大木金太郎氏がお亡くなりになりました。
http://www.sponichi.co.jp/battle/flash/KFullFlash20061026019.html
わたしが物心ついたころにはすでに韓国へ帰国されていて、「歴史上の人物」になっていたのでリアルタイムでは見ていないんですけどね。
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大木が頭突きを連発、ガクッとひざまずく猪木。
しかし猪木、顔を上げて「来い来い」と挑発。
その瞬間、猪木の額を鮮血が伝う。
このタイミングは絶妙で、流血の理想形といえるでしょう。
大木死去のニュースをネットでいろいろ見ていくと、彼が韓国人であるというだけでなんだかんだ文句をつけようとするような人もいます。
大木の頭突きは「原爆頭突き」と称されていましたから、そこをなんだかんだ言おうとする人が多いですね。
韓国人は原爆をネタにして日本人を笑う卑劣なやつらだ、みたいな感じで。
ですが、これは大木が日本人向けに考えたギミックというわけではもちろんなくて、彼がアメリカに修行に行ったときにプロモーターが考えたもの。
「ヒロシマで原爆によって家族を失い、アメリカ人に復讐するために必殺の原爆頭突きを引っ提げてアメリカにやってきた」
というギミックが悪役として受け入れられたというのだから、当時のアメリカはおおらかだったんですねぇ。
最近では、アメリカのANIMEファンが「火垂るの墓」観て鬱になったりするらしいですけど。
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大木はこのギミックのため、頭突きで板を割るパフォーマンスをやろうとしたらこれがインチキ板で当てる前に割れてしまい、急遽「観客10人をリングに上げ、力いっぱい頭を殴らせる」というパフォーマンスをやらされて死にそうになったりとたいへん苦労したそうです。
また、大木の頭突きに限らず、昔のプロレスでは「原爆」「アトミック」などの用語をよく使っておりました。
昭和34年に初来日した「赤覆面」ミスター・アトミックというレスラーがいます。
マスクの中に凶器(王冠)を仕込んでの頭突きなどのラフファイトを得意としたアトミック、正体はクライド・スチーブンスというドイツ系のレスラーで、アメリカでは「マスクド・プリチュア」(覆面神父)などのリングネームで戦っておりました。
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日本向けリングネーム「アトミック」は力道山が考えたものですが、終戦から10数年という時期でもあり、かなり刺激的なものだったと思われます。
また、坂口憲二のお父さんの坂口征二や、ジャンボ鶴田が得意としていた「アトミック・ドロップ」という技もありますね。
日本語名だと「尾てい骨砕き」なんですけど。
また、逆に英語で「ジャーマンスープレックス」という技も日本名では「原爆固め」になります。
これも力道山時代からの名称ですが、もとは東スポ特有の訳語で、他紙では「天井づり」と訳していたところもあったそうですが70年代に入るころにはすっかり「原爆固め」で統一され、その後は「飛龍原爆固め」「猛虎原爆固め」「抱え込み式原爆固め」「マヤ式原爆固め」「日本海式原爆固め」など字面だけではまったくわからない派生技が次々と生まれていきました。
以前は、「週刊プロレス」では決まり手はカタカナ表記、「週刊ゴング」では日本名表記という原則があったのですが、最近はそもそも日本名が存在しない技が多いのでこの辺の原則も崩れているようです。
原爆絡みの技の使い手で、一番ヤバイのは電話帳破りでおなじみのディック・ザ・ブルーザー・アフィルスでしょう。

いい表情だなぁ。
各地で対戦相手に怪我をさせたり、乱闘事件など不祥事を起こすこともしばしばだった「生傷男」ブルーザー。
彼の野放図な暴れぶりは、実家が富豪で生活の心配がないという後ろ盾があったためだといわれています。
で、その実家の財産というのが、ネバダ州に持っていた荒地が核実験場として軍部に高額で買収されたというもの。*1
こうしてレスラーになったブルーザー。技らしい技はあまりなくひたすら殴る蹴ると床板を剥がして凶器にするなどのラフファイトを得意としましたが、決め技としてはトップロープからのダイビング・フットスタンプ(片足)を多用しておりました。
これを「アトミックボムズ・アウェイ」(原爆投下)と呼びます。
…これヤバイよなぁ。
ブルーザーは1991年に62歳で亡くなりましたが、一度は「はだしのゲン」を読んでみて欲しかったものです。
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*1:諸説あるが、少なくとも昔の「ゴング」にはそう書いてある。