『ヴィクラム』を観てまいりました。
ポスターに描かれている登場人物の紹介の時点でもうインド映画っぽさ全開むんむんの意味不明な感じが素晴らしいんですよ。
麻薬組織ボス、無職の中年、特殊工作員。
今なんか明らかに変なやつ出てきましたねえ。
「無職の中年」、お前誰だ!
人物紹介で「無職の中年」って書かれるのは相当に相当なのですけれども、こいつ実際に無職の中年なので仕方がない。
しかも、飲んだくれ。
どうしようもないやつ。
こいつ序盤でダンスシーンの開始とともに登場して脱力感満載のかっこいいんだかダサいんだか判断に迷うダンスを披露するのですけれども、その直後に飲酒運転で事故ったと思いきや覆面の連中に誘拐されて殺されるのですよ。
この時点でもう何が何だか分からないのですけれども、まだ上映始まって多分15分とかしか経っていませんから、先が思いやられます。
これはインド映画屈指の急展開を見せる導入でしたねえ。
そしてこの無職の中年の他にも覆面の組織に殺害された人間がいるのでして、その特異な殺人事件を調査するために警察に呼び出されたのが「特殊工作員」の男でございます。
その「特殊工作員」の調査によって事件との関係が明らかになるのが3人目の「麻薬組織ボス」でございますが、その3人がやんややんやと激しくぶつかり合い血みどろの戦いを繰り広げるのが本作でございます。
いわゆるクライムアクション映画ってやつですねえ。
一言で言って刺激強めの映画でございます。
ともあれ、やはりこの作品で何よりも一番目を引いたのは独特の境地にある導入部分ですねえ。
いきなりなんか意味ありげに飲んだくれのダメ人間が登場して酔っ払い音頭みたいなのを踊りだしたと思いきや、早速死ぬ。
あまりにも手際良く重要人物っぽい人間が死ぬ。
こんな導入、他にはないでしょう。
しかしながら、インド映画で良くあるパターンとして、踊るのは大体の場合が主要な登場人物ですから、初っ端に死んでそのままということはきっとないはず、と思っていたら案の定そうでしたよ。
超重要人物でした、この「無職の中年」。
そしてこの「無職の中年」の正体が明らかになったところからが一気に加速するのでして、この急展開が実にインド映画らしい。
上映時間の長いインド映画には大体インターバルが入っているのですけれども、そのインターバルの直前で大いに盛り上がり、インターバル後はちょいと落ち着いて再スタートし、そこから伏線を拾いに行ってさらに大きく盛り上がるという流れがよくありますが、本作もその典型的なパターンを踏みつつもしっかり盛り上げてくれる王道インド映画でございました。
さて、もうひとつインドのネタをお話しようと思うのですけれども、タイトルにもあるこの「ヴィクラム」という単語、これはインド人の名前で使われることもある単語でございます。
そういえば、去年日本で公開された『JAWAN/ジャワーン』の主人公も「ヴィクラム・ラトール」という名前でした。
というわけでして、これはきっとポスターに書かれている麻薬組織ボス、無職の中年、特殊工作員のいずれかの人物の名前なんだろうと鑑賞前は思っていたのですけれども、結局3人とも違う名前でございまして、この時点で「ヴィクラム」には何か秘密が隠されていると感じました。
あるいはもしかして「ヴィクラム」は名前ではないのか?
観て分かりましたけれども、この「ヴィクラム」には、明らかになったときに思わず声が出てしまうような驚きがありましたよ。
「ヴィクラム」とは一体何を指しているのか、それが本作を観る上で楽しみにしていただきたいポイントのひとつでございます。
というわけでして、本作『ヴィクラム』ではございますけれども、インド映画らしいはちゃめちゃな要素と過激なアクションが堪能できる満足の1本でございました。
どうも続編がありそうな終わり方でしたので、続編の公開も楽しみですねえ。
ところで、そういえば最近公開されたインド映画は本作以外にも『デーヴァラ』と言い、『カルキ 2898-AD』と言い、続編のある作品が多くないですか?
これはもしかしたら配給会社がシリーズ物を出しても利益が見込めるほどインド映画が日本ではやり始めたと見て良いかもしれませんが、もしそうだとするとこれは良い傾向ですねえ。
このままどんどん流行ってどんどん輸入してほしいところでございます。
おしまい。
