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志がじゃなく、何もかもが低いんです!

最近話題になっていたサッカーJ2リーグ・ブラウブリッツ秋田の新スタジアム整備計画検討のなかで起こった騒動の件。誰が誰に何でキレているのかよくわからずに「元気だなぁ」と思って見ておりましたが、個人的な持論もありましたのでこの機会に騒動に混ぜ込もうと思います。

まず事前準備として誰が誰に何でキレているのかを見ていきましたところ、一番目立つ部分では秋田市長の沼谷純さんがJリーグにキレているということのよう。何でもブラウブリッツ秋田と秋田市とJリーグとによるスタジアム整備に関する非公開協議のなかで、Jリーグ側より「志が低い」という指摘があり、それはナイんじゃないのとキレている、そんな話である模様。

賛成派として報じているのか反対派として報じているのかはよくわかりませんでしたが、地元のABS秋田放送がその非公開協議の議事録を情報開示請求して報道しておりましたので、まずはそれを見て勉強させていただきました。もしかしたらキリトリとか印象操作とかもあるのかもしれませんが、「地元メディアの渾身の情報発信」は大体事実であることが多いので(松本龍事案とか)、一旦はビリーブでいきたいと思います。

↓昨年11月にJリーグ側に市とクラブがスタジアム整備計画の検討状況を説明したとのこと!








で、この話ですが、僕の認識ではそもそもブラウブリッツ秋田がJ2のクラブライセンスを求めたあたりが発端と理解しています。秋田は地域の実情がJリーグというエンターテインメントにそもそも見合っていないのだと思いますが、ライセンスの部分では長らく後手を踏む状況がつづいていました。2017年にJ3で優勝したときには、J2クラブライセンスが未交付だったためにJ2昇格を逃しており、翌年J2クラブライセンスを取得した際も設備面での不足(トイレ、屋根の不足等)についての指摘を受け、抜本改善に向けた計画の書面提出を求められていました。

その後、2019年にブラウブリッツ秋田は「新スタジアムを2025年に完成」と意気込みを表明するも当初想定していた建設候補予定地が2020年に秋田県と秋田市から不適と判断されて頓挫したり、2022年に秋田市外旭川地区のまちづくり事業の一部としてスタジアム建設を含む計画が持ち上がるも、「30億円集めると言ったが無理だった!5億でカンベン!」みたいな話で資金集めに難航するなどし、紆余曲折の末にスタジアム整備の是非が市長選の争点となり、沼谷さんが新市長となったことで計画が白紙撤回になったりしており、「新スタジアムができたらちゃんとしますから」という意気込みの表明ばかりで整備計画はまったく前に進んできませんでした。

そうした停滞の間もブラウブリッツ秋田はクラブライセンスの取得をつづけており、2019〜2021シーズン(J2ライセンス/施設面の不足に対する制裁付き/2020シーズンにJ3で優勝しJ2昇格)、2022〜2026シーズン(J1ライセンス/施設面の不足に対する制裁付き/年々制裁の温度感が厳しくなっている)と、制裁付きでライセンスを取得してきています。なお、これらのライセンス取得の際は秋田市八橋運動公園内にあるソユースタジアムを使用するという申請で、制裁に関してはトイレと屋根の不足というものでした。

その停滞の間の2023年にJリーグ側がスタジアム基準を緩和しており、従来であればJ1ライセンスは1万5000人以上収容のスタジアムを要件としていたものを、「別途定める理想のスタジアムの要件(サッカー専用であるとか、アクセス良好とか、全席屋根付きとか)」を満たしていれば、「ホームタウンの人口」「観客席の増設可能性」「入場料収入確保のための施策」などを総合的に判断して5000人以上でも可とするということになりました。要するに「すごいいいスタジアムで、将来的に拡張の含みがあるなら当座は5000人でもいいよ」としたわけです。

で、そうしたいろいろの停滞やら撤回やらの末に「ずっとやるやると言っていたスタジアム整備の件、最近条件も緩和されたらしいんで、その緩和した条件にはギリおさまる程度のヤツで検討したいです」を説明したのが、上記の非公開協議ということのよう。

