こんにちは。浅田カズラです。
常日頃からWeb上の様々なVTuberの情報を仕入れている身ですが、この界隈は結構人に宿るノウハウが意外と多いものです。
Webだけじゃ足りねえ! 生身の人間からVTuberの情報を摂取してえ!
そんな思いが芽生えたので、先日、PANORAさん主催の「今日から始める VTuberワークショップ #01」へ参加してきました。
一週間ほどまえに「緊急開催」が告知されたばかりでしたが、参加者はあっという間に定員到達。デジタルハリウッド大学の一室は、当日ほぼほぼ満員という大盛況でした。
そして、参加してみた感想としては、非常に密度の高い、まさに「バーチャルの最前線」とでもいうべきワークショップでした。しかも第2回の開催も検討中と。次も可能ならぜひ参加したいし、今回行けなかった方もぜひ参加してみてほしいです。そのくらい濃密です。
以下、本ワークショップの内容・感想などを書き記させていただきます。
1. デジハリのバーチャル方面の取り組みについて
13時ちょうどにワークショップが開始。基調講演に入る前に、まずは今回会場を提供したデジタルハリウッド大学の研究員・茂出木氏の方から、「デジハリのバーチャル関連の取り組み」についての講演がありました。
透過アクリル板へのアバター投影システムや、白猫プロジェクトの生放送イベントで行っ「実写とアバターのリアルタイム合成」といった実例紹介、さらにお笑いコンビ・アメリカザリガニの平井善之氏が手がけるVTuber番組「ツルンッ!とたまご学園」の紹介が、来場していた平井氏も登壇して展開されました。
同番組は、卵型のアバターとなった「VTuberのたまご」が、「卵から進化できるように」様々なチャレンジに取り組むという番組。手足もないこの卵のアバターは、頭部につけたトラッキングセンサー1つだけで動くというシロモノとのことで、「手足もないのにVTuber?って突っ込まれましたよ」「ただモーキャプの限界値は19人でした…」などと平井氏は笑って裏話を語ってくれました。
ワークショップの会場となった教育機関でも、バーチャルな取り組みは現在進行系で行われているというドライヴ感に、早速ワクワクしていました。リアルタイムで進行・拡大する、VTuber業界の先端の一つを垣間見たようなイントロダクションでした。
2. 基調講演 by バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん
イントロダクションが完了したところで、PANORAスタッフはDiscordを起動。本日のゲストの一人を「召喚」しました。「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」こと、ねこます氏の基調講演登壇です。会場正面の画面にあの姿が現れた瞬間、(僕ふくめ)参加者が一斉にスマホを構えた光景は印象的です。
今回のワークショップの趣旨「あなたもVTuberを始めよう!」を体現する存在である氏からは、「VTuberを始める機会を逃さないために大切なこと」というベクトルから、30分間の熱いお話をいただきました。要旨は以下。
ねこます氏のおしえ
— 浅田カズラ✑バーチャルはてなブロガー (@asada_kadura_vb) July 21, 2018
・技術選定ができるようになろう(ローグレードな技術でも提示できる方がよい)
・正しい技術選定=価値の創出
・画力はめっちゃ重要。ビジュアル面のインパクト大事
・ダメ元で、失敗も想定して動く
・「価値とはなにか」を考え続ける
#vtuberjustdoit
とりわけ「技術選定の重要さ」と「どんな価値を提供するか」を重視しているように感じました。「ビジネス方面でお話が舞い込んだ際、コスト面からローグレードな技術(ex.Webカメラ)を提示できずに、その機会自体が潰えるのが一番もったいない」とはまさになるほどといったところ。また、「採用する技術以上に、どんな価値を提供できるかを考えたほうがいい」という話も、月ノ美兎がスマッシュヒットをかましたことも踏まえると、まさにそのとおりといったところです。
また、一通り話し終えたところで質問コーナーも。僕が記録した限りの質問と回答を以下に記載します。
①「現在、3Dではなく2DのVTuberが急増している。このことについて心配していることはあるか?」
[ねこます]コンテンツの粗製乱造を気にしているということなら、それは無関係だと思っている。3D+フルトラッキングに拘る必要はなくて、もし(面白いものを生み出すために)3Dアバターが必要であるなら、採用すればいいだけのこと。「みとらじ」も2Dだが、すごい人気が出ている。コンテンツの練り込みの方が重要。
②「価値とはなにかを考える、について。ご自身の中で、『これが求められていて意外だった』というものはあるか」
③「VRコンテンツを作りたい学生だが、いろいろと学びたいことが多すぎ、どこから手を付ければいいか悩む。ねこます氏はどのように絞り込んでいった?」
[ねこます]自分の場合、イラストもLive2DもUnityも全部やった。が、芽は出なかったし、正直迷走していたように思う。そして結果論としては、この迷走が今につながっている。VTuberは総合格闘技のようなもので、どれをやってもある程度はフィードバックされるはず。まずは好きなことから手を付けてみてはどうか。むしろ、わらわもデジハリさんで学びたいくらい……ちなみに、わからないことあったら、VRChatに来れば教えてあげられるよ!
④「VTuberとしてデビューを果たしたが、将来的にはどのようなビジョンを描いているか」
⑤「技術選定の差異によって、コラボを実施する時に障害が生まれるはずだが、これはどのように考えている?」
[ねこます]技術差異はあっても、(アバターの規格としては)VRMという統一規格が生まれている。ネット感度の高いドワンゴという企業が管理し、そのドキュメンテーションも公開されている。開発者が拡張子の歴史などに精通していたはずなので、そのあたりは意識があるはず。VRMはすごいし、かなりよい傾向になっていると思う。
質問もふくめて、非常に熱いトークをみせてくれたのじゃおじ。基調講演にふさわしいゲストでした。

最後は、ろくろを回す例の「Just Do it !!」を生披露し、基調講演は無事終了しました。
3. 「VRoid」デモンストレーション
基調講演の後、Pixivののりお氏による「VRoid」のデモンストレーションへ。この時、ねこます氏も壇上のマシンに常駐し、正面へ向いたモニタから時折ねこますの声がするという奇妙な光景ができてました。未来なのじゃ。
実際のデモンストレーションの様子については、#vtuberjustdoit でTwitter検索をかけると撮影動画が見つかるはずなので、ぜひ参照してください。
デモを見た上での感想は「やはり圧倒的に使いやすそう」に尽きます。頭部を覆うように髪のレイヤーが存在し、その上でベジェ曲線的に髪を描く、という感じで、太さや厚み、そもそもの髪の範囲(=レイヤーのサイズ)もあとから自在に変えられる。テクスチャ描画も「3Dの上に描き込める」という挙動が素直でした。
キャラエディットとお絵描きツールの中間だなーという印象で、少しでも勝手がわかれば一気にハードルが下がりそうです。3Dアバターが増える起爆剤になれる、すさまじいツールです。
デモンストレーション後、仕様面についての質問が。書き留めた範囲で以下に。
①「最大ポリゴン数はどのくらいになる予定?」
[のりお]VRChatの上限である2万ポリゴンは目指したい。
②「男性モデルは実装予定があるか? 幼児や老人といった年齢幅は?」
[のりお]β版時点では女性のみしか実装していないが、男性はなるはやで実装したい。年齢についても同様。
③[ねこます]「作成したもののライセンスはどうなる予定?」*1
[のりお]自由に使ってもらって構わない。ペイントソフトと同じ。
④「Blender製モデルのインポートは可能か?」
[のりお]実装の見通しはある。ただ、β版には乗らないかも。
これまでBlenderで作業していた人にも、VRChatに向けて受肉したい人にも、男の子を作りたい人にも、ありがたいツールになりそうです。「VRoid」のオープンベータ版リリースは、7月末を予定しています。
4. ワークショップ:ゼロから始める!! Blenderで楽しくキャラづくり
基調講演とVRoidデモンストレーションを経て、いよいよ今回のメインコンテンツたるワークショップのパートへ。「Perception Neuron講座」「Unity×VR講座」「Blender講座」の3講座から1つを選んで受講するという流れでした。
僕は今回「Blender講座」を選びました。VRoidやVカツが隆盛しても、基礎的なモデリング技術の需要は消えないはずだし、なにより「3Dモデリングとは?」という根本的なことはなにもわからない身だったので、そこを理解したく思い、厚かましくも飛び込んだ次第です。
今回最多の50人ほどが参加した本講座は、講師に「ワニでもわかるゼロからのBlender」でおなじみのZenさんをお招きし、モデリング→テクスチャ設定→ボーン設定 という流れを、実習や実演を織り交ぜて解説するという内容になりました。実際に持ち込んだノートPCでBlenderをさわりながらの講義はかなり実践的で、楽しさと同時に大変さも身をもって味わいました。
特にモデリングは「下絵にそって板金状のパーツを張っていく」という実作業を見ていると、これまで霧のように思えた「CGモデリング」という行為が、非常に具体的作業として見えるようになりました。「時間があればいける……!」という実感です*2。
「モデリングよりテクスチャのほうが重要。MGS3のスネークなんか4000ポリゴン」「本来、モデリングとテクスチャとボーンは分業されているので、全部一人でできたらすごいんやで!」といった金言もいただき、みっちりクリエイティブな3時間となりました。
ちなみに、「ワニでもわかるゼロからのBlender」を見ながら講座を受講していた(※Zen氏推奨行為)のですが、これ非常にわかりやすいです。「Blenderはまず操作が複雑すぎる」という最初のハードルを超えるようにする指南、本当にありがたい……
5. 『Vカツ』体験
3時間の大ボリュームなワークショップを終えて、閉会まで参加者間のコミュニケーションタイムに。その間に、前日急遽参加を表明したIVRの『Vカツ』体験コーナーにて、『Vカツ』を触っちゃいました。ライセンスキーの発行待てなかったからね!
ヤバい。これが無料って相当ヤバい。
というのも、やはりエディット機能は『コイカツ』そのまんま持ってきて、えっちな箇所だけオミットした以外は全く同じとのこと。つまり、現行最高クラスのエディット能力が誰でも使えるということで、スキルのない人でも最高レベルのアバターを確保できるという点は、まさに「キャラクターの民主化」です。
配信モード中のUIも、グラフィカルで理解しやすい。衣装と表情はカード式で一覧表示されて、中央表示されたミニチュアアバターに重ねることで着替え・表情替えができるというシンプル設計でした。配信中でも即変更できそうなので、そこが非常に便利だなと感じました。
あまりにもすごすぎて「VRM出力対応しますか!?」「外部配信サービスとの連携は!?」とオタク早口で尋ねてしまったのですが、「まだβ版だから未定です。27日にいろいろ話せるから待ってくださいね!」とのことでした。それもそうです! 待っています!
そんなこんなで、6時間に渡る超・濃密なワークショップでした。
基調講演、VRoidデモンストレーション、ワークショップ、いずれも充実していましたし、他の参加者とのおはなしもめっちゃ楽しかったです。「グローブ型デバイスはね、洗濯できないと臭くなるんやで…!」みたいなお話とか聞けたり!
なにより「いまは界隈自体がオープンなこともあるので、積極的にコミットするべき」という空気を肌で感じることができて、今後もこういう生身のイベントには積極的に乗り込んでいきてえと思った次第です。
第2回はまだ未定ですが、「Live2Dとかタッチしたいですね!」とチラッと言ってたりしました。開催予定日は8/25。興味はあるけどちょっと手をこまねいている方!「Just Do it !!」ですよ!