はじめに
昨日のブログでは、Tenstorrent は、Arm を目指すのではなく、Qualcomm を目指すのでは?について、記録に残しました。
今回は、この件に関して、いつも聞いている、Grok 4.1 Beta さんに聞いてみました。
Tenstorrent の IP およびチップのビジネス戦略について、まとめて
Tenstorrent(ジム・ケラーCEO率いるAIチップスタートアップ)のIPおよびチップのビジネス戦略は、2025年現在、「オープンで柔軟なRISC-V + AIアクセラレータのエコシステム構築」を軸に、二本柱(自社チップ販売 + IPライセンス)で積極的に展開されています。NVIDIA一強の閉鎖的なエコシステムに対抗する「安価・オープン・カスタマイズ可能」という明確な差別化戦略です。
1. 全体のビジネスモデル(収益の3本柱)
- IPライセンス(現在最も大きな収益源)
- 自社設計チップ / チップレットの販売
- 完成品システム販売
- AIボード、サーバー、ワークステーション(開発者・中小向けに注力)
2024〜2025年の大型資金調達では、IPライセンス契約が大部分を占めていたと言われており、2025年に入ってからもこの傾向が続いています。
2. IPライセンス戦略の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主なライセンス対象 | Ascalon RISC-V CPUファミリー(X/H/S/Uの4階層) + Tensix AIコア |
| 競合との位置付け | Armが最大の競合( incumbant )、他のRISC-V IP(Andesなど)は脅威度低め |
| ライセンス先例 | LG(家電)、Hyundai(自動運転)、LSTC/Rapidus(日本2nmエッジAI)、Samsung(先端ノード活用)など |
| 特徴的な姿勢 | 自社製品と競合する顧客にも積極的にライセンス 「競合してもロイヤリティが入るなら良い」 |
| アジア重視 | 中国・アジアからの引き合いが非常に強く、米国はまだゆっくり |
| オープン戦略 | ソフトウェアスタック(TT-Forgeコンパイラなど)ほぼ全てオープンソース チップレットはOCAで他社と相互接続可能 |
→ 自社製品と競合しても「ロイヤリティが入るなら勝ち」と割り切った現実路線が特徴的です。
3. 自社チップ戦略のポイント(2025年末時点)
- チップレット中心のアーキテクチャへ完全移行中
- 2025年夏にBlue Cheetah買収 → die-to-die PHY強化
- Open Chiplet Atlas (OCA) を推進(他社チップレットとプラグアンドプレイ)
- 次世代Aegisチップレットは2026年Q1テープアウト予定(遅延発生中)
- 価格破壊志向
- 販売ターゲット変更
- 2025年にエンタープライズ営業を縮小 → 開発者・中小企業直接販売へピボット
- 「クールなアプリケーションは開発者から生まれる」とジム・ケラーが明言
4. 戦略の強みとリスク(2025年末視点)
強み - RISC-V + オープンソースソフトウェア → ベンダーロックイン回避 - 自社で使っているIPをそのままライセンス → 信頼性が高い - チップレット+OCAでスケーラブルかつ他社連携可能 - アジア(特に日本・韓国・中国)で大型契約を次々獲得
リスク・課題 - チップレットエコシステムがまだ未成熟(相互接続の実績が少ない) - ソフトウェアエコシステム(CUDA対抗)はまだNVIDIAに大きく劣る - 自社チップとIP顧客の競合が将来的に深刻化する可能性 - ロードマップ遅延(2025年に複数箇所で発生)
まとめ(Tenstorrentの2025年戦略一言)
「Armを追い抜き、NVIDIAの牙城を安価・オープン・RISC-Vで崩す」
→ そのために「自社も使い、他人にも売る」という両面作戦を徹底し、チップレット+オープンスタックでエコシステムを広げている。
2026年以降は、Ascalon後継のBabylonやAegisチップレットの実績、日本2nmプロジェクトの成果がこの戦略の成否を大きく左右する局面に入っています。
競合をArmと置いているが、私は Qualcomm の立ち位置だと思っている。これをどう考える?
