やっぱり期待を裏切らない。VRアイドル「Hop Step Sing!」の新曲『ハッピーポー』、そのVRMVを体験しました。前作『アストラル・ピース』から実に約1年半ぶりで、その『アストラル・ピース』は虹川仁衣菜のソロ曲だったため、全体曲のVRMVとしては『覗かないでNAKEDハート』以来。マジか、そんな時間が経ったのか。ほんとうに長く続いてくれてありがとうとしか言えない……
そんな感じでめちゃ・満足感とめちゃ・感謝に包まれていて、やっぱり文章にいろいろ書き残しておきたいと思ったので、書きます。ただ思うままに……
どんなもんなのよ
まず、MV自体は動画版が上がっています。大きな構成はVRMVも同じ。ただし、VRMVは当然ながら視点は完全にユーザーまかせ。どの子を見るのも、どの角度から見るのもおまかせです。MVを見るというより、「MVになる現場に行ける」っていうのがほぷすてVRMVの魅力です。
そのうえで今回のコンセプトは「インタラクティブ」と「いっしょにつくる」かなと受け取りました。以下ではおおまかなVRMVの流れとあわせてその2点がどう出てくるかを記していきます。

「あなたはスタイリストです」

まず、視聴者は3人のスタイリストとして、3人の髪型をセットアップする役割を与えられます。カットして、ブラッシングして、ドライヤーをかけていく。一連の流れをコントローラー=視聴者自身の手を用いて行うのです。
可憐なVRアイドルの髪型をセットアップ……?そんなことが許されるのか……?
許されます。なぜなら、あなたはVRアイドル「Hop Step Sing!」が信頼を置くスタイリストだからです。

そして、3人のセットアップが終わったタイミングで、華麗に衣装チェンジ。その瞬間に曲が始まります。先ほどまでスタイリストとして立っていた美容室は、一瞬で新曲『ハッピーポー』のMV収録現場へと変貌します。
そういうMVの収録現場ともとれると同時に、日頃から彼女たちに貢献している「あなた」への、3人のサプライズ的な新曲お披露目……のように捉えられます。いや、もうあらゆる意味で特等席。もしそんなことしてくれたら大声を上げて泣く自信がある。ほんとうに数ミリの距離もなさそうなところで、歌とダンスを魅せてくれるその姿に、「これからも推そう……」と決意を新たにするのです……
というように、のっけから「MVの視聴者」ではなく「彼女たちの関係者」として引き込んでいくのが、『ハッピーポー』VRMVのなによりの特徴です。
「あなたはカメラマンです」

次に場面が変わると、そこは撮影スタジオ。あなた右手にはカメラがあり、コントローラーのトリガーを引けばシャッターが切られます。そう、あなたは今度はカメラマンとして3人の新曲制作に携わります。
もちろん、MVは続行中。視聴者は「撮影スタジオにていい感じの一枚を撮る」というシチュエーションのもと、自由に視点を移動しながらシャッターを押していくことができます。

このカメラもよくできていて、液晶に映り込むのはもちろん、レンズを覗き込んでも映り込むようになっていて、本当にカメラを手にとって撮影してるようなリアル感がありました。VR内での撮影というと自分の中では「National Geographic Explore VR」が殿堂入りだったのですが、これに匹敵する「撮ってる感」がありました。
そして、この撮影シーンがMVの終わりに大きく関わってきます。絶対に手を抜くなよ!!
「あなたはMVの監督です」

さらに場面が変わって、今度はMVの収録スタジオへ。円形のステージの上で踊る3人の前に立つあなたの眼前には、2つのスイッチがあります。

右はスタジオの照明操作ボタン。左は3人の衣装照明の操作ボタン。この2つのボタンはMV内で任意のタイミングで押すことができ、押すたびに収録スタジオおよび彼女たちの衣装はリアルタイムで変化します。

そう、ここでMVの視聴者に与えられた役割は「MVの監督」。自分の思うような演出を、自らの指先で作り出すことで、このMVのクライマックスを形作ることができるのです。
推しのMVを自分が演出していいのか? 照明のこととかなんにもわかんないんだけど……
大丈夫です。なぜならあなたは監督だからです。思い思いにスイッチを押し、いい感じの映像を作り出していけ!!!!!

