『マッド・マウス ミッキーとミニー』を観てまいりました。
これは物凄く恐ろしい映画でしたよ!
まあ、恐ろしいほど出来の酷い映画だった、という意味なのですけれども。
もうこれはですねえ、とにかく出来が酷い。
あまりにも酷いですよ、これは。
まさかこんな映画があるとは。
去年、一昨年と、パブリックドメインと化したくまのプーさんが闇落ちしてこれまた安っぽいホラー映画になっておりましたけれども、そんなのとは比べ物にならないチープさ。
くまのプーさんの闇落ち映画でも、さすがに最初の1回鑑賞する分にはまだ楽しめましたからねえ。
さて、何がそんなに酷かったのか、と言いましたら正直「全部」なのですけれども、まあいくつか酷かったところをピックアップしてみるとしましょう。
とりあえず何はともあれまずはミッキーなのですけれども、こいつの正体はゲーセンの店長のオッサンでございます。
ある夜、オッサンが店長を務めるゲーセンに貸し切りの予約が入るのですが、店長はバイトの女子2人に仕事を任せて事務所に籠り、一人「蒸気船ウィリー」を上映して鑑賞するのでございます。
そして鑑賞中にミッキーの声が聞こえ、その声に導かれるように店長は自分のコレクションの中にあるミッキーのマスクを被って闇落ちして、ゲーセンを訪れた客とバイトの女子を恐怖に陥れるわけですけれども、もうこの時点で意味が分からない。
主役誕生のストーリーですら意味不明。
なんでミッキーの被り物を被って闇落ちするのか分からないし、なぜゲーセンの客とバイトをぶちのめし始めるのかもわからない。
そもそも、ミッキーの声が聞こえた理由も不明ならミッキーが何を望んで店長のオッサンにマスクを被らせたのかもわからない。
一切理由が明かされることなくいきなりデス・ゲームを始める。
これだったらもういっそのこと、潔く一切何の説明もなくいきなりミッキーが登場してデス・ゲームが始まってた方が良かったのではなかろうか。
中途半端に描くから気になって仕方ないし、しかも結局最後まで説明も無く投げっぱなしだからフラストレーションだけが溜まる。
そして何よりこのミッキー、なぜか無理やりテレポート能力が付与されている。
話の途中で、店長の離婚した元妻を襲撃しに行くシーンが差し込まれるのですけれども、これがどうも観た感じゲーセンのシーンと同時並行的に起こっている出来事らしく、多分このシーンを差し込むためだけにテレポート能力を付与したんじゃないかと思いましたねえ。
そして、その元妻の襲撃シーン自体がただ尺稼ぎのためだけにあるような取ってつけたような雑なものでして、別に無かったとしても話の進行には一切関係ない。
ちなみに、元妻を襲撃する理由だけは作中でそれとなく中途半端に触れられておりました。
しかもそれに加えて、ミッキーが捕まりそうになったりしてやばそうになったらとりあえずテレポートで難を逃れるという、何の捻りもない展開。
ご都合主義的テレポートでございます。
あとは、ミッキーに襲われる側のゲーセンの客とバイトの設定もなかなか雑でしたよ。
深夜にゲーセンを予約した客は実はバイトの一人の旧友連中でして、そのバイトの人の誕生日パーティをサプライズでけしかけるためにゲーセンを訪れたのですけれども、この連中がまたとんでもない。
途中でパーティ抜け出して情事にいそしむやつらが出てきたり、これまた勝手に抜け出してゲーセンのVRゲームで遊び始めるやつが出てきたりしますし、あとは向こうの国ではナードと呼ばれてそうな類のやつとホッケークラブ所属のヤンキー崩れとバイトの女子がなぜか三角関係をおっぱじめますから、なかなかカオスでございます。
これはさすがに若気も至りすぎというものでしょう。
また、本作は事件の生き残りのゲーセンの客が警察に捕まって尋問を受け事件を回想するといった構成で作られているのですけれども、その生き残りが生き残った理由もまあよく分からん。
たまたま他のメンバーとは別の場所にいてミッキーに忘れられていただけ?
しかもこいつ、ラストシーンでなぜかミッキーに留置場から救出されてミニーになりますから、さらに意味不明が加速する。
映画みたいな作品で説明も無く素っ頓狂な設定が飛び出してくるのはよくあることですけれども、さすがにこれは素っ頓狂のしすぎではなかろうか。
しかしここで一番恐ろしいのは、最後にちらっとミニーが出てきたことから考えるに、この制作チームはこれの続編を作ろうと企てていること。
こんなトンデモ映画をシリーズ化するな!
そして多分、なぜ生き残りの一人がミニーになってしまったのかも一切説明しないのでしょう。
と、そんな具合で、とにかく何の脈絡もなく素っ頓狂な設定が洪水のように溢れ出てきて中途半端になったまま終わる、そんな映画でございます。
まさかこの映画を観て、くまのプーさんの闇落ち映画の評価を上げることになるとは思いませんでしたねえ。
今思えば、くまのプーさんの闇落ち映画はプーさんが人を殺す理由もしっかりしてましたし、あとは中途半端に無意味なシーンを延々と描かず徹底的に殺しに集中していたのも良かった。
2作目の方は多少ストーリーらしいものがありましたが、プーさんの恐怖の誕生秘話が語られていて少なくとも筋は通ってましたし。
それを考えたらこのミッキーの映画なんて、その辺のゲーセンの店長のオッサンがミッキーのマスク被って闇落ちして思いついたように突然にゲーセンのバイト、客、そして元妻をぶっ殺し始めるわけですから、酷いったらありゃしない。
というわけでして、その辺の大学の映画サークルの新入生がお遊びで作ったと言われても「さすがにこれは」と苦言を呈したくなるレベルの出来でございました。
こうなってくるともはや、これに関わったことが制作チームや出演者の方々の経歴の汚点にならないか不安になってくる。
キャッチコピーが「夢の国はつまらない…」だそうですけれども、少なくともこの映画よりは夢の国の方がマシなような気がします。
というわけですからして、こんなもの観なくてよろしい、とばっさり言いたいところですけれども、しかしながらミッキーを取り扱っているだけに話題としてはなかなかインパクトのあるものになるでしょうから、何か話題に困っている人は観に行って苦痛の90分を過ごすのも良いかもしれませんねえ。
私はブログのネタにすることで有効活用いたしました。
おしまい。
