『政党大会 陰謀のタイムループ』を観てまいりました。
ざっくり一言で言ったら「インドのリアル死にゲー映画」なのですけれども、とりあえずあらすじだけ書きますと、これは新婦側の友人として結婚式に出席するため、ドバイからインドにやってきた主人公のカーリクというムスリムの青年が、他の新婦側の友人や新婦自身と協力して結婚式会場から新婦を誘拐するも、案の定新郎にばれてカーチェイスが始まってしまいまして、うまいこと新郎側の連中を振り切ったと思いきや今度はいきなり飛び出してきたよく分からんやつを轢いてしまっておろおろしていたらタイミング良く現れた警察に連行され、脅されて政党大会で党首を暗殺するよう強要されてその後現行犯として警察に射殺されたと思いきや、気づけばその日の朝にタイムループしていた、という具合でございます。
物凄く情報量が多い気がしますが、実際情報量が多すぎるほど多すぎる映画でございます。
そもそも結婚式で新婦を誘拐するという時点で物凄いのですが、さらに新郎もなかなかやばいやつで、その後のカーリクが新郎に捕まるエンドではカーリクが新郎によって斬り殺されます。
当然のように鉈が出てくる。
これは間違いなくやばいやつ、やばいやつ確定でございます。
新婦が結婚したくなくなるのも当然でございます。
ちなみに、『きっと、うまくいく』というインド映画でも新婦を誘拐するシーンがありましたけれども、そのときの新郎はすべてのもの価値は値段で決まると妄信している「値札人間」でしたから、今回の「刃物人間」とくらべたら随分とマイルドでございました。
ともあれ、そしてそれ以上に何よりもこの映画の面白かったところは、登場する警官がことごとく汚職警官だったということですねえ。
凄いですよ、汚職率100%ですから。
汚職警官しか出てこない。
警官は全員敵、まともなやつがいない。
警官を見たら敵だと思え。
汚職警官はインド映画名物ではありますけれども、さすがにこれは凄まじい。
まあ、何と言っても警官のボスみたいなやつが悪者ですから当然と言えば当然でございますが。
そしてタイムループを繰り返しつつ、暗殺事件を防ぎつつこの警官のボスと戦うのが主な話の流れですねえ。
このタイムループのきっかけになるのがカーリクの死ということで、本作は「死にゲー」なのでございます。
カーリクは何度も死んで記憶だけを引き継いだ状態で暗殺事件の阻止と真相の解明のために奮闘するのでございますよ。
面白かったのは、死ぬ前の記憶のおかげで敵の動きを読んで攻撃を回避してはどんどん敵を蹴散らしていくシーンですねえ。
敵の攻撃パターンを覚えてステージを攻略するってところが、なんか『ダークソウル』みたいだと思い面白く感じました。
そして、ここで話をさらに面白くなる仕掛けがありまして、記憶を引き継いでタイムループしているカーリクだけではない。
実はその敵である警官のボス、ダヌシュコディも記憶を引き継いでいるのでして、ダヌシュコディがタイムループのきっかけがカーリクの死にあると気づいてからが本当に面白くなるのでございます。
カーリクが死ぬ前の記憶を利用して暗殺事件を阻止しようとする一方で、ダヌシュコディもまた死ぬ前の記憶を利用してカーリクの妨害を防いで暗殺を実行しようとするのでございます。
お互いがお互いの手の内を探ってなんども時間を越えて戦う様子は実に予想がつかなくて面白い。
仮にカーリクしか記憶を引き継いでいなかったらただ回数を重ねることでクリアできるヌルゲーになってしまいかねないところ、敵のダヌシュコディも同様に記憶を引き継ぐことで一筋縄ではいかない死にゲーになっているのでございますよ。
そして次第にダヌシュコディの裏にいる真の黒幕の姿も明らかになり、いよいよ先が見えなくなってきて混沌としてくるのでございます。
私が観てきたインド映画の中でもこれはなかなかの混沌ですよ。
また、本作の主題のひとつはムスリムとヒンドゥー教徒の分断だったのですけれども、その辺の宗教がらみの点についてはあまり詳しくないのでここでは語らないで起きましょう。
宗教や政治など、難しい社会問題を題材にしてエンタメで味付けをする実にインド映画らしいと言えばインド映画らしい映画ではありましたけれども、そういった社会的な要素を抜きにしてもストレートに楽しめるアクション映画でございました。
あとは、序盤で唐突に歌舞伎のあの「いよぉ~」という効果音が入るシーンが連続してあったのが思わず笑ってしまうほど面白かったですねえ。
物凄く上手にこの効果音を使っておりますし、しかもさらに畳みかけるように連打してくるので笑わないのはもはや不可能。
予めこのネタがあるという記憶を引き継いでいても回避不能でしょう。
というかそもそも、インド人にもこの効果音は知られているんですねえ。
意外な発見でございました。
さて、やはりインド映画の話をすると長くなってしまいますねえ。
今日も語りすぎてしまいました。
おしまい。