長く整備計画が停滞していたことを踏まえて改めてこの議論を見ると、まずJリーグとしては「ずっとやるやるって言ってるけど何も進んでないじゃん」という根本的な呆れと不信があるわけです。ソユースタジアムをキレイにするでもいいし新設するでも改修するでもいいけれど、「やるって言うから格上のライセンス交付してるのに、やんないじゃん、どうなってんの?」な立ち位置にあるわけです。意地悪でも何でもなく、Jリーグとしてもライセンスをあげたいのはやまやまなので条件付きで交付してきたけど、おたくずっと条件満たさないですね、が大前提としてある。

そういう状況は市側もクラブ側も承知しているわけですが、いかんせんお金がない。クラブは資金集めの意気込みも見せずに絶対公設論を唱えるばかりですし、民設でやれるチカラはそもそもなく(※秋田だから)、市としても財政が厳しく(※秋田だから)、誰も主体となって旗を振れる人がいない。国の交付金をアテにしつつ、有権者から「無駄なもの作ってんじゃねぇ」「秋田にそんなにスタジアムいらねぇだろ」「そもそも秋田にスタジアムなんかいらねぇだろ」と言われない範囲の計画でJリーグと握らねばならない。その観点で「5000人規模案」「7000〜8000人規模案」「1万人規模案」のコンパクト案で試算をしてみましたよというのが先の説明であり、それに対して出てきたのが「志が低い」の指摘なわけです。

そして、この指摘はむしろ市の担当者がJリーグに「NOならNOと言ってください」と席上で求めていた発言でもあります。この計画に携わっているくらいですから、現場レベルではスタジアム整備に意欲がある人たちなのでしょう。しかし、お金はないので、本来のスタジアム基準(※J1なら1万5000人)を満たすような計画はひねり出せず、コンパクト案しか出せなかった。これ以上をひねり出すには「Jリーグからダメって言われました」というステップを踏むしかない。その指摘があれば、じゃあもうちょっとお金使うか、という議論に持っていけるかもしれないので。

Jリーグ側としてもそれを理解してあえて率直な指摘をしていますし、同時に本当に「志が低い」と思っている部分もあるのでしょう。だって、すでに現状でも秋田のホームゲームで1万人を超える集客が記録されている事例もわずかながらありますし(※平均すれば5000人弱)、他地域を見てもJ1までいったら1万人を超えてくるという実績が出ているなかで、「敷地パンパンでも上限1万人」「道路ギリギリなので周辺の賑わい創出の可能性もなさそう」という案が出てきたら普通に「志が低い」と思うでしょう。本当にJ1に上がる気あるんですか、と。一度整備したら30年とか40年使う建物なのですから、未来の可能性にキャップをかけるような計画に対する指摘としては、ごくごくまっとうなものだと思います。ましてや、その計画すら誰がどのようにしてどこからお金を出して進めるのかまったく具体性が見えないのですから、ポーズとしても本心としても「志低ッ」と思うのは当然でしょう。そうしたコンパクト案自体がダメだという話ではありませんし、Jリーグとして税金にたかろうなんて腹もないのでしょうが、「サッカーへの興味・関心・意欲はナイんだな」と思わざるを得ない。

そうした指摘に対して、沼谷市長がキレるのは、それは秋田市の民意を代表する者として「民意」がスタジアム整備に否定的であるならば当然のことだと思います。「ウチはいらねぇって言ってんだろ」「でも、一部声がデカいヤツがいるから、しゃーない市も金出してやるって言ってるんだよ」「ぶっちゃけ5000人くらいしか入らねぇから、5000人規模もあれば足りるって言ってんだよ」「それを志が低いとは何様か」「欲しいのはライセンスと経済効果であってスタジアムじゃねぇんだよ」「ノーザンブレッツの本拠地は将来的にどうするかって?知らん!」「現実を無視して夢だけ見させるんじゃねぇ!」と、もっとハッキリ民意を言ってやればいいと思うくらい。市の担当者とブラウブリッツは「Jリーグさんがダメって言ってるんでもう少しお金ください」って市長に相談するつもりがキレられてビックリしてるのかもしれませんが、まぁ民意が否定的であるならば市長さんがそれを代表するのは当たり前のことです。

↓非公開協議後のさらなる検討で、現状は「5000人規模の改修案はナシ」「新設も確定ではない」など民意を反映して半歩後退している模様です!




