ただでさえ涙腺が緩んでるんで、こんなもの見せられたら、アカンって。
見せられたんじゃなくて自分からすすんで見たわけだけど。
「あまちゃん」制作発表の時に「この子は守らないといけない」と思ったと宮本信子がビデオメッセージで語っていたように、この10年以上、同じように思った周囲の人々がさまざまな形で支援してきたからこそこの賞につながるさまざまな活動ができてきたと思うのだが、そうした支援を呼び込むというのも一つの才能であり、彼女の人間としてのパワーだと思う。
彼女の中にある「大切なもの」を決して壊してはいけない。そうなったらもう世界から希望というものが失われる。それはまがりなりにも半世紀以上平和の中で生きてきた戦後の日本が培ってきた価値観が全面的に敗北すること、無意味化することを意味する。彼女を支えてきた人々の間には、たとえ意識下だったにせよ、そういう共通の危機感があったのではないかと思う。
だから、戦後民主主義の精神をある意味で体現してきた伊丹十三とその義弟・大江健三郎にちなんだこの賞が能年玲奈(のん)に手渡されたことにはひとつのおおきな必然性があると思う。