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合わなくなってしまった人間関係

 

お正月は伊豆の海を見た。とても晴れていた。波がさざめいて押し寄せるたび、朝日が反射してまぶしくなる。波が去ったあとの砂にはさらさらとしたきらめきが残り、遠くを見ると力のある波が絶え間なく生まれていた。風が運んでくる、潮干狩りの記憶。写真を撮ることに気を取られて、いつの間にか戻った波に足をすくわれる。海の悠然を前に、自分のなかに胎内の記憶というのがあるのか探してみたが、何も思い出せるものはなかった。ただ、生かされているという気がした。

 

 

***

海の香りに包まれて遠足の潮干狩りを楽しんでいた頃といえば、確か「友だち100人できるかな」の全盛期だった。子供の頃はただそういうものだと思っていて、性格の合う/合わないもよくわからないものだから、それなりに人付き合いをしていたんだと思う。

 

社会に出てからもそれは続いたけど、働くなかで自分の体調に向き合う必要が増えるにつれ、友達との間で生まれる違和感まで抱え続ける余裕が次第になくなっていった。自分が冷たいのかと悩んだ時期も長いが、環境や価値観が変わると、人間関係というのはどうしても入れ替えが起きやすくなる。

 

そしてここ数年、またしても友人と話が合わなくなってきてしまった。うすうす感じてはいて、あまり考えないようにしてきたのが、最近話して割と決定的になってしまった気がする。いつもは電話で何時間話しても足りないような間柄だったのが、先日は話を聞きながらふと「まだ一時間も経っていないのか…」と時計を眺めていて、はっとした。私がそうだったから、相手も同じ時間を過ごしたかもしれない。

 

というのも、友人と話す数日前、ちょうどこんなことを考えていた。

最近、不安をあおるようなニュースや言葉を目にすると、「まだそんなことを言っているのか」と違和感を覚えることが増えた。特に考えてしまうのは、いま本当に精神的に落ちている人が、そうした記事を目にしないといいと。何を隠そう、私自身がそうしたものにがっつり傷ついた経験があるから気になるだけなんだけど。

 

「やりたくても◯◯はやるな、9割失敗する」

「□代の▲▲はうまくいかない」

 

メディア全般で割と見かける呪い。何を買わせたくてそのコンテンツを作っているのかは知らないが、今となっては何を見ても、「それはあなた個人の話ですよね」で終わる。


同じことをやっても結果は人によって違うし、同じ結果だったとしても、それを失敗だと思う人もいれば、成功だととらえる人もいる。生活もさまざま。国内に外国人も増えた。年齢が一緒、始めたい事業が一緒、住んでいる国が一緒だからといって、「みんな一緒」という前提で決まった結果や価値観を押しつけられることに、今まで以上に違和感を覚えることが増えた。

 

「みんな一緒」とか「普通はね…」は、もう限界がある。「みんな違うけど、尊重しあう」なら何だか心が緩むし、これからはそのぐらいがいい。

 

そして去年は、こんなことも考えた。

  • 心臓が規則正しく動いていることは、奇跡でしかない
  • ご飯を美味しく食べられることが一番の幸せ
  • 大切なことはきちんと吟味する
  • 本来の内向型の自分でいていい(一生涯)
  • 大半のことがすでに余剰

健康のありがたみと、情報の取捨選択の大切さを全体的に感じることが多い年だった。不必要な情報をあえて取り入れることはないのだし、健康のためにも、自分が本当に心地いいと思えるもの以外は置いていくのが一番だという気がする。気づかないうちにすべて取り入れることが癖になっていたりするから、捨てるのも訓練あるのみ。

 

それもあってか、友人と話したとき、楽しさよりも「何か違う」という思いが出てきて、「でもそれは…」みたいなやり取りばかりだった。友人が好んで採用している情報や求めるものが、自分には合わなくなった。でもそれはどちらが悪いというのではなく、価値観が変われば、話が合わなくなっていくのはどうしたって避けられないことなんだろうと思う。

 

自分のなかに芽生えたものが、誰かと会話したあと流れてしまったように感じることが、なぜだか最近時々起きるようになってしまった。友人と何かを共有することが、あまり必要なくなってきたのかもしれない。




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