濱野智史『アーキテクチャの生態系』(ちくま文庫)図書館で借りて読んでいるが、面白い。
もちろん15年以上前の本なので内容は古くなっているが、インターネットとウェブの違いも知らなかった自分のようなボンクラにとっては丁寧でちょうど良かった(特に前半)。
筆者はアーキテクチャによる環境管理型権力というのを肯定的に捉えようとしているが、自分はやはりそういうものには抵抗したい。ネット社会は日を追って進化しているが、それと共に便利感は失われ、イライラすることばかり多くなっている。これは単に歳を食って時代についていけなくなっているだけなのだろうか。多分そうだろう。
濱野氏には、2020年代のアーキテクチャーについての分析を期待したいのだが、2014年のアイドルプロデュース以降の迷走で随分ミソをつけてしまい、以前のような切れ味鋭い批評はもう難しいのだろうか。
この本は2008年にNTT出版から出たのを2015年に文庫化したものである。
2015年といえば、濱野が例のアイドル・プロデュースに手を染め、その真っ只中にあった時期であり、濱野は文庫版あとがきにおいて、それについて「情報技術と密接に接合した身体のあり方こそが現代日本におけるアイドルという存在であり、筆者はもはや分析者の立場ではなく、実践によって自ら証明する道を選んだ。その帰結が筆者がプロデュースを始めたアイドルグループ『PIP:Platonics Idol Platform』である」などと熱く語ってしまっている。本人的にはもう読み返したくもない文章だろう。
それでも、この「アーキテクチャの生態系」ほどの本が書けるのだから、このままフェイドアウトしてはもったいないと思う。
そろそろ禊の時期も済んだと思うので、復活を期待したい。