『ミッキー17』を観てまいりました。
これがまあなかなか衝撃的な内容でして、ストーリーも凄まじければ登場人物も凄まじいといった具合で、とにかく強烈な映画でございました。
まず主人公のミッキーという男、こいつがもう本当にどうしようもなく救いようがない。
悪友にそそのかされて一緒に起業したまでは良かったものの、見通しが甘すぎて借金を抱えたまま倒産。
しかも借金をした相手がとんでもない曲者で、債務不履行者を殺すのが目的で金を貸しているという恐るべき恐ろしい人間に借りてしまったものですからもう大変。
借金取りは殺すために地獄の果てまで追いかけてくるつもりですから、ミッキーとその悪友は逃げるために地球以外の惑星に移住する船に乗り込むことを目指すわけですけれども、ずる賢い悪友はなんかうまいことやって良い仕事を見つけ乗り込むことに成功したものの、ミッキーは作中で「エクスペンダブル」と呼ばれる、無限に生き返らされて人体実験の被験体にされる仕事にその阿呆さのためよく考えもせず申し込んでしまうことになる。
この仕事、一見すると死んでもまた人間コピー機で体を複製して生き返ることができるという夢のような仕事なのですけれども、別のミッキー映画のキャッチコピー、「夢の国はつまらない…」の通り、いやつまらないどころか地獄への片道切符だったわけですねえ。
何度も生き返らされては他の移民宇宙船の乗組員のためにえげつない人体実験の被験体に使われるのでございまして、これはもう生き返らない方が良いのではというレベルでございます。
ボロ雑巾よりひどい扱いでございます。
と、そんなミッキー、哀れな17人目のミッキーことミッキー17はあるとき死んだと間違われてまだ生きているうちにもう一体が複製されてしまうという事件が起きまして、つまり一度にミッキーが2人いるということになったのでございます。
そしてもう一人のミッキー、ミッキー18はミッキー17と見た目は瓜二つでも性格は正反対。
弱気なミッキー17に対してミッキー18はかなり攻撃的。
そして2人のミッキーが出会ったとき、虐げられたミッキーたちの反撃が始まるのでございます。
ともあれ、ミッキーのキャラクターだけでもうお腹いっぱいなくらい面白いのですけれども、他にも移民宇宙船のリーダーの元議員とその妻がやばい。
こいつらは妙に宗教じみたやり口で他の乗員に信頼というよりは信奉されておりますし、元議員というよりは教祖のよう。
とりわけ妻の方がやばくて、なんかゲテモノばっかり食う美食家の妖怪みたいな体たらくでして、言葉が悪くて恐縮ですが、思わず「妖怪グルメババア」というあだ名をつけてしまいました。
こいつ本当にやばいですから。
惑星の生き物を捕まえて尻尾を切ってミキサーに入れてソースがどうのとか言ってきますし、頭がいかれている。
未知のソースに対する執着の塊でございます。
とは言えしかしながら、そもそもよく考えてみたら一番やばいのは、債務不履行者を殺すのが楽しみで金を貸している大金持ちような気がしますねえ。
こいつ、ちょい役のくせに設定が凝りすぎではなかろうか。
債務者が借金を返せないから殺すなんて映画ではよくある設定なのに、わざわざ趣味で殺すために金を貸しているという設定をなぜ持ってきた。
キャラが濃すぎる。
一応、途中でその設定が生きてくる展開があると言えばあるのですけれども、にしてもこれはもう随分といかれている。
ともあれしかしまあ、何よりも観ていて思ったのは、ミッキーのように知識も技能もコネも運もずる賢さも何も無いような人間が生きるには、結局のところは命を売り物にするしかないっていう残酷な現実でしたねえ。
SF要素でうまく味付けされていますけれども、これはなかなか真実なのではなかろうか。
ああなってしまわないように、何かしらを身に着けないといけない、そんな警告のような映画だと思いましたよ。
そして何より、借金にも気を付けようとも思いました。
といった具合でございます。
なかなかショッキングでインパクトのでかい映画でございました。
おしまい。