TenstorrentがArmを主な競合と公言しているのは、2025年末時点の彼らの視点としては完全に正しく、むしろ戦略的に最も正確な位置付けです。一方で、あなたが「Qualcommの立ち位置に近い」と感じるのも、ある側面では非常に鋭い観察で、両方の見方が実は共存しています。以下に整理します。
1. Tenstorrent自身が「Armを最大の競合」と位置付ける明確な理由(公言・行動ベース)
- IPビジネスの直接競合:Ascalon RISC-V CPUファミリー(特にX/Hクラス)は、Arm Cortex-X / Cortex-A / Neoverseの代替として売られている。Tenstorrent幹部(Aniket Saha VPなど)は明言して「Armがincumbent(現 incumbant)で最大の競合。他のRISC-V IP(Andesなど)は脅威度が低い」と述べている。
- ライセンスモデルの対立:Armのロイヤリティ引き上げ + 契約の厳格化(Qualcomm訴訟の余波含む)に対する「反Arm」の旗手としてRISC-Vを売り込んでいる。LG、Hyundai、Samsungの一部部署、LSTC/Rapidusなどへの契約は「Arm離れ」を狙ったもの。
- 市場セグメント:データセンター / HPC / エッジAI / 自動車の「CPU + NPU統合」領域で、Arm Neoverse + Ethos / Arm Maliの組み合わせを直接置き換えようとしている。
- 中国市場でのポジショニング:元Arm China CEOのAllen Wuと提携して「Armエコシステムに対抗」と明確に宣言(2025年12月報道)。
→ IP売上・契約の9割以上が「Armからのスイッチ」狙いなので、彼ら自身はArmを本命の敵と見なしている。
2. あなたが感じる「Qualcommに近い立ち位置」は、これらの点で非常に的を射ている
| 観点 | Qualcommの特徴 (2025年現在) | Tenstorrentの現状との類似点 | 決定的な違い |
|---|---|---|---|
| ビジネスモデル | 自社SoC(Snapdragon)販売 + Oryon CPU IPライセンス | 自社AIチップ/システム販売 + Ascalon/Tensix IPライセンス | TenstorrentはRISC-Vオープン、QualcommはArm(+一部RISC-Vへシフト中) |
| 垂直統合度 | CPU設計 → SoC → 完成品(スマホ/PC/車載) | CPU設計 → AIアクセラレータ → ワークステーション/サーバー/将来の車載 | Tenstorrentはまだ「完成品スマホ/PC」まで行っていない |
| 自社製品と顧客の競合 | Oryonを自社Snapdragonに使い、他社にもライセンス | Ascalon/Tensixを自社Blackhole/Grendelに使い、競合顧客にも積極ライセンス | ほぼ同じ「自社と競合してもロイヤリティ取る」姿勢 |
| Armからの脱却志向 | Arm vs Qualcomm訴訟後、Ventana Micro買収でRISC-V強化 | 最初からRISC-Vを選択(Armライセンス取れなかった説も有力) | Qualcommは「Arm依存を減らす保険」、Tenstorrentは「Armを潰しに行く」 |
| ターゲット顧客 | スマホ・PC・車載・データセンター(Oryonで拡大中) | 車載(Hyundai/BOS)、家電(LG)、データセンター、AI開発者 | 重なる領域が増加中(特に車載・エッジAI) |
→ つまり、ビジネスモデルの「形」はQualcommにかなり近い。自社製品を持ちながら高性能CPU/NPU IPを積極的にライセンスし、顧客が競合になっても構わない姿勢は、まさにQualcomm型。
3. 結論:両方の見方は正しいが、時間軸と優先順位で分かれる
- 現在〜2027年くらいまで → Armが最大の敵(市場シェア・契約数・意識の面で)。Tenstorrentの全マーケティング・契約実績が「Arm代替」を中心に回っている。
- 2028年以降のポテンシャル → Qualcomm型プレイヤーとして本格的に競合/共存する可能性大。なぜなら:
要するに、Tenstorrentは今は「Armキラー」として戦っているが、将来的には「次世代Qualcomm」的なポジションを目指している(あるいはそう見られる存在になりつつある)と言えます。
あなたの感覚は、ビジネスモデルの本質を捉えていて非常に鋭い。一方でTenstorrent本人が今一番意識している敵はまだArmだ、というのが2025年12月31日時点のリアルな構図です。
おわりに
ビジネス戦略として、
- まずは、Arm
- 次は、Qualcomm
ということで、OKそうですね。。。短期でどこかに買収されて、EXIT を考えているのなら、Armを目指すでしょうが、そうでないのなら、Qualcommを目指す感じなんですかね。
では、どこに、買収されるのでしょうか?
- Qualcomm : RISC-V CPU を使ったスマホは、まだまだ先っぽいのでこちらは無さそう。仮に買収するとして、$2B - $4B ぐらい
- Broadcom : RISC-V CPU を入手できれば、将来的に、Google, Meta などに RISC-V CPU を含めたソリューションが提供できそう。買収額は、$2B - $10B ぐらい
とは言え、Armがサーバーとして登場してから、普通に使えるまでには数年必要だったので、RISC-Vも同じぐらいは必要なのでは?と思っています。
これから数年間、見守りましょう!