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Make Trump What?

Put your makeup on, fix your hair up pretty
And meet me tonight in Atlantic City

Bruce Springsteen

Honesty is such a lonely word
Everyone is so untrue
Honesty is hardly ever heard
And mostly what I need from you

Billy Joel

trump-movie.jp

最近〈トランプマニア〉と化してトランプ関係の本ばかり貪り読んでいる自分が、大統領就任を目前にしたこのタイミングで本邦公開されるこの作品を〈見に行かない〉という選択はさすがにあり得なかった。

というわけで公開初日に新宿で見たのだが、客入りは話題作というにはほど遠い感じ。その分快適ではあったのでよかったのだが。

ストーリーというほどのものはなくて、今このブログに連載中のドナルド・トランプ物語」を読んでおけばより楽しめると思う。

ドナルド・トランプが父親の仕事(下層所得者向け集合住宅の管理業務)から抜け出してマンハッタンに進出を企てコモドア・ホテルの買収にチャレンジしようとする、まさに「アプレンティス(見習い)」の時期から映画は始まる。

連邦政府から人種差別で訴えられて弁護士を探しているところに、会員制高級クラブ「ル・クラブ」でマッカーシー事件で悪名の高い伝説のヤメ検弁護士ロイ・コーンに出会う。コーンはトランプに政府に対して反訴を起こすよう勧め、その代理人となる。

トランプはコーンから「勝利のための3つのルール」(1:ひたすら攻撃、攻撃、攻撃せよ、2:真実は人の立場の数だけあるのだから、自分が間違っているとは絶対に認めるな、3:どんなに不利になっても負けを認めず勝利を主張し続けろ)を叩き込まれる。この映画の大きな柱はこのロイ・コーンとドナルド・トランプの師弟関係である。

上の「三つのルール」とは別にロイの言葉で印象に残ったのは、「ボールを追いかけるのではなく人を攻めろ」という教えであった。

ロイは裁判など建前のやり取りに過ぎないと見切り、重要なのは判断を下す立場にある人間(判事、議長)に働きかけることだという思想で動いている。

ロイのやり方は盗聴によって対象者の弱みを握り脅迫するという違法なもので明らかにアウトなのだが(諜報機関ならあり?)、彼の言葉自体は真実を突いていると思った。

 

映画はテンポが良く、音楽もいい感じなので、何も考えず見ている分にも楽しい。

ただ個人的に違和感があったのは、トランプ役のセバスチャン・スタンがあんまり若い頃のトランプに似てないと思った(熱演は認める)。

ロバート・レッドフォード似と言われた若き日のドナルド

ロイ・コーンを演じたジェレミー・ストロングは違和感なく見れた。というより迫真の演技で素晴らしかった。父親のフレッドや妻のイヴァナなど他のキャストもよかった。

あと70年代~80年代のニューヨークの空気感がよく出ていたと思った(もちろん当時のニューヨークのことなど体感としてはまったく知らないのだが)。

この映画では、菊地成孔が指摘しているとおり、主なBGMはディスコ・ミュージックであり、四つ打ちのアゲアゲの曲が多く、それが映画全体に一種の高揚感を生み出す効果を上げているのだが、70年代のニューヨークと言えば僕にとってはビリー・ジョエル「The Stranger」「52nd Street」の世界であり、「New York State of Mind」である。あとトランプがカジノ帝国を作ったアトランティック・シティといえばブルース・スプリングスティーンの「Atlantic City」(「Nebraska」収録)である。

菊地成孔は、この映画について「本来のトランプ支持層である中西部の保守的な人々が〈オカマの音楽〉として忌み嫌っていたディスコミュージックが映画の中で効果的に使われていること」に一種の〈捩れ現象〉を鋭く見出している。

確かにドナルド・トランプという人物は体質的に70年代のリベラルなデモクラット(民主党)と親和性があった。トランプ自身はイデオロギー的な人間ではないが、敢えて思想的立場で分類すれば80年代以降に保守化(共和党化)した民主党員である「レーガン・デモクラット」であろう。

〈捩れ現象〉と言えば、現在のトランプ大統領を支持している貧しい白人労働者階級はそもそもトランプ自身の出自とは真逆にある人々である。彼らはむしろトランプにこき使われ搾取されてきた人々であるにも関わらず、ドナルドを救世主のように崇めているというところに現代アメリカの皮肉と悲劇がある。

これはトランプの責任でもなければ白人支持層の責任でもない。70年代はヨレヨレのジーンズで貧しい庶民の怒り(「Jonny99」)や悲しみ(「River」)を歌っていたブルース・スプリングスティーンが大金持ちになって、今のトランプ大統領を批判しているという状況にも何ともいえないアイロニーがある。

 

あとはこの映画についてあまり言うことはないのだが、気になった点をいくつか挙げると:

 

「トランプが上映阻止に動いた」という触れ込みなのにトランプタワーやマー・ア・ラーゴでロケできたのはなぜ?(もしかして全部セット?)

 

イヴァナとの危機は描かれているがマーラ・メイプルズが出てこないのは適当な役者がいなかったのか?

 

トランプの薄毛対策の頭皮手術は事実なのか?

 

これらについては今後の調査対象としたい。

 

あと個人的にはエンディングテーマ曲が「YMCA」なら最高だった。




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