『マーク・アントニー』を観てまいりました。
過去に電話をかけることができる電話機をめぐる歴史改変アクション映画でございました。
インチキ科学者風のオッサンがその電話機を開発するのですけれども、やんややんやとあって死んでしまいます。
そして、ギャングのボスであるジャッキーに養子として育てられている修理工のマークがその電話機を手に入れ、既に死んでしまった父アントニーと話をしたいということで過去に電話をかけるのですけれども、それがもとでギャングの抗争に巻き込まれてしまうのですよ。
現代パートではマークとその養父ジャッキーの息子マダンが、過去ではマークとマダンの父親であるアントニーとジャッキーが争うわけですねえ。
現在に生きるジャッキーやマークたちが、それぞれが望む現在を得るために過去に電話をかけ歴史の改変を試みるわけでして、どんどんどんどんとわけの分からない方向に話が進んでしまうところが面白いところでございます。
予測不能とはまさにこのこと。
カオスそのものと言った映画でございます。
勢いだけで最初から最後まで突っ走るインド映画らしいと言えばインド映画らしいスリリングな映画でございました。
最初はマークがうまいことやってジャッキー死亡エンドを迎えるのですけれども、そしたらそしたで歴史が変わってしまいまた別の問題が起きてしまったりと、歴史改変は一大事なのでございます。
また、面白いのは主人公マークと悪役マダンを演じた俳優がそれぞれその父親も演じているということですねえ。
特に、悪役を演じたS・J・スーリヤーという俳優の演技が素晴らしい。
「モンスター俳優」という異名があるそうなのですけれども、さすがは「モンスター俳優」と言うべき傑物でございます。
そういえば、この俳優はちょいと前に観た『政党大会 陰謀のタイムループ』でも悪役を演じておりましたが、この俳優の悪役の演技は独特の境地にあって良い。
やっていることは結構な悪党なのですけれども、どこか憎めないユーモアもありそれらをどちらも全力も全力で演じ切るっており、それがなかなか印象深いキャラクターを生み出しております。
マダンから電話を受けたジャッキーは息子のためにと決意してアントニーを始末しようとするのですけれども、目の前に現れた美人に目がくらんで決意を翻そうとするのはとんでもないやつだと思いましたねえ。
そして翌日、案の定現代のマダンから激怒の電話がかかってくる。
まさか息子にこれほどまでにボロクソ言われる悪役もそうはいまい。
しかしながら、ボロクソ言われても仕方ないくらいダメオヤジですので、当然と言えば当然ですねえ。
そして父親をボロクソに言っている息子も演じているのが同じ俳優というのが味わい深い。
一方で現代のジャッキーは過去のジャッキーと違い徹底的な悪党ですので、その違いが実に面白さを生み出している。
一人の人物にここまでいろいろな要素を持たせられるのかと感動するほどでございます。
この映画の面白い部分の大半は、S・J・スーリヤーの器用な演技にあると言っても過言ではない。
この男の演じる悪党は実に面白い。
インド映画で何度か同じ俳優を目にすることがあるのですけれども、何回か観るとこの俳優と言えばこういう役、といったイメージが付いてきますねえ。
今回のS・J・スーリヤーもそうですし、他にもいますよ。
今回のと同じタミル映画の俳優で言えばラジニカーントのダークヒーローの役もそうでございます。
ラジニカーントは、目が笑っていない笑顔を顔に張り付けて容赦なく敵をなぎ倒したりするところが良い。
あの目が笑っていない笑顔は一度見たら忘れられませんよ。
あとは、テルグ映画でよく見かけたブラフマーナンダムですねえ。
この人が演じるのは絶対面白い役ですので、どんな殺伐とした映画でも出てくると安心感がある。
『カルキ 2898-AD』という結構シリアスな映画あるのですけれども、この映画では主人公の大家さんという謎の役で出てましたし、思った通りすっとぼけた役で面白かった。
私としては続編でも登場してくれると嬉しいのですけれども、さすがにもう出番はないかもしれません。
はてさて、一体どうなることでしょうかねえ。
ともあれ、強烈な悪役とトンチキな設定のイカレっぷりが突き抜けている衝撃的な映画でございました。
おしまい。