そうして曲が終わったところで、「Hop Step Sing!」から視聴者へ向けてのあいさつが。「これからも応援してね!!」と告げて、3人はせり下がるステージの中へ消えていきます……
「あなたはタクシードライバーです」

と、ここでVRMVは終わりません。場面が変わると、そこはタクシーの車内。あなたはその運転席に座っています。ハンドルを握り、回すこともできます。

そして、その後ろには「Hop Step Sing!」の3人が。MVの姿からいつもの姿へと戻って、「今日の収録」についてわきあいあいと感想を言い合っています。
「アイドルたちを乗せるタクシードライバー」という、ある意味実現率が最も高そうな役を、視聴者は担うのです。ぶっちゃけハンドルは一切操作しなくてもOKなのですが、「おれは……いま人気のほぷすての3人を乗せている……」という使命を自覚すれば、自然とハンドルを回すことでしょう。

前方を確認しながら、後部座席で「家に帰ったらどうしよう?」というようなおしゃべりを聞き、たまにバックミラー越しにその姿を確認する。もどかしくも絶妙な距離。そしてなにより、MVが終わっても彼女たちに関われる特別感が、運転席を特等席へと変えることでしょう。


しかし、どうやらここはVRの中の様子。最後に3人は、VRヘッドセットを外すような動きを見せると、光の粒子となって消えていきます。こうして、『ハッピーポー』のVRMVはようやく終了します。
おみやげもあるよ!
MVは終わり、あなたは純粋なMV視聴者へと戻ります。そして最後に「一枚写真を選んでね!」という案内が告げられます。

その写真とは、撮影スタジオパートで、他ならぬあなたがシャッターを切った写真の数々です。そしてその中から一枚だけ選択すると……

なんと、写真に3人のサインが! そしてこの一枚だけ、ローカルディレクトリ下に保存されるのです!

自分の渾身の一枚を使ってくれる、この世で一枚だけのチェキ。MVから現実世界へ戻る上で、これ以上とないおみやげです……!
「Hop Step Sing! の世界の人」になるという感覚
『ハッピーポー』VRMVでは、視聴者にはとても様々な「役」が与えられます。それらはいずれも「Hop Step Sing!」の3人の活動を陰ながら支える、裏方的なポジションです。表舞台には立たないが、表舞台に立つ人をつくりだす、欠かせない存在。そんな存在を「演じさせてくれる」というのが、今回のVRMVのインタラクティブ性の焦点といえます。
似たようなコンセプトは、3rdシングル『気ままに☆サマーバケーション』のVRMVでも見られました。あちらは「3人の夏のひとときに同伴するなにものか」の位置に視聴者が存在していました。しかし、いうなればその存在はMVの中の存在。ある意味では「Hop Step Sing!の世界」においての架空の存在です(そういう俳優と見なすこともできるかもしれませんが)。
『ハッピーポー』ではここから一歩踏み出し、MV内の存在でもありながら、作中世界の存在でもある(可能性がある)ポジションが用意されています。スタイリスト、カメラマン、監督、タクシードライバー。それらはアイドルの3人の日々のどこかで接点を持ち、その活動をたしかに支える、「彼女たちのちかくに実在する存在」です。その位置に立つことで、いわば視聴者も「Hop Step Sing! のキャラクターになる」という体験を得ることができるはずです。少なくとも僕は、今日から「Hop Step Sing!」シリーズのモブキャラとして生きていこうと固く決心しました。
MVそのもののギミックのおもしろさはもちろん、それらインタラクティブなギミックによる「世界観レベルの没入感」は、これまでの「Hop Step Sing!」VRMVの集大成と言えます。SteamVR環境が整っている人にはぜひ体験してほしいです。いやほんとうにですね、「Hop Step Sing!」はすばらしいですよ……!