通して、客観性、公平性を欠いており、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関の行うべき対応としては大きな問題があったと断ぜざるを得ない。

最後に、齋藤知事におかれては、本報告書の期するところを重く受け止め、兵庫県のリーダーとして厳正に身を処していかれることを期待する。また、文書問題に端を発する様々な疑惑によって引き起こされた兵庫県の混乱と分断は、いま、憂うべき状態にあることを真摯に受け止めなければならない。

これを脱却し、一刻も早く解消するために、県民に対して過不足のない説明責任を果たすとともに、先導的かつ雄県の名にふさわしい進取の気質に富んだ兵庫県政を取り戻すことを切に願うものである。 



 




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