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ビッグエア大国・日本!

熱戦つづくミラノ・コルティナ五輪。大会6日目は日本勢メダルラッシュの日となりました。スピードスケートでは大エース・?木美帆さんが最初の登場種目女子1000メートルでさすがの銅。ともにオリンピックレコードの好タイムを出したオランダ勢には及びませんでしたが、前回金のチカラをしっかり示してくれました。大本番は自分自身の真の種目と自認しているであろう1500メートルなのだろうと思いますので、そこに向けて自分の状態を確認しつつ、心を燃やすのにちょうどよい、そんな銅だったのではないかと思います。

そしてスキージャンプ男子ノーマルヒルでは二階堂蓮さんが銅。何とスイスのデシュバンデンさんとは2本飛んでポイントがピタリと並ぶ同点で、銅メダルが2人という変わり種の銅となりました。日本が大本命と思われる男子のスーパー団体、そしてこちらも金を狙える混合団体に向けても個人のメダルは心強い限り。さらに期待を高めて見守りたいところ。

そして、またしてもやってくれたのがスノーボード女子ビッグエア。男子では木村葵来さんと木俣椋真さんによる金・銀のワンツーフィニッシュも記憶に新しいこの種目で、今度は女子の村瀬心椛さんが金を獲得しました。前回北京では冬季五輪日本女子最年少での銅とした村瀬さんが、4年を経て金へと堂々の飛躍を果たした。内容・展開ともに完璧な、文字通りの「完勝」でした!



3本跳んでそのうち回転の種類が違う2本の得点を採用して競うビッグエア。この「1本ミスができる」「ただし2本目までには採用する1本を決めないといけない」「一番得意な技だけでは勝てない」というルール付けは試合を絶妙に面白くさせています。男子の試合でも見られましたが、1本目を決めるとそのまま優位に試技の組み立てができますし、逆に1本目が決まらないと堅実な組み立てにせざるを得なかったり、ただそのなかでメダルを狙うならどこかで大きな勝負を仕掛けなかったりしないといけなくて、その心の機微のようなものも見ていて熱くなるところ。

決勝に4人が登場した日本は、いずれもがメダルを狙えるチカラの持ち主です。このあとの展開を大きく左右する大事な1本目、日本勢は明暗分かれる格好に。最初に登場した鈴木萌々さんはバックサイドの1440に挑みますが、着地決まらずわずかに手をついてしまい54.75点。メダルを争うには80点以上2本、が最低限の目安となりそうですので、この1本目は採用には至らない試技となりました。転倒はもちろん、着地で手をついたり後傾になったり雪煙があがったりするとハッキリ得点が削られるので、着地までしっかり決めていくことがメダルの必要条件となりそうです。

前回・前々回とも4位、悲願のメダルに向かう岩渕麗楽さんはバックサイドの1260をクリーンに決めてガッツポーズ飛び出す82.75点。回転数としては少し控えた格好にはなりますが、メダルを争えるスコアを1本目で残したことで、2本目以降に大きなチャンスをつなげるいい立ち上がりに。深田茉莉さんはスイッチスタンスからのバックサイドダブルコーク1260に挑みますが、腹ばいで転倒。2本目以降に勝負を懸けることになりました。

そして全体で最後から2番目に登場した村瀬心椛さんは、バックサイドトリプルコーク1440を完璧にメイク。ジャッジ6人中4人が90点台をつける素晴らしい試技で、89.75点!全体ラストで登場したこの種目の金有力候補ゾイ・サドフスキシノットさんが転倒となったこともあり、村瀬さんは1本目を終えてトップに立ちました。岩渕さんも暫定3位につけ、メダルをうかがいます。

↓メダルを大きく引き寄せる完璧な1本目!



各選手の思惑うごめく2本目。鈴木萌々さんは今度はフロントサイドでの1440に挑み、見事に決めて81.50点。採用できるスコアを残して3本目にチャンスをつなぎます。岩渕麗楽さんはフロントサイドの1440にトライ。ここで決めておければ3本目にさらに大きな挑戦ができるという場面でしたが、ここは決まらず。深田茉莉さんは1本目と同じスイッチスタンスからのバックサイドダブルコーク1260に挑み、今度は決めました。85.00点はメダルを狙えるいいスコアです。ただ、これを1本目で決めていれば、2本目別回転でスコアを残し、最後にもう一度1本目と同じ回転で1440の大技を狙えたわけですが、これがビッグエアならではの勝負展開というところでしょうか。

1本目で完璧な試技を見せた村瀬心椛さんは、2本目にフロントサイドのトリプルコーク1260を見せます。本当は1440をやりたかったのが空中で1260になってしまった、という性質の試技だったようで会心の試技ということではなさそうですが、それでも72.00点と悪くないスコア。2本合計で161.75点として暫定2位につけました。メダルが見えるいい位置取りですが、ゾイ・サドフスキシノットさんも2本目はしっかり決めて88.75点としており、3本目でもしっかり大技を決めていく必要がありそうです。

そして迎えた勝負の3本目。暫定順位の逆順で臨むということで、日本勢ではまず深田茉莉さんが登場。メダルを狙ってバックサイドトリプルコーク1440にトライしますが、決まらず。1本目で1260を決めておければまったく展開が違ったと思いますが、これが展開のアヤでしょうか。鈴木萌々さんは1本目で決め切れなかったバックサイドの1440に再挑戦しますが、1本目を超える出来には至らず。何とかメダルを獲ってほしいと祈りながら見守った岩渕麗楽さんは、2本目と同じフロントサイド1440に再挑戦しますが、激しく身体を打ちつける転倒となりました。残念ながら、悲願には至らず。

競技終盤、3本目の試技で83.50点の高得点を出したゾイ・サドフスキシノットさんが暫定1位につけるなか、金メダルを狙って挑む村瀬心椛さんの3本目。状況としては、1本目・2本目とも採用できるスコアを残していた村瀬さんはすでに銅メダル以上が決まっています。この試技で大転倒したとしても銅は確定済。ならば金への大きなチャレンジをするしかありません。1本目で決めたのとは逆方向、フロントサイドのトリプルコーク1440に挑んだ村瀬さんは、これを完璧に決めました。バックサイド・フロントサイド両方での1440メイク。89.25点の高得点でゾイ・サドフスキシノットさんを上回り暫定1位に。これで金メダルをググッと引き寄せました!

↓村瀬さんを超えるには完璧な1440が2本必要!



3本目最後に登場したユ・スンウンさんは、2本目で83.25点を出していたフロントサイドのトリプルコーク1440に再挑戦します。バックサイド、フロントサイド両方でのトリプルコーク1440というのは村瀬さんと似た構成ですが、完成度で村瀬さんが勝ったことで、さらに自分を超える試技を求められた格好です。ただ、村瀬さんは2本89点台を揃えていましたので、上回るには91.25点が必要という厳しい状況。そこまでのメイクはできず、ユ・スンウンさんは村瀬さんの上には出られず。最終的には、村瀬さんが金、ゾイ・サドフスキシノットさんが銀、ユ・スンウンさんが銅となりました。

結果としてみれば、上位にきたのは1本目にメダルを狙えるスコアを残していた選手たちで、1本目ミスから上位に食い込んできたのは金候補でもあったゾイ・サドフスキシノットさんだけでした。そのゾイさんも1本目のミスによって大きなリスクを取ることはできず、3本目はスイッチスタンスからのバックサイド1260という構成に留まっています。1本目に1440を決める、2本目にメダル圏内の確実なスコアを残す、そのうえで3本目に金を獲るためのトライをする、村瀬さんの試合運びが場を制圧した、そんな格好の試合。当たり前と言えば当たり前ですが、1本ミスが許されるといっても、金を狙うなら1本目から決めたほうがいいんだなと思いました!

↓仲良しのゾイさんからも「イチバーン!」のお祝いをいただきました!


と、悲喜こもごもありつつも日本勢にとって嬉しい報せとなったビッグエア。そんなビッグエアの面々はそのままスライドして大会13日目から始まるスロープスタイルに挑んでいきます。個人的には岩渕さんにメダルを獲ってもらいたいと思って迎えた今大会でしたので、何とか頑張ってもらえたらいいなと思います。笑顔で終われる大会になりますように!



日本中で「私ビッグエアやる!」のお子さんが誕生する大会になりそうです!