で、ここからが僕の意見ですが、

ブラウブリッツ秋田へのJ1クラブライセンスの交付はやめましょう。申請もやめましょう。

秋田には分不相応ですし、そもそも民意がない。

雪も多いし、人もいないし、金もない。サッカーに向いてない。

竿灯とノーザンハピネッツがあれば市民・県民の娯楽は十分。

ほかの意欲ある地域が作り上げた「J1リーグってこんな感じだよね」「楽しそうだよね」「すごそうだよね」に乗っかろうとするのは、お互いのためにやめましょう。

これまで10年近くやるやると言ってるスタジアム整備も進んでいないわけですし、2031年にズラしたゴールもどうせ守られないでしょう。いつまでもお情け交付をつづけるのは意味がありません。お情けでライセンス交付してまで発掘するほどの市場もありません。お互いにダマすのもダマされたフリをするのも辛いでしょう。もう止めましょう、こんなことは。こんなお情け交付をつづけていては、ただでさえ「守らなくてもいい基準」になりつつあるスタジアム基準が、本当に誰も守らない基準になってしまいますし、Jリーグ全体の品質の低下につながります。ブラウブリッツが今後どこで活動をつづけるのかわかりませんが、トイレなり屋根なりの基準を満たしたうえで、身の丈に適合するライセンスを取得すればそれでよろしい。

お金がない、民意がない、それでも身の丈を超えるライセンスが欲しい、のであれば残された要件としてまず「強さ」を先に示しましょう。これまで放置してきた指摘に対応して制裁なしでJ2ライセンスを取得できる状態に持っていくのがスタートライン(※それも無理なら一歩下がってJ3から出直す)。そのうえでJ2の上位に入り、「ライセンスさえあればJ1に行けたね」と自らの強さを証明する。そこにもし民意がついてくるのであれば、そのとき初めてJ1ライセンスを検討するようにしましょう。

選挙でも争点になりながら、計画が持ち上がっては消え、金は交付金しか具体的なアテがなく、誰も金を出さないからいまだに誰が旗を振るのかも決まらない、そんな状態では何も動きませんし、何も決まりません。それは根源的な部分で、民意がスタジアムやJリーグを本当に必要とは思っていないからです。お金がかからずにほどほどに楽しめる娯楽があればいいなぁ、程度の気持ちでどうして社会が動くでしょう。本当に必要とみんなが思う案件なら、金の問題などそもそも発生しないのです。

必要と思ってもらうためには、まず強くあること。楽しくあること。応援されること。それが満たされないのであれば、残念ながら地域からそれは求められていないのです。誰か民間の個人の大金持ちが「俺がどうしても欲しい」「俺が個人で金を出す」と言えばもしかしたら話も動くかもしれませんが、そうでないならすべては民意が決めることです。意欲も金もない人たちの睨み合いを、「ライセンスあげるから頑張って!」などと焚きつけても詮無きこと。Jリーグもスパッとこの話は終わらせて、民意の醸成を待ちましょう。そのほうが結果的に話は早いし、ケチらずイイものが作れますし、後腐れもないと思います。民意の醸成の結果として、「やっぱノーザンハピネッツに集中しよう」となったら、それはそれで秋田全体にとってはハッピーかもしれませんしね。そして、Jリーグもここで使わずに済んだ「お情け」を、民意とお金はあるけれど本当に当座の準備時間だけがどうしても足りないという惜しい案件のために使えれば、日本全体としてはハッピーかもしれませんからね!

↓Jリーグもスパッと基準通りに判断すべき!何やかんやで民意の伴わない地域にも交付をつづけるから「税リーグ」とか揶揄されるんですよ!


こういうの見ると、地域に全然その機運がナイですよね!

選挙もこの感じで決着したみたいですし!

この話はもう時間と労力の無駄なので終わらせるべき!

ライセンスとは夢を餌に金を引き出すためのものではなく、現実を見て適合する資格を交付するもの!



次回協議は「スタジアムができたので改めて申請します」でお願いします!