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有為自然 1366 ハガキが転送されてきた 面影がまったくない  260309

    ハガキが転送されてきた

             面影がない  260309

 

 

彼女は、私とのことをほとんど覚えていなかった。

受験で上京した自分を、東京駅まで迎えにきたことも、

旅館まで案内したことも。

ビートルズの映画を観たのは覚えているけど、

誰と一緒だったかの記憶はない、と。

明治神宮の参道を歩いたことも。

 

ショックと言えばショックだ。

しかし、それはそうであろう。

恋している人間と、恋されている人間との違いだ。

 

彼女は私と数回会った後、つき合いを断った。

 

その後、50余年の人生で「ウイシゼン」の名を3回、目にしたそうだ。

論文の執筆者

訴訟に関する新聞記事で、原告名。

そして、新聞の投稿欄

 

彼女は投稿者の名を見て、新聞社に問い合わせた。

「住所は教えられませんが、

社に送ってもらえば、転送してあげますよ」との返事。

それから何カ月も迷ったあと、新聞社に手紙を送った。

そしてわが家に手紙が届いたのだ。

突然のことでびっくりした。

 

なぜ、彼女は連絡をとりたかったのか。

「純真無垢なシゼンくんを傷つけた」と思っていた。

彼女の周囲の人間たちが、次々に亡くなっていく。

「終活」の一つとして、今のうちに会っておきたかったと。

 

私の方も当時、はっきりしない態度だったので、

彼女に迷惑をかけたと思っていた。

 

会う前に不安はあった。

もし、想像と全く違う人間になっていたら … と。

 

打ち合わせた時間より、30分も前に駅の改札口に着いた。

あらかじめ、黒づくめの人相書きを送っておいた。

彼女の方から「シゼンさん?」と声をかけてきた。

驚いたことに、

記憶していた彼女の面影がまったくないのだ。

 

高校時代、彼女はメガネをかけていた。

その印象が強い。

コンタクトに、ショートヘアであらわれた。

本人が名乗らない限り、わからなかっただろう。

 

 

50余年の歳月のことを、お互いに語りつづけた。

卒業後の就職・結婚・家族・成育歴・現在の生活 … 。

初めて聞くことばかりである。

 

職場での、女性ならではの苦労。

パワハラ・セクハラ・女性同僚の妬み・嫉み・家事・育児・病気 … 。

ひとつひとつに頷いた。

 

彼女の考え方がまともなことにホッとした。

芯の強い女性であることも嬉しかった。

 

大学1年の時には、そんな彼女を知ることはなかった。

長い歳月を経て、お互いにそれぞれ鍛えられたのだと思う。

 

「また、会いましょう」と言って別れた。

高齢者同士の男女のつき合いは、危なさがないので安心だ。

彼女にとって終活の一つが片づいた。

「断捨離」されるかもしれない(笑)

 

他人の恋愛話など、誰も興味はないだろうとは思っている。

自分のために記事にしておくことにした。

「公開日記」である。

 




